パラレルキャリアとは第二のキャリア
パラレルキャリアとは、簡単にいうと「第二のキャリア」のことです。本業があって、もう一つの仕事をして副収入を得るという意味では、「副業」と似ていますよね。
ただ、パラレルキャリアと副業は別物なので、その違いには注意が必要です。
今すでにあるキャリアを構築中で、そこからさらに自分のキャリアの幅を広げていきたいという方は、「パラレルキャリア」について知っておいて損はありません!
パラレルキャリアの意味は?
パラレル(parallel)とは、日本語に訳すと「平行」「並列」といった意味を持つ言葉です。キャリア(carrer)には「経歴」という意味があります。
この2つの言葉の組み合わせから、パラレルキャリアの意味は次のようになります。
複数の経歴を並行して築くこと
少しかみ砕いていうと、本業を持っていながら、第二のキャリアを磨いていく、という意味があります。もともとは、ピーター・ドラッガーという人が「明日を支配するもの」という本の中で提唱した生き方です。
第二の仕事を持つ「副業」と似ているようですが、副業では副収入を得ることを目的としていますよね。
しかし、パラレルキャリアは単純に「経歴」を示すものなので、ボランティア活動でもOKなのです。収入になるかどうかには関係なく、とにかく第二の社会活動をするものと覚えておきましょう。
パラレルキャリアが注目を集める背景
パラレルキャリアという言葉が浸透し、第二のキャリアを築く人が増えている背景には、いくつかの理由があります。
企業寿命の変化
かつては企業の寿命が50年という時代がありましたが、今は25年以下ともいわれています。定年まで一つのキャリアで働き続けることが難しくなってきている背景があります。
そんな時代背景を受けて、第二、第三のキャリアを築いておくべきだという認識が広がっているのです。パラレルキャリアを築いておくと、将来的に自分の強みになりそうですよね!
働き方の多様化
終身雇用の形態が破綻しているケースも増えており、自分自身で働き方を考えていくことが求められるようになりました。
また、インターネットのおかげで、個人がスキルを売買できるサービスも浸透しています。エンジニア・デザイナーなど特別のスキルがある人だけでなく、家事代行や英語のレッスンなど、いろいろなスキルを活かした働き方が増えています。こうした背景からも、「パラレルキャリアを築こう!」と考える人が増加したのです。
パラレルキャリアの事例
筆者自身も、過去にパラレルキャリアを経験したことがあります。そのときの事例をもとに、メリットやデメリットについて考えていきましょう。
[事例]
私は、医療職として研究機関で働きながら、第二のキャリアとしてWEB制作や記事のライティングについて学びました。最初は収入目的ではなく、趣味の延長という位置づけでした。
もともといた研究畑では、論理的に考える力や、文字を読み書きする力が鍛えられたと感じます。一方、並行していたWEB関係のキャリアでは「テンポ」が非常に重視されます。また、皆さんいろいろなツールを使って効率化を図っていたので、これまでにはなかった発見が多くありました。パラレルキャリアによって「効率性」を意識するようになり、研究の仕事でも便利なツールを多く取り入れるようになりました。
本業に影響が出ないように配慮していましたが、今思うと影響がまったくなかったわけではないかもしれません。しばらくは2つのキャリアを並行していましたが、最終的にはWEB関係の仕事を見つけ、そちらに転身しました。
あるキャリアで学んだ視点が、別のキャリアにも活用されることは印象的でした。また、新たなスキルを習得できたこともよかった点です。
こうした事例から、パラレルキャリアの実情について少しイメージがわくでしょうか?この事例を踏まえながら、パラレルキャリアにおけるメリット・デメリットにはどんなものがあるのか挙げていきます。
パラレルキャリアのメリット
・多様な視点が身につく
・人脈が広がる
・新たなスキルを習得できる
・課題解決能力・発想力が高まる
・自己のマネジメント力がUP
・より自分に合った働き方を選べる
・いきなり起業・転職するより安心
実際に、こうした能力は多かれ少なかれ身についていくでしょう。もし、企業が社員のパラレルキャリアを促進するのなら、時間とコストをかけずに自然と人材育成ができるという見方もできますね。
パラレルキャリアのデメリット
・本業に支障が出る可能性がある
・人材が流出するかもしれない
・ただの副業との区別が必要
特に本業の「雇用主」や「企業」の立場からみれば、このようなデメリットが生じることになります。
第二のキャリアを築くためにはエネルギーがいるので、やはり本業への影響がまったくないわけではありません。また、第二のキャリアにおいて何か発見があれば、人材がそちらに流れていってしまう可能性も。
副業やパラレルキャリアを促進する会社も増えていますが、こうしたデメリットへの対応策は考えておかねばなりませんね。
パラレルキャリアに関する本
スキルアップのため、将来のため、副収入のため・・・。パラレルキャリアに興味を持つ理由はさまざまだと思います。
パラレルキャリアに興味がある方向けのセミナーも増えていますが、最初のステップとしては次の本から始め方のヒントを探ってみてください!
1.パラレルキャリア−新しい働き方を考えるヒント100
荻窪のブックカフェ「6次元」のオーナーであるナカムラクニオ氏の著作。カフェの店主・映像ディレクター・専門学校講師・金継ぎ師など多様なキャリアを持つ著者から、パラレルキャリアのヒントを探ってみてはいかがでしょうか?
この書籍にある「『年中無休』より『年中夢中』な生き方を!」というフレーズにピンとくる方もいるかもしれません。
2.自分らしく働く パラレルキャリアのつくり方
こちらの本の著者は、本業の他に4つの仕事を有する方です。さらに、22人の事例が載っているので、どんなふうにパラレルキャリアをスタートさせればいいのか、糸口がつかめます。まだ具体的に築きたいキャリアが決まっていない方にもおすすめの一書です。
3.夢を実現するパラレルキャリア beyond2020の働き方改革
2020オリンピック・パラリンピック招致委員会をはじめ、大企業〜エンタメ企業までいろいろな事業に携わってきた著者の本です。会社に依存せず、やりたいことができる人間になるためのエッセンスが詰まっています。巻末には働き方改革担当大臣・EXILEのUSAさんとの対談が載っています。
4.時間と場所を選ばない パラレルキャリアを始めよう!
パラレルキャリアがそれほど特別なことではない、ということが伝わってくる一書です。本業以外には週に5〜10時間くらい活動することが一般的ですし、SNSなどを使って始めることも可能です。若い人でもシニアでも、パラレルキャリアを始めたいと考え中のあなたの背中を押してくれるでしょう!
パラレルキャリアの類語・関連語
「パラレルキャリア」は副業とは違う概念だということは先にお伝えしました。他にも区別しておきたい類語・関連語はいくつかあるので、この機会に覚えておきましょう。
パラレルワーク
「パラレルキャリア」=「並行して築く経歴」ですが、「パラレルワーク」=「並行して行う仕事」という意味になります。いずれも大きな違いはありません。なお、パラレルキャリア・パラレルワークで働く人のことを、「パラレルワーカー」と呼ぶことができます。
ノマドワーク
ノマドとは、「遊牧民」という意味を持つ言葉です。いつでもどこでも働けるワークスタイルのことを、「ノマドワーク」といいます。オフィスを持たずに、カフェなどで仕事をする人のことは「ノマドワーカー」といいます。
ノマドワーカーとはどんな職種?女性ワーカーの筆者が持ち物・仕事場所まで徹底解剖
フリーランス
フリーランスは、企業などに雇用されるのではなく、案件ごとに契約を結ぶ働き方のことをいいます。例えば、デザイナーでは「一つのデザインを納品したら報酬が1万円」という契約を結びます。もちろん継続的に受注することもありますが、あくまでも「案件ごと」の扱いになります。
フリーランスってどんな意味?人気の理由や多い職種まで最新事情をご紹介
パラレルキャリアを始めよう!
パラレルキャリアは男性でも女性でも、年齢が若くてもそうでなくても、誰でも始めることができます。一人が2枚以上の名刺を持つことは難しそうに思えるかもしれませんが、いろいろな作業をこなすマネジメント能力も身につきます。
ヒトの一生は有限ですし、やりたいことがあればパラレルキャリアとしてどんどん挑戦していきたいですね。そうすると自分の成長につながるかもしれません!