シングルマザーが転職するのは大変?
シングルマザーが転職すると聞くと、「子どもがいたら難しそう」「ひとり親家庭って不利よね」と感じるかもしれません。ところが、現状をみてみると、意外とシングルマザーの転職事情は暗くありません。確かに大変なこともありますが、不安になりすぎず前向きに転職活動しましょう。
離婚を契機に転職をした人が半数以上
厚生労働省のデータでは、離婚を契機に転職をした人の割合が50.5%(平成18年データ)となっています。シングルマザーで転職を考えるのは大変そうにみえますが、実際には半数もの人が転職に成功しているということです。[efn_note]参考:「12 母子世帯の母の離婚を契機とした転職」|厚生労働省[/efn_note]
シングルマザー歓迎の会社もある
シングルマザーの採用に力を入れている企業もあります。子育て女性のコミュニケーションスキルや気遣いできる姿勢などは、ビジネスの場でも高く評価されており、女性の力を積極的に取り入れることを目指しています。
また、厚生労働省では、就職困難者の雇用で事業主が受給できる「特定求職者雇用開発助成金」制度を行っています。
引用:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)|厚生労働省
助成金の条件である「就職困難者」には「母子家庭の母」も含まれており、シングルマザーを雇用することは金銭的なメリットになることもあるようです。[efn_note]参考:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)|厚生労働省[/efn_note]
仕事選びは大変かも
シングルマザーの転職は徐々にしやすくなってきています。ただし、やはり1人で子育てをしている都合上、選べる会社や仕事内容は、ある程度限定されることもあります。
たとえば、夜勤や不規則勤務のある会社、頻繁な海外出張がある職種などは、子どもが幼いうちは難しそうです。子どもをみてくれる近親者などがいれば話は別ですが、基本的には子育てを無視して働くことはできません。
転職する際にシングルマザーが考えておきたいこと
転職前に、シングルマザーとして働くにあたって必要なことを考えてみましょう。
子どもの預け先について
子育てしながら働くためには、就業中の子どもの預け先を確保することが必要です。保育園やベビーシッターなど、公的施設から民間まで、使えるサービスを選びましょう。病児保育や時間延長などは民間の保育園やシッターなど、柔軟対応ができる預け先を厳選する必要があります。また、実親や兄弟などの協力もあると安心です。
家庭との両立について
子育て中は、仕事も大切ですが、子どもと過ごす時間の確保も必要です。特にシングルマザーの場合、1人で仕事も家事も子育てもしなければいけない状況です。家庭と仕事の両立を考えて、ムリなく働き、子育てできる仕事選びや日常の工夫をしましょう。
具体的には、勤務時間や残業の有無、家や保育園から職場までの距離などでの絞り込み、テレワークの可能性の有無なども要チェックです。また、帰宅後の家事の簡略化によって子どもとの時間や休息時間の確保も考えておきたいものです。
母子家庭の支援制度について
シングルマザーとして働き、暮らしていくなら、公的機関の支援制度についても知っておくと安心です。自立支援給付金や職業訓練促進資金貸付などの金銭的な支援や就業サポートなどがあります。
参考 ひとり親家庭の方への就業支援男女共同参画局資格の必要性について
シングルマザーの中には、資格を取得することで少しでも有利に転職しようと思う人も多いでしょう。実際に資格は一つのアドバンテージになるものです。ただし、資格よりも実践経験を重んじられることや入社してから取得させてもらえることもあるため、最優先課題にする必要はないかもしれません。
■ 資格が必要ない求人も多い
資格はあると便利なこともありますが、資格を必要としない求人も多いものです。また、入社してから資格取得を目指せることもあります。特に人手不足の職種である介護系やエンジニア系では、未経験から育ててもらえる求人が豊富です。働きながら取得するのは大変ですが、先輩から実践的なアドバイスをもらえることもあり、学習が進めやすいこともあります。
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■ 持っていると有利なおすすめ資格
資格は必須ではありませんが、知識や関心の高さを示す一つの手段ではあります。中でも以下のビジネス系資格は、女性に向いており、おすすめです。
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シングルマザーの仕事選びのポイント
シングルマザーの転職では、仕事の選び方も大切です。さまざまな働き方、仕事内容から母として、そして一人の働く女性としてよりよい選択をしましょう。
正規雇用か非正規雇用か
仕事選びでまず、迷うのが正社員か、パートやアルバイトかです。雇用形態の違いは、勤務期間、収入、仕事内容や責任など、広範囲に影響を及ぼします。
■ 収入と福利厚生
収入や福利厚生は、正規雇用の正社員が圧倒的に充実、安定しています。特に、収入や手当など金額面の充実は、稼ぎ手が自分だけのひとり親家庭で重視したい点です。
■ 勤務時間
勤務時間や出勤日の柔軟対応や自由度は、パートやアルバイトの方が期待できます。特に子どもが小さいうちは病気での突発的な欠勤や保護者会など、親が学校に呼ばれることも多いものです。シフト制でスケジュールを自由に組めたり、個々の社員の責任が比較的少なかったりとフットワークよく動けた方が何かと便利かもしれません。
ただし、最近ではテレワークや時短勤務の正社員も増えています。転職して早々利用するのは難しそうですが、 勤務時間の問題で転職を考えている人は辞める前に会社に掛け合ってみてはいかがでしょうか?
長く働けるかどうか
仕事選びで考えておきたいポイントとしては、長く働ける労働環境も大切になります。1人で収入を得て、子どもと自分の生活を支えるために、無理なく安定的に長く働ける職場が必要です。労働環境とともに、事業の将来性、経営状態のよしあしでも会社をチェックしたいところです。
やりがいがあるかどうか
子育ても収入も大切ですが、子どもと収入のことだけを考えて転職するのはおすすめできません。自分の都合だけを企業に押し付けても採用されにくくなりますし、何よりも自分が楽しく働けません。
シングルマザーだからといって子どものことばかりを考えたり、不利だろうからと職種や会社を選ばずに転職するのは避けましょう。やりがいのある仕事、会社を選ぶことで、母親としての人生だけでなく、自分自身の人生をいきいきと過ごせます。
末永く、安定的に働き続けるためにも、やりがいは大切なものです。
シングルマザーの転職活動のポイント
シングルマザーがよりよい仕事を得るための転職活動のポイントをチェックしてみましょう。
スキルの棚卸・アピールポイントを明確にする
転職活動の最初に行っておきたいのは、スキルとキャリアの棚卸です。条件のよい会社に入るためにも、やりがいある仕事に就くためにも大切なことです。これまでの職歴を振り返り、自分のスキルを明らかにし、適性を絞り込んでいきます。
自分の適性がはっきりすると、求人探しの方向性が定まります。また、 スキルと応募する業務を結び付けることで、会社に役立つ人材であることをアピールしやすくなります。シングルマザーであることに負い目や不安がある人も、アピールポイントが具体化されることで自信を持てるようになるでしょう。
希望条件の優先順位を明確にする
自己の適性が分かってきたら、企業や職種の絞り込みを行います。その際には、自分の希望条件の優先順位を明確にすることが大切です。あれもこれも期待したいのは本音ですが、妥協点も決めておきましょう。
たとえば、勤務地と勤務時間は譲れないが給料は最低○○円あればいい、給料は○○円ほしいから●●時間の残業はできる、などです。応募の選択肢が広がります。
企業研究を入念にする
企業を絞り込んだら、企業研究は徹底的に行いましょう。採用担当者にやる気のあるシングルマザーであることをアピール、ライバルに差を付けることができます。また、企業研究をしておけば、入社後のマッチングミスを防ぎ「こんなはずじゃなかった」と再び転職するリスクを減らせます。
転職エージェントを活用する
子育てに忙しく、転職活動の時間もままならないシングルマザーには、効率化のために転職エージェントの利用をおすすめします。転職エージェントは、求職者にマンツーマンでキャリアコンサルタントがつき、求人紹介や書類作成サポート、模擬面接などの対策を行うサービスです。
スキルの棚卸やアピールポイント探しなども相談に乗ってくれるので、やり方が分からない人にも安心。また、待遇面の交渉や入社スケジュール調整なども代行してくれます。
シングルマザーにおすすめの職種
最後に、シングルマザーに向いているおすすめの職種を紹介します。気になる仕事があったら、自分の優先順位に合わせて検討してみてください。
営業職
営業職は、正社員求人も多く、未経験でも正社員になりやすい職種です。また、実力次第で評価され、自分の力次第で収入アップも不可能ではありません。一人ひとりの裁量で仕事しやすく、スケジュール調整次第で子どもの行事などに出席することもできるでしょう。内気な人やコミュニケーションが苦手な人には向きませんが、人当たりがよく、積極的にバリバリ働きたい人に向いています。
コールセンター業務
コールセンター業務は、シフト制で休みが取りやすく、シングルマザーを含めた女性が活躍する職種です。正社員は若干少なめですが、契約社員や派遣などで求人が多く、パートやバイトもあります。門戸が広く、女性ならではのコミュニケーションスキルを発揮できます。
事務職
正社員は狭き門ですが、安定した働き方ができる女性の人気職です。収入は高くない分、ノルマもなく安定的で働きやすさはあります。正社員求人は少なく、契約社員やパート・アルバイトが多めです。
事務系の正社員を目指すなら、一定期間派遣社員として働き、直接雇用を目指す「紹介予定派遣」という働き方もあります。
シングルマザーでも転職を成功させられる
シングルマザーとして働きながら子育てするのは大変なこと。しかし、転職を成功させ、子育てと両立しながら、毎日楽しく働いていくことは不可能ではありません。
シングルマザーが転職するなら、これまで培ったスキルやキャリア、女性としての能力や適性も活用して、自分に合う仕事を慎重に選びましょう。シングルマザーが希望の仕事に就き、やりがいをもって働くことは、自分も子どもとともに成長していくための糧として大切なことです。