仕事の割り当てに使われる「アサイン」
筆者が「アサイン」というカタカナ語を初めて目にしたのは、「宇宙兄弟」というマンガの中でした。2007年頃から続いている人気のマンガで、兄弟で宇宙飛行士になり、NASAやJAXAのいろいろなミッションに挑むストーリーです。
このマンガで「ミッションにアサインする」という表現がたびたび使われていて、「なんとなく響きがかっこいい!」と思っていました。
ビジネスシーンでは「仕事の割り当て」という意味で使うことが多いですが、そうでないこともあるので、この機会に正しい意味を覚えておきましょう!
アサインの意味とは?
アサインの由来となっている英語は「assign」。この英語には、次のような意味があります。
【assign】
1.(仕事を)任命する、割り当てる
2.(部屋などを)割り当てる
このように、「アサイン」=「仕事や部屋などを割り当てること」という解釈がキホンとなります。しかし、シチュエーションによっては微妙に意味が変わってくることもあるので、使い方をおさえておきましょう。
アサインの意味①:「仕事を割り当てる」
ビジネスシーンで用いるアサインは、誰かに仕事を任せるときに用いることが多いです。具体的には、「任命する」「配属する」などの場面で使われます。なお、仕事を割り当てるときには「ジョブアサイン」という表現も使用可能です。
「田中君、来月から動き出す開発プロジェクトの件だけど、君をアサインしようと思ってるよ。」
アサインの意味②:「参加する」
仕事を任命するという形式ばったものではなく、単純に「参加する」という意味でも用いられます。「参加」という言葉には任せる・任せられるという概念がないので、少し意味合いが異なりますよね。「自分も仕事に加わるよ!」というニュアンスで使われることが多いです。
「来週からAチームのプロジェクトにアサインすることになりました!」
「人手が足りないので、うちのチームにアサインしてくれないかな?」
アサインの意味③:「人員を確保する」
人員・人材を「確保する」という意味でもアサインを使えます。こちらも割り当てと少し意味が似ていますが、少しニュアンスが異なるので覚えておきましょう。
「優秀な人材を5名もアサインできたから、成功すると思います!」
「来週の飲み会にイケメンを3人アサインできたよ!」
アサインの意味④:「部屋・席を割り当てる」
ホテルの部屋、飛行機やレストランの席を割り当てるときにも「アサイン」を使えます。割り当てるものによって、「ルームアサイン」「シートアサイン」「テーブルアサイン」という表現を使うことも可能です。なお、ホテル業界では部屋割りのことを「ルーミング」というケースもあります。
・ホテル業界:「VIP会員のお客様は必ず高層階にアサインしてください」
・レストラン業界:「田中様は窓際の席にアサインしましょう」
・旅行業界:「このツアーのシートアサインはすべて終わっています!」
アサインの意味⑤:「承諾する」「了承する」
業務委託に関するやりとりの中では、「承諾する」「了承する」という意味になるケースもあります。少し意味合いが異なるので注意してくださいね。
A社:「今回はこの条件でお願いしたのですが…」
B社:「アサインします。来週までに書類を用意させていただきます。」
アサインと区別したい類語・反対語は?
似たようなカタカナ語は使い間違えて恥をかくことがないよう、しっかり区別したいところです。次に、アサインとの違いがわかりにくい類語や、真逆の意味を持つ反対語について違いを整理します。
アサインとアサインメントの違い
アサインは「assign」という動詞がベースになりますが、それを名詞形にしたものがアサインメント(assignment)です。「仕事の割り当て」などを意味する名詞なので、「アサインメントする」という言い方はしません。
なお、最近では「ダブルアサインメント」という、1つの仕事に2人の人材を割り当て、休暇の取りやすさなどを実現する企業も増えてきました。
また、「アサインメントバンク」という派遣事業を手がける会社もあり、このようなところでもネーミングに使われていることがありますよ。
アサインとアテンドの違い
アテンドは「attend」と書きますが、「もてなす」「お手伝いする」という意味があります。飛行機の客室乗務員のことは「フライトアテンダント」といいますが、確かにおもてなしの心を持って仕事をされていますよね!
アテンドはホテル業界・旅行業界などサービス業でよく用いられますが、場合によっては「立ち会う」「同行する」などの意味で使用するシーンもあります。
アテンドとは?意味と使い方を用途別にそれぞれ解説
アサインの反対語はリリース
「アサイン」の反対語は「リリース」です。リリースは「離す」「解放する」という意味の「release」がもとになっています。釣りで魚を川に返すときには「キャッチアンドリリース」といいますよね!
プロジェクトなどから離れるときに使いますが、クビになったことをぼかして表す際にも使えます。
「来月から私はリリースします」
「仕事でミスして、あのプロジェクトからリリースすることになっちゃった…」
あなたも「アサイン」される人材になろう!
アサインされるということは、それだけあなたが必要な人材であることを意味しています。上昇志向を持ち、ビジネスで重要なプロジェクト・役職にアサインされるように努力していきたいところです。
もし、何かに抜擢されることがあれば、ぜひ「アサインされた!」という表現を使ってみてくださいね!