イデオロギーとはその人の考え方のこと!
「イデオロギー」は「その人が持っている考え方」を意味する哲学用語です。「考え方」とは言っても「その人個人に対する考え方」ではなく「多くの人の行動を左右するような考え方」のこと。政治や社会思想を指して使われることが多いです。
「イデオロギー」は堅苦しいイメージを持つ用語ですが、ビジネスマンなら知っておくべき言葉でもあります。
この記事では「イデオロギー」の意味そのものや注意点、使い方を例文付きでわかりやすく説明していきます。なるべくかみ砕いて話を進めていくので身構えずに読んでみてください。
イデオロギーの意味
「イデオロギー」というカタカナ語はビジネスで使用されることは滅多にありません。思想傾向や政治理念に関わるので無用なトラブルを防ぐため、「イデオロギー」を話題に出すのはむしろ避けるべきとされているからです。
逆に言えば「イデオロギー」について知らないでいると、意図せず地雷を踏んでしまう恐れがあるということです。
イデオロギーの具体例
日常会話に登場しやすい「イデオロギー」には「宗教」「政治」「スポーツ」などがあります。
日本人の立場でイメージしやすいところだと「靖国神社」や「集団的自衛権」に対する考え方、「民主主義」「社会主義」「巨人ファン」「阪神ファン」など。うかつに話題に出さない方がいいなと予想がつくものもあれば、あれ?そんなに危険?と思うものもありますよね。
ビジネストークでイデオロギーはタブー?
ビジネストークで「イデオロギー」に関する話題を出すのは相手の気分を害する恐れがあるので危険。
誰だって自分が信じる宗教や信条を否定されたり、軽く扱われるのは不愉快に感じますよね。対立につながる可能性がある「イデオロギー」の話題はビジネスの合間の雑談には向きません。
海外でのイデオロギー事情
海外ではビジネスで「宗教」「政治」「スポーツ」の話をするのは避けるべきとされています。
島国の日本は歴史的な事情もあり、多民族国家であるという認識が薄い国だと言われています。信じる宗教があやふやな人も多いですよね。そのため「宗教」「政治」「スポーツ」がそこまで危険な話題だという認識がない日本人が多いです。しかし、海外では本当にシリアスな話題になります。うっかり口にしないように気をつけてください。
日本でのイデオロギー事情
日本の場合は「スポーツ」に関する話題はそこまでタブー視されていません。例えば商談相手が阪神ファンとわかっていてあなたも阪神ファンだったとしたら、相手に親近感がわきますよね。雑談で阪神の話題を出すことでむしろ商談を進めやすくなるかもしれません。
しかし、日本でも「宗教」「政治」はビジネストークのタブーです。
イデオロギーの語源
「イデオロギー」は、「イデオロジー(ideologie)」というフランス語が語源。
「観念」※1という意味の「イデア(idea)」と「思想」※2という意味の「ロゴス(logos)」をくっつけた言葉と言われています。
日本にはドイツから言葉が入ってきたので、ドイツ語由来の「イデオロギー」が使われますが、英語圏では「アイデオロジー(ideorogy)」、フランス語圏では「イデオロジー(idéologie)」と言われることもあります。
※1.観念:ある物事に対して抱く主観的な考え。例えば花火の観念→Aさん「はかないイメージ」。Bさん→「夏のイメージ」。Cさん→「豪快なイメージ」のように、同じものでも人それぞれ違ってくるのが観念
※2.思想:言動を支配するものの考え方
イデオロギーの類語
「イデオロギー」には「政治理論 」「 観念形態」という類語があります。類語の意味をかみ砕くと、次のようになります。
「政治理論」は政治に関する様々な事柄を考えやすいように筋道立ててまとめたもの。
「観念形態」はある物事に対して抱く主観的な考え方を、ひとつの系統立ったものとしてまとめた形のこと。
イデオロギーとアイデンティティの違い
「イデオロギー」と間違えやすい言葉に「アイデンティティ」があります。「アイデンティティ」は簡単に説明すると「自分が認める自分らしさ。自分がどういった人間なのかという自分の認識」。
「イデオロギー」が自分個人ではなく社会など「他」に深くかかわり「多くの人が影響させる」考え方であるのに対して、「アイデンティティ」は「自分個人」に対する「自分の」考え方になります。
参考 アイデンティティの意味をわかりやすく!使い方と例文を徹底解説CHEWYイデオロギーの使い方例文
イデオロギーの意味が分かったところで、次はイデオロギーの使い方をみていきましょう。
イデオロギーの使い方①
例文:イデオロギーの対立は破滅的な争いにつながることがある。過去の冷戦や現代にも残る宗教戦争がその例になるだろう。
「資本主義」「社会主義」「宗教」は対立することが多いイデオロギーです。
第二次世界大戦後に起こった冷戦はアメリカを中心とした資本主義・自由主義陣営と、ソ連を中心とする東側諸国の共産主義・社会主義陣営のイデオロギー対立がもとで起こった対立構造。宗教戦争は信じる宗教の違いがもとで起こる戦争のこと。
イデオロギーの使い方②
例文:現代の世界経済をけん引する資本主義イデオロギーは市場の活性化というメリットがある反面、格差社会を生み出すというデメリットがある。
資本主義イデオロギーとは、個人が自由に商売して個人の資産を増やすことができる自由な経済(資本主義)が正しい経済であると考えるイデオロギーのことを言います。
イデオロギーの使い方③
例文:ネットの書き込みのなかには偏ったイデオロギーによる極端な意見も多い。惑わされないように注意が必要だ。
イデオロギーは「何らかの事柄に対するある程度偏った考え方」だと言うことができます。それらは答えを確かめようのない先入観のようなものなので、そこに完全な正解・不正解や正義・悪の判断をすることはできません。極端なイデオロギーに振り回されないためには、一社会人として情報の妥当性を判断できるフェアな読解力が必要になります。
イデオロギーの関連語
「イデオロギー」の意味や使い方は確認できましたか?この見出しでは「イデオロギー」の関連語を紹介します。ひとつずつ意味をみていきましょう。
イデオロギッシュ
イデオロギッシュとは、特定の主義(常に持っているものを考える上での立場や主張)や考え方がある様子。一方的なイデオロギー。特定の政治的立場によるもの。
イデオローグ
イデオローグとは、ナポレオンが使った「観念をもてあそぶことで民衆に気に入られようとする者」という意味の蔑称からきた言葉。後に、哲学者カール・マルクスがイデオロギーの創始者・理論的指導者・政治的空論家の呼び名としても使用したと言われています。
現代では意味が広がり特定の党派・階級的立場の代弁者、擁護者を意味する言葉になっています。
イデオロギーを大切に
イデオロギーの衝突は人間関係に余計な波風を立てる恐れがあります。自分のイデオロギーを大切にするのは人が生きる上で欠かせない大事なことですが、それが行き過ぎて他の人のイデオロギーを全否定するようでは健全な人間関係を作ることができなくなってしまいます。
お互いのイデオロギーをある程度尊重しあえる心のゆとりがある社会人になりたいですね。