ファイブフォース分析を具体例から学ぶ!基礎知識から実践編まで徹底解説

1.ファイブフォース分析の効果

あなたを脅かすライバルに勝ち、生き残る術を発見できる!

市場、社内、その他、これからの世の中で生き残るにはライバルを良く知ることがマストです。ライバルを知って競争に勝つには、「自らを取り巻く脅威」について把握しておくことが大切になります。

例えば、「あなた」=「会社・自社」として、パッと考えてみるだけでも…

●ライバル会社が多すぎる
●新たに大きな会社ができてしまった
●よりコスパの良い商品を作っている会社がある

このように、いろいろな脅威がありそうですよね!?こういう脅威が多いと、それだけ自社の収益が奪われるということにつながってしまいます。

ファイブフォース分析では、自ら取り巻く脅威を5つのカテゴリに分けて分析するという考え方に基づいて、戦略を練ることができるようになります。

会社の収益アップを狙ったり、新規参入や事業撤退を考えたりしている経営陣の方はもちろん、売り上げUPのためのプレゼンを任された人が使ってみても発見があるはずですよ!!(何かに勝ち続けたいあなたにもおすすめです!)

2.ファイブフォース分析とは

ファイブフォース分析(5 forces analysis)とは、5つの競争要因(力=force)を分析していく有名な手法です。日本語では「5つの脅威」と訳されています。

  • 1.新規参入の脅威
  • 2.競合
  • 3.代替品の脅威
  • 4.売り手の交渉力
  • 5.買い手の交渉力

次の図のように、この5つの要因が自社の脅威となりえるものとして位置づけられているのです。

ファイブフォース分析の図解

ファイブフォース分析の図解

5つの力が強い=企業にとって脅威が大きい、と解釈してください。脅威が大きいと、自社が収益を上げたり、生き残ったりすることが難しくなります。

逆をいえば、この5つの要因についてしっかり考えておけば、会社が生き残れる可能性が高まるというわけです!

ファイブフォース分析の生みの親「ポーター教授」

ファイブフォース分析は、経営学者のマイケル・ポーター教授が提唱した理論をもとにしています。ポーター先生が書いた書籍には『競争の戦略』や『競争優位の戦略』があるため、ファイブフォース分析の考え方についてより詳しく知りたい方は一読してみることをオススメします!

3. アパレル業界の王者ユニクロを例にファイブフォース分析をしてみた

ユニクロ公式サイト

ユニクロ公式サイト

最近の若い世代では、「車はいらない。お酒も飲まない。モノも最小限で十分」と考える人が増えていますよね。若者がお金を使わなくなったことで、モロに打撃を受けているのはアパレル業界です…!

競争が激しくなっている中で、好調な業績をキープしているのはアパレル業界の王者「ユニクロ」。ユニクロを例にファイブフォース分析をしてみたら、次のようになりました!

ユニクロのファイブフォース分析結果

ユニクロのファイブフォース分析結果

■1.新規参入企業の脅威
・ZOZOスーツでの新しい購入体験の機会
・Amazonによる価格破壊
・大量データ活用による情報革命

■2.競合
・しまむらや無印良品の追随

・GAPやZARAなどの海外勢い

■3.代替品の脅威:
・衣類の定額レンタル事業

・品質重視のベイクルーズグループ

■売り手(メーカー)の交渉力:
・生産拠点である海外工場の賃金上昇

■買い手(顧客)の交渉力:
・メルカリなどC2Cマーケットでの転売

・アジアや欧米などの海外マーケット

ユニクロは5つの脅威に対して、ライバルに打ち勝つために海外事業を拡大させるという戦略を既に立てて結果を出しています。

事実、ユニクロは、2018年2月時点(中間連結決算)で、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しています。特に顕著なのが海外売上高の増加です。はじめて国内の売上高よりも海外の売上高が上回る結果(国内4936億円・海外5074億円)となっています。

ユニクロ売上構成(国内外)

ユニクロ売上構成(国内外)

また、今後ユニクロが敵対視していくのはアパレルメーカーではなく、むしろグーグルなど大量のデータを所有するネット企業かもしれません。今後はデータ活用によって、消費者への販売形態は多様化していくこと(レンタルや月額制のアパレルサービスなど)やAIスピーカーの登場などにどう対応していくかを脅威とした場合の対策に打って出るのではないかと予測してみました。

このように、ファイブフォース分析をすることで、自社の周辺にどんな脅威があるのかを知ることができます。経営者のみならず、営業や企画の方でもファイブフォース分析を自分自身で行うことによって、企業の競争力ないし自身のパフォーマンスの向上につながるはずです。

4.ファイブフォース分析のやり方

「5つの競争要因って具体的にどんなもの?まだイメージがわかない!!」という方も多いことでしょう。ファイブフォース分析のやり方については、次にご紹介する考え方と具体例を参考に、イメージをつかんでいってくださいね!

既存業者間の敵対関係

ライバル会社が多い状態のことです。また、ライバル会社がユニークな戦略を持つ場合や、業界全体の成長スピードが遅い場合などは、特に競争が激しくなりやすいです。

具体例:日本の菓子業界におけるユニークな商品の開発

日本の菓子業界では、明治やロッテなど大手メーカーがいろいろな商品を開発しています。IT業界のように成長スピードが速い業界ではないので、競争が激しくなりやすいです。2013年には明治が「大人のたけのこの里」を、2015年にはロッテが「乳酸菌ショコラ」を発売するなど、ユニークな商品で差別化を図り、既存業者間の敵対関係による脅威に対応しています。

新規参入の脅威

新規参入の脅威とは、あとから参入した企業が既存企業にもたらす脅威のことです。新規企業の知名度や資金力などによっても脅威の程度は変わってきますが、すごい会社が出てきたら自社にとってはピンチになりますよね。

具体例:富士フィルムが化粧品業界に参入したこと

富士フィルムは、カメラのフィルムに使う主原料が肌を構成するコラーゲンであることに着目し、「アスタリフト」という化粧品ブランドを立ち上げました。全く異なるジャンルであるカメラ業界から参入しましたが、すでにナノテクノロジーの技術を持ち合わせていたこともあり、化粧品業界においては新規参入の脅威となりました。

代替品の脅威

代替品の脅威とは、もともとあった製品やサービスが他のもの(=代替品)に奪われる脅威のことです。よりコスパの良い製品やサービスが登場すると、消費者は「こっちに切り替えよう!」と流れていってしまいます。

具体例:電子書籍の普及による出版業界への影響

スマートフォンやタブレットの普及により、紙の書籍ではなく、電子書籍を購入する消費者が増えてきました。紙の書籍を販売する店舗、印刷会社などは、電子書籍(=代替品)の脅威にさらされています。こうした流れを受け、紀伊國屋などの大手書店も電子書籍ストアに参入しています。

売り手の交渉力

自社で製品を作るとき、材料を供給してくれるメーカーは「売り手」であり、仕入れをする自社が「客」になります。必要な材料を売ってくれる業者が少ない場合、メーカーが強気に価格設定できてしまうので、仕入れコストが高くなるという脅威があります。

具体例:大きなシェアを占めていたインテルのCPU

かつて、インテルのCPUは市場で大きなシェアを占めていました。パソコンを組み立てる企業は数が多かったため、CPUの売り手であるインテルの交渉力は強いものでした。このように、「売り手の交渉力が強い」=「脅威が大きい」という構図が成立するのです。

買い手の交渉力

「買い手」とは、自社製品を購入してくれる企業や消費者のことです。買ってくれる人が少ないか、買い手の購買力が強い場合には値下げを要求され、収益が上がらないという脅威があります。また、取引先を変えるためのコストが安いときは、取引自体がなくなる脅威も出てきます。

具体例:宅配業界における買い手の交渉力

ヤマト運輸、佐川急便など大手の宅配業者では、サービス内容に大きな差がありません。買い手である企業や消費者が、値段を比較しながら業者を選択することができます。また、大口契約の場合は値引きの交渉ができることも一般的であり、買い手の交渉力が業界にとって脅威となる可能性もあります。

5.実践形式:ファイブフォース分析をしてみよう

「ファイブフォース分析をするのが初めて!」という方のための実践編として、航空会社のJALを自社として考える練習を用意してみました。理屈だけで学ぶよりも、このような実践をすることは必ず力になります!

慣れないうちは少し時間がかかるかもしれませんが、ヒントをもとに考えていきましょう!

お題:航空会社JALを自社と仮定したファイブフォース分析

【ファイブフォース分析のヒント】
  • 日本には競合会社のANAがある。
  • ANAは2022年度までの計画で「国際線とLCC」に成長の主体を置くとしている。
  • ANAとJALで運賃に大きな違いはない。
  • ANAは世界最大のスターアライアンスに、JALはワンワールドに所属。
  • 原油価格は上昇傾向で、燃料費がかさむ。
  • LCC(格安航空)の参入が増えている。
  • LCCでは飲み物のサービスがないが、JAL、ANAにはある。
  • インターネットで航空券の最安値を簡単に調べることができる。
  • 高速道路の整備、新幹線の改良によって、飛行機以外の選択肢も増えた。

これらの情報を、ファイブフォース分析で用いる5つの競争要因に当てはめてみるだけでも、どこに脅威があるのか探ることができます。JALを取り巻く脅威はどこにあるのでしょうか?

下記のテンプレートをダウンロードして、ぜひあなたも挑戦してみてくださいね!

テンプレートはこちら>>

6.日頃から脅威となるものを意識しよう

どんな会社も就職することがゴールではなく、会社を取り巻く競争要因は変化していきます。ファイブフォース分析を活用すると、業界でユニークな地位を築くために優先的にやるべきことが見えてきます。

「競争」=「収益を奪うもの」ですが、競争に勝つことは自社・あなたの生き残りにつながります!業界の競争に勝つために、ファイブフォース分析というフレームワークを生かしていきましょう!