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作業療法士の仕事が好きだったが、コワーキングスペースのスタッフとして新たなキャリアを始めた理由

こんにちは。私は作業療法士として4年間働いたあと、結婚と2児の子どもの出産を経て、現在はコワーキングスペースのスタッフをしながらWebライティングのお仕事をしています。

まったくの異業種への転職となりましたが、現在は子育てと仕事を両立しながら自分らしく楽しく働けています。今回はそんな私の転職体験談をご紹介します。

大学卒業後は作業療法士の道へ

私は2012年に大学を卒業し作業療法士としてキャリアをスタートさせました。

まずは作業療法士という仕事について簡単に説明させてください。

病気や障害を抱えた方に対して、在宅復帰や仕事復帰、日常生活をよりスムーズに送れるようにリハビリテーションをするお仕事です。

私はもともとおばあちゃん子で、おじいちゃんおばあちゃんが大好きでした。また人と関わる仕事がしたいという気持ちがあり、将来は医者や看護師、介護福祉士になりたいと考えていたのですが、姉が理学療法士になったのをきっかけに作業療法士という仕事を知りました。

作業療法士はさまざまな年齢や障害の領域に対して多方面から関わることのできる仕事です。それがとても魅力的に感じ、その道を目指そうと医療系の学校に進学し資格を取得しました。

最初に就職したのは地元の小さなクリニック。私は大きな病院よりも地域の方と深く関わって仕事をしたいと考えていたので、地元に密着している点に惹かれ入社を決めました。

結婚を機に老人介護施設へと転職

2015年に現在の夫と結婚することが決まります。

夫は転勤族で、結婚の際もその時住んでいた場所から他県へと引っ越しをする必要があったため、このタイミングで約3年半ほど勤めた医療クリニックを退職することに。

転職をするなら、クリニックとは違う環境で働いてみたいと考えていたこともあり、入院患者の入れ替わりが少なく、気持ち的にゆったりと働ける老人介護施設の面接を受けることにしました。無事内定をいただき再び作業療法士として働くことが決まりました。

夫との結婚生活や新しい職場での仕事も充実していて過ごしていたのですが、再び転機が訪れることに。

夫の転勤が決まり前職を退職

老人介護施設で働き始めて1年ほどが経つころ、私は第一子を授かりました。

妊娠が分かってからも働き、出産が近づいてきたころに産休を取ることになっていたのですが、同じタイミングで再び夫の転勤が決まります

もともと産休が明けた後は施設で職場復帰をしようと考えていました。しかし夫の転勤先がとても通勤できる距離ではなかったため、退職することになりました。

その後は引越しをして新しい土地で専業主婦として子育てや家事をしていたのですが、その間に第二子を授かり、2018年に出産をしました。

やっぱり働きたいと思うようになる

2人の子どもに恵まれ、専業主婦になってから約1年半ほど経つころ「また作業療法士として働きたい」と思うようになります。

作業療法士としての仕事が好きだったことと、専業主婦を長く続けていると子どもと家で過ごす時間が圧倒的に長くなり、社会との繋がりがなくなることに恐怖心を感じてしまっていました。

その気持ちがだんだん強くなり、夫に「子育てが落ち着いたころにまた働きたい」と伝えました。夫は子育てとの両立が大変ではないか、フルタイムは難しいのではないかと心配していましたが働くこと自体は受け入れてくれました。

私は思い立ったらすぐ行動!というタイプなので、2人目の子が生まれて半年が経つころに改めて転職活動を始めることに。

苦戦する作業療法士としての再就職

まずは住んでいる地域での作業療法士の仕事を探してみました。

PT-OT-STネットという作業療法士や理学療法士に特化した求人サイトで仕事を探したり、ハローワークを利用してクリニックや施設を探してもらったのですが、なかなかうまくいきませんでした。

医療系の仕事はいっぱいあったのですが、私が住んでいる地域は保育士が少なく、待機児童が多いことから「保育園が決まっていること」を応募条件としている施設がほとんどでした。

子どもの保育園が決まっていなかったため、私は応募すらできないという状況だったのです。

さらに、保育園側にも「仕事が決まっていないと入園できない」という条件を設けているところが多く、正直どうすることもできない状況となっていました。

ハローワークの方にもクリニックや施設に直接問い合わせてもらい、とても力になってもらっていたのですが、現実は厳しくこの町で作業療法士として働くのは無理かもしれないと半分諦めていました。

ママ友の一言で異業種で働くことに

引っ越してからできたママ友に何気なく悩みを相談してみたところ「よかったら私が働いている会社で一緒に働いてみない?」と声をかけてくれました。

その会社はこれからコワーキングスペースを立ち上げようとしていて、その運営スタッフを募集しているとのことを教えてくれました。

パートタイムでの募集で子連れ出勤も可能と聞いたので興味をもち、社長の連絡先を教えてもらい面接を受けることに。

そのコワーキングスペースは市から運営を委託されていて、まち作りや雇用対策を担っていく予定であることを社長からお聞きしました。

コワーキングスペースの中にはキッズスペースが設けられ、主婦として頑張るお母さんたちに対して、子どもがいても働きやすいような環境づくりやお仕事の紹介にも力を入れている姿勢に感動し、一緒に働くことを決心しました

こうして2018年の11月から、作業療法士ではなく、コワーキングスペースのスタッフとしての新しいキャリアを始めることになりました。

異業種への転職で芽生えた新しい価値観

時間はだいたい9:30から15:00までで週4日勤務。子育てと両立しながら働いています。

もともとは作業療法士の仕事が好きで戻りたいと思っていましたが、いつか違う仕事を経験してみたいという気持ちもあったので今はとてもいい機会だと感じています。

ずっと医療の世界で働いてきたので、最初のうちは大変なことも多かったです。

パソコンなどの一般的なスキルも足りなく、慣れるまではサポートをしてもらう日々でした。

ただコワーキングスペースに訪れる人や働いている上司たちは、町おこしに情熱を注いでいる方が多く、一緒に仕事をしているととても刺激をもらえます。

医療業界で働いていた時は、他の業界の方とも関わることがほとんどなく世界が狭かったですが、今はさまざまな分野の人と関わり新たな視点を得られるので自分の価値観も変わってきていると感じています

また、子どもの入園が決まるまでは、子連れ出勤ができたのでとても助かりました。やはり子育てと仕事の両立は大変で、子どもが騒いでしまうこともありましたが、周りの方々は温かく私たち親子を受け入れてくれたのでとてもありがたかったです。

仕事をすることで育児にも前向きに取り組める

子育てをしている時の自分と働いている時の自分は少し別人のように感じています。

専業主婦をしていた時は、発散する場所がなく育児ストレスがかかってしまっていました。しかし職場では行き詰まったとき、いろんな人と話をしたり、仕事に没頭できるのでいい気分転換になっていると感じています。

夫からは「せっかく作業療法士の資格を持っているのにもったいない」と言われることもあるのですが、現状資格を持っていても働くことができないのでしょうがないと思ってます(笑)

ただ夫の転勤は大体3年スパンであるので、次の転勤のタイミングがきたらまた施設などで作業療法士として働きたいという気持ちはあります。

今の仕事でたくさんのことを吸収して、私だからこそできる作業療法士の仕事をしていきたいです

クラウドソーシングで活躍できるママを増やしたい

現在日中は、コワーキングスペースで業務をして、夕方や空いた時間にWebライティングのお仕事をしています。

最近ではクラウドソーシングやさまざまな新しい働き方が注目されているので、私の働いているコワーキングスペースでもそういった働き方を支援しています。

私と同じように子育てと仕事に悩むお母さんたちにも、新しい可能性を知ってもらうこと、「やりたい」を表現してワクワクする日常を過ごせるようになってほしいと思っています。

私はそのようなお母さんを増やすことが使命だと感じています。

働きたいけど働けないを変えていきたい

専業主婦をしている方の中には「働きたいけど働けない」という方もたくさんいらっしゃると思います。私自身もそうでした。

ただ、自分が働きたいという気持ちを、子育てを理由に我慢してしまうのは自分のためにもならないのではないでしょうか。

お母さんの中には「仕事が息抜きだと考えてはいけない」とお話されている方もいましたが、私はそう考えてもいいと思っています。

私はやりがいを持って働いていた作業療法士という仕事を一度退職し、専業主婦をしていましたが再び社会に出たことでさまざまな出会いがあり、自分らしく充実した毎日を送れるようになりました

子どものために自分の働きたいという気持ちを諦めてしまうよりは、お母さんが活き活きと働く姿を子どもに見せる方が、自分のためにも子どものためにもなると考えています。

今は多様な働き方ができる時代になってきているので、毎日子育てを頑張っているお母さんも、働きたいという自分の気持ちに素直になってもらえたら幸いです。

取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー
編集:chewy編集部 はら