シングルマザーのお金事情とは
シングルマザーは1人で家計を支えつつ子育てをしていきます。しかし、母子家庭の収入は少なく、金銭的に困ることもありそうです。
母子家庭は世帯収入が低い傾向
母子家庭の世帯収入は、全世帯の収入と比べて低い傾向にあります。以下は世帯別の所得金額を示す表ですが、母子世帯の平均所得金額が全世帯の半分程度、児童のいる世帯の半分以下になっていることが見て取れます。
国民生活基礎調査(平成28年)の結果からグラフでみる世帯の状況|厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)
シングルマザーの収入が低い原因
シングルマザーの収入が低いのは、働き出すタイミングや雇用形態に原因があるようです。
■離婚・死別してから働き出した
シングルマザーの収入が低いのは、働いている期間、キャリアの少なさと関係がありそうです。厚生労働省の調査では、以下の通り、シングルマザーの約半数がの離婚を契機として転職をしていることがわかります。
■正社員になりにくい
シングルマザーになってから働き出す人が多いため、企業によっては「子育てで仕事に支障が出やすい」と考えて、正規雇用を控えることもあります。そのため、シングルマザーでは正社員になりにくい傾向です。また、シングルマザー本人も、子育てを重視したいと考え、非正規雇用を選ぶこともあります。
シングルマザーの生活費と貯蓄
シングルマザーと子どもだけの世帯なので、生活費は少なく済みそうですが、意外と生活は苦しく、貯蓄も難しい傾向があります。
ひとり親の生活費目安
ひとり親の生活費の目安として、シングルマザーである筆者(都内在住・子1人)の家計簿の一部を紹介します。
項目 | 金額(概算) |
家賃(2DK) | 70,000円 |
食費 | 40,000円 |
被服・生活用品費 | 3,000円 |
交通・通信費 | 12,000円 |
水道・光熱費 | 12,000円 |
雑費 | 3,000円 |
娯楽費 | 3,000円 |
教育費 | 20,000円 |
医療費 | 0円 |
合計 | 163,000円 |
家賃と食費が大きな割合を占めています。都心ではないものの一応都内なので、民間アパートの家賃は高めです。このほかに、教育費や生命保険料など、個々の家庭や成長段階に応じて費用がかかります。(医療費は母子家庭の助成制度によって無料)
水道光熱費は、たとえば上の表(筆者のリアルなガス料金)のように、毎月のばらつきはあるものの年間でみると1カ月あたり10,000円~15,000円になります。
また、教育費は塾や通信教育などを利用すれば、その分増えますが、学校の費用は就学援助などを利用できます。筆者の家には現在高校生の息子がいますが、高校でも以下のような助成金、奨学金を利用中です。
左上:「給付奨学金」(日本学生支援機構)
右上:高等学校等就学支援金(東京都)
中央:東京都私立学校等授業料軽減助成金・奨学給付金(東京都)
どれも学校から連絡が来るので、もらい忘れはありません。左上の「給付奨学金」(日本学生支援機構)はこれから通う大学で利用するものです。
シングルマザーの年収
厚生労働省のデータでは、シングルマザーの収入の中央値は208万円となっています。単純計算で考えても毎月使えるお金は(209万円÷12カ月=)17.4万円、1人の収入で毎月の生活費をねん出するのはやはり大変です。
■不足分は養育費
母子家庭では別れた配偶者から養育費を受け取る約束をしていることが一般的です。上記の表にも加味されています。ところが、別れた配偶者からの養育費は子どもが成長するまで続くとは限りません。実際に多くのシングルマザーが、養育費を途中で支払われなくなり、当てにできないと諦めているようです。
■不足分は公的手当
養育費が当てにならなくても、シングルマザーが頼りにできるものに公的手当があります。児童手当や児童育成手当、児童扶養手当など、子が一定の年齢になるまで支給され続ける手当です。
シングルマザーの貯蓄は難しい
シングルマザーの年収は低く、養育費も当てにならないため、生活費をねん出した後に貯蓄をするのは大変です。多くのシングルマザーが日々の暮らしに追われて、貯蓄まで手が回りません。
シングルマザーのお金事情を改善するには
シングルマザーが収入の少なさや貯蓄できない状態から脱却し、経済状況を改善するにはいくつかの方法があります。できれば、使えるものはすべて使い、現状打破を試みたいものです。
手当は必ず申し込む
シングルマザーがまずやらないといけないのは、公的な手当や助成制度を申し込むことです。シングルマザーになっても公的サービスは自分から申し込まないと利用できません。また、毎年、現状を報告することも必要です。
・児童手当
・児童扶養手当
・児童育成手当
・母子家庭の住宅手当
・母子家庭(ひとり親家庭)の医療費助成制度
・こども医療費助成
・特別児童扶養手当
・障害児福祉手当
・生活保護
・母子家庭の遺族年金
【減免・割引など】
・国民健康保険
・国民年金
・電車やバス
・粗大ごみの手数料
・上下水道料金
・保育料
制度を知らない人もいるので、周りにシングルマザーがいたら教えてあげると喜ばれるかもしれません。
養育費のもらい損ねをなくす
養育費は、親の事情に関わらず子どもに受け取る権利があるもの。子どものためにも強い気持ちで請求しましょう。もらい損ねをなくすためには、離婚時に公正証書として約束事を残すことがおすすめです。また、離婚してからでも請求できます。養育費には時効があるので、早めにアクションを起こしましょう。
正規雇用を目指して転職活動する
公的な手当も元夫からの養育費も大切なお金ですが、自分の収入を増やし、安定させることも金銭事情を改善するための重要なことです。シングルマザーは正社員になるのが難しいと思われがちですが、シングルマザーだからこそ、安定の正社員を目指しましょう。
正社員なら社会保険もあるため、将来的な安心感も違います。
■転職活動に自信がないなら転職エージェントに相談
正社員を目指して転職活動をするなら、転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。無料で転職やキャリアについて相談でき、スキルや適性、キャリアに合った求人を紹介してもらえます。履歴書や職務経歴書、面接に不安がある人も、サポートがあります。
転職エージェント選びは以下の記事を参考にしてください。
転職エージェントはどこがおすすめ?第二新卒や20代、30〜50代に強いサービスを徹底ガイド
■働いてみて相性のよい会社を見つけたいなら紹介予定派遣
転職先とのマッチングを重んじるなら、働いてみてから直接雇用になれる紹介予定派遣も安心です。人材派遣には事務系も多いため、事務職に就きたい人にも合っています。ただし、紹介予定派遣は狭き門でライバルも多いため、ある程度のスキル、キャリアがある人の方が選考に通りやすそうです。
紹介予定派遣を詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。
紹介予定派遣とは?正社員・一般派遣との違い・メリット・デメリットを知る
資格取得や技能習得する
シングルマザーが、ライバルに差を付ける武器を持ちたいなら、資格取得や技能習得を目指すのもよいでしょう。勤務先によっては資格手当がつくこともありますし、キャリアアップや転職にも役立ちます。
シングルマザーの金銭事情は大変だけど改善できる
シングルマザーのお金事情は決して楽ではありません。バリバリ稼ぎたくても子育てに時間もパワーも取られて、叶わないこともあります。それでも、さまざまな制度やサービスを使いこなすことで道を拓いているシングルマザーも多いものです。
生活が苦しくなる前に、いろいろな対策を試してみましょう。「母は強し」ですが、1人で頑張る強さだけでなく、思い切っていろいろな人や制度を利用する強さ・賢さも大切です。