ブラック企業に勤務していると、待遇や人間関係などで不満が溜まり、勤務時間やノルマなどで心身ともに疲れます。いち早くブラック企業に気づき、労働環境の改善を目指すため、詳細な項目ごとに判断しやすいブラック企業診断チェックリストを作成しました。日頃から不満や疲れを感じている人は、チェックしてみましょう。
今すぐ診断!ブラック企業チェックリスト
自分の会社がブラック企業かも知れないと思ったら、何はともあれ、まずチェックリストと比較してみましょう。1つでも項目に当てはまることがあったら、注意が必要です。
労働時間が劣悪!
労働時間の問題は、労働基準法や36協定などが関係しており、一定以上の過酷な環境は法に違反している可能性があります。
■休憩が取れない
労働基準法では、労働時間が6時間の場合には45分以上、8時間の場合には1時間以上の休憩時間を最低でも与えなければいけないことになっています。
そのため、休憩を取らせない、休憩時間が短すぎるなどの場合には、会社が違法な働き方をさせているといえるでしょう。また、休憩時間に電話番や客対応をさせるのもアウトです。
■残業時間が月60時間以上
残業時間に関しては、36協定という労使協定のルールがあります。会社が労働者に残業をさせる場合には、あらかじめ労使協定を結んで、書面にしておかなければいけません。10名以上の会社で1日8時間、1週間に40時間を超える労働時間の場合に必要です。
ただし、協定を結んだからといっていくら長く残業させてもよいというわけではありません。一般的な残業時間の平均としては60時間程度なので、それを超えたらブラックの疑いがあります。また、80時間以上は過労死ラインとして健康被害が心配なレベルです。
■年間休日105日以下
休日が少ないのもブラック企業の特徴の1つです。法的には年間休日105日は最低ラインの日数で、それを下回ると違法となります。
ただし、年間105日の休みだけでは、祝祭日や年末年始など休めない計算です。夏期休暇や年末年始などの休みも取れて、心身共に快適に過ごせる120日の年間休日が一般的になっています。また、有給休暇の取得を拒否されるのもブラック企業に多いことです。
年間休日105日に関する詳しい情報はこちらをご覧ください↓↓
年間休日105日はきつい?働き方と労働日数の考え方
給料システムが劣悪
給料の問題は生活に重大な影響を与える深刻なトラブルです。ブラック企業では、支払い状況や賃金の金額、計算方法までさまざまなことが問題になっています。
■そもそも未払いがある
給料の未払いは、働く意味を損なわせる根本的な問題です。もちろん、ブラック企業ではないけど業績の悪化などで支払いが滞るといった悲劇も起こることはあります。
ただし、支払う意思がない、支払いを逃れようとするなど、不誠実な対応をした場合にはブラック企業の疑いが強くなりそうです。
■最低賃金を下回る給料
厚生労働省のホームページでは、地域別最低賃金を掲載しています。この表に基づいて時間給レベルで給料を比較し、最低賃金に満たない場合には違法、ブラック企業の疑いがあります。
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 |
北海道 | 835 |
青 森 | 762 |
岩 手 | 762 |
宮 城 | 798 |
秋 田 | 762 |
山 形 | 763 |
福 島 | 772 |
茨 城 | 822 |
栃 木 | 826 |
群 馬 | 809 |
埼 玉 | 898 |
千 葉 | 895 |
東 京 | 985 |
神奈川 | 983 |
新 潟 | 803 |
富 山 | 821 |
石 川 | 806 |
福 井 | 803 |
山 梨 | 810 |
長 野 | 821 |
岐 阜 | 825 |
静 岡 | 858 |
愛 知 | 898 |
三 重 | 846 |
滋 賀 | 839 |
京 都 | 882 |
大 阪 | 936 |
兵 庫 | 871 |
奈 良 | 811 |
和歌山 | 803 |
鳥 取 | 762 |
島 根 | 764 |
岡 山 | 807 |
広 島 | 844 |
山 口 | 802 |
徳 島 | 766 |
香 川 | 792 |
愛 媛 | 764 |
高 知 | 762 |
福 岡 | 814 |
佐 賀 | 762 |
長 崎 | 762 |
熊 本 | 762 |
大 分 | 762 |
宮 崎 | 762 |
鹿児島 | 761 |
沖 縄 | 762 |
全国加重平均額 | 874 |
■残業代が出ない
サービス残業もブラック企業に多い傾向です。残業しているにもかかわらず、残業代が出ないのは全て違法かつブラック企業の特徴といえます。タイムカードを押した後に残業させるといった悪質なケースもあります。
また、残業代を固定で支払うみなし残業にも注意が必要です。みなし残業代以上の残業をさせた場合には、会社はみなし残業代では足りない分をプラスして支払う必要があります。
■契約外の給料減額や不当な天引き
会社は、毎月の給料から勝手に親睦会費や罰金などの天引きはできません。労使契約にない減額や同意のない天引きが行われている場合にも、ブラックの疑いがあります。ただし、社会保険料や税金などの天引きは認められています。
社内環境が劣悪
社内環境の問題は、明らかに違法なこともありますし、気持ちの面で働きにくいと感じる程度のものまで様々です。それでも、働きにくさのある社内環境はブラック企業の疑いを感じさせます。
■パワハラ・セクハラ・男女差別
ハラスメントの横行や男女差別のある人事考課は、労働者の意欲を損なわせ、社内の雰囲気を悪くします。法的に証明しにくいことも多いものですが、こうした環境がある会社はブラック企業の可能性があります。
また、こうした状態を訴える部門がない、上司などに相談しても相手にされないのもブラック企業の傾向です。
■やる気や精神論重視
やる気や精神論を前面に出し、やる気があればできる、気合が足りないから成績が悪いなど鼓舞、叱咤激励するのもブラックの特徴です。分析的でなく、きちんとした対策も与えずに部下や後輩に責任を押し付け、精神的に追い込みます。
■上司の絶対的トップダウン
ブラック企業に多い社内環境として、上下関係の厳しさがあります。体育会系のノリが強く、上司のいうことは絶対です。上下関係は厳しくても面倒見のよいケースもありますが、ブラック企業の場合には上司は厳しいだけで責任感もなく、仕事や責任は部下に丸投げとなります。
■退職させない・不当解雇
ブラック企業では、辞めたくても辞めさせないケースや、反対に不当解雇をするケースなどもあります。前者は定着率が悪く人手不足なために無理に引き留められるケースです。また、後者の不当解雇としては、成績や差別などであっさりと首を切ろうとするケースになります。
どちらも困りますが、不当解雇は次の仕事を見つければ解決するため、まだマシです。むしろ怖いのは、精神的に追い詰められて病んでしまう恐れがある退職できないケースでしょう。その場合には、プロの退職代行を使って早期解決を目指した方がよいかも知れません。
↓↓当てはまったら〇を入れてみましょう! | |
労働環境について | |
休憩が取れない | |
残業時間が月60時間以上 | |
年間休日105日以下 | |
給料システムについて | |
そもそも未払いがある | |
最低賃金を下回る給料 | |
残業代が出ない | |
契約外の給料減額や不当な天引き | |
社内環境について | |
パワハラ・セクハラ・男女差別 | |
やる気や精神論重視 | |
上司の絶対的トップダウン | |
退職させない・不当解雇 |
ブラック企業診断リストに当てはまったら
ブラック企業診断チェックリストを紹介しましたが、実際に当てはまることがあったら具体的に対策を講じる必要があります。ただ単に環境が悪いというだけでなく、違法なルールを守らされていた場合には自分の被った損失についても考えましょう。
悪質な違法性を感じたら法的機関へ
給料の未払いや残業代のごまかし、不当解雇などは法的機関に相談することで、支払いを法的に認めてもらうことが可能です。法的に支払いを命じてもらうために必要なのは、第三者から見ても分かる明確な証拠です。
退職してからでは証拠が手に入りにくくなるため、在職中におかしいと感じたら、とりあえずこっそりと証拠を集めておきましょう。
働きにくさを感じたら転職を
過酷な労働条件で働きにくいと感じたら転職を考えることも必要です。会社に働きかけて改善しようとしても、企業の体質は変わりにくいものです。心身に限界を感じる前に、無理せずに新天地を求めましょう。
当てはまっても不満がなければ勤続も
ブラック企業の体質や変わったルールがある場合でも、自分自身がその環境に不満がないならすぐに辞める必要はありません。自分の夢の達成に必要だったりやりがいがあったりと自分にとって良い会社であれば、たとえブラックな部分があっても勤続可能です。
違法性の高いものはともかく、環境や人間関係における多少の不満も、勤続意欲を損なわない程度なら問題はありません。ただし、ブラック体質は会社の業績や他の社員の士気に関わるため、長く勤めたいなら将来的には問題点の改善を目指すことも必要です。
ブラック企業を病気で退職するなら診断書を
ブラック企業に勤めていて、メンタルを病んでしまった、体調を崩したという場合には、病院で診断書をもらっておきましょう。診断書はパワハラや労災などの証拠になります。
入社前にブラック企業診断を
ブラック企業に関わるとろくなことがありません。また、一度入社してしまうと抜けられないこともあるため、入社前にブラック企業のチェックをしておきましょう。
求人情報や面接でチェック
求人情報で休日や残業をチェックすることで、基本的な条件面からブラック企業に気づけます。休日や残業の書き方があいまいな場合、面接で気になる点を追及してみましょう。よい会社はきちんと説明してくれますが、言葉を濁す会社は注意が必要です。
特に注意したいのは、みなし残業代の範囲となる残業時間数、変形労働時間制の実態、週休二日は「完全」週休二日なのか月一回程度なのか、などです。
ブラック企業診断アプリや口コミサイトをチェック
ブラック企業診断アプリや口コミサイトでは、手軽に検索するだけで企業の口コミや風評を知ることができます。企業側が自社の評判をチェックするためにも使っていますが、求職者にとっても便利です。
ブラック企業診断で悪質な労働条件から身を守る
ブラック企業に関わると心身共に疲れ、時には病気になったり金銭面で大きな損をすることがあります。ブラック企業に勤めているのではないかと感じたら、まずは診断をしてみましょう。
チェック項目によっては法的な手段や転職など、行動を起こすことも必要です。不満や疲れが限界になる前にチェックをして、悪い労働条件や環境から身を守りましょう。入社する前のチェックも大切です。