職務要約は職務経歴書のトップに記載する職歴の概要のようなものであり、場合によっては職務要約だけを企業から別途求められることもあります。職務要約は転職活動において意外と重要であり、「要約なんて短いし、アピールにならないし」とおろそかにはできません。職務要約の作成方法や書きたい内容などをチェックして、もっと企業にアピールできる職務要約を作ってみましょう。
職務要約はなぜ必要?
職務要約は、転職活動での書類審査で第一印象を決めるといっても過言ではありません。最初に採用担当者がみる部分であり、ここで担当者の心をつかむことが次のステップにつながることもあります。
採用担当者の興味を引く
職務要約は、職務経歴書の一番トップに来る項目であり、採用担当者がまず目を通す部分です。採用担当者はすべての応募書類を上から下まで見られないこともあるため、この部分で興味をもたせて全部読んでもらえるようにすることが必要となります。短時間で読める短い文章ですが、自己紹介のような気持ちで書きましょう。書類審査における重要なファーストインプレッションです。
■すべての職歴書をじっくり読む暇はない
求人応募で集まった書類は、人事部や採用担当者がチェックしますが、たくさんの応募書類が送られてくるため、全部をみることができません。特に人事部は非生産部門なので、少人数で構成されており忙しいことが多いものです。そのため、書類選考でも1通ずつじっくりは見てもらえず、パッと見た印象で振り分けられることもあります。
■応募者の人物像は職務要約で判断
職務経歴書は重要な選考書類ですが、その全体を示したのが職務要約であり、最初に目に留まりやすい部分です。最初の項目であり、目立ちやすい職務要約が読みやすくまとめられていたり、人事が気になる内容が書いてあったりすれば自然と注目されます。人事の振り分けの判断材料として、書かれる場所も内容も、重要なのです。
面接時の方向性を作る
職務要約は、採用担当者が面接時の質疑を考えるためにも使われます。そのため、職務要約の内容を吟味することで、面接の方向性を自分で作ることも可能です。自分のアピールしたいことを書くことで面接で詳しく聞いてもらえる可能性が高くなります。人事は書類選考の時間も少なければ、面接準備の時間も少ないため、書類で選ばれてもなかなか職務経歴書の隅々まで読んで準備はしてくれません。
転職エージェントを利用するときにも必要
職務要約は、転職エージェントを使って転職する場合にも役立ちます。転職エージェントでは自分で応募せず、コンサルタントが企業に直接推薦してくれます。そこでも職務要約を推薦文のベースにしたり、職務要約の内容によって推薦順序が有利になったりします。内容の充実した職務要約があれば、エージェントも強みを理解しやすく、企業へも応募者をおすすめしやすいのです。
職務要約の書き方サンプルをチェック!
職務要約の書き方はシンプルで、職種に限らずベースの形式は変わりません。過去の職歴の概要から始まり、実績、意欲の順で書いていきます。
職歴の概要
最初に書くのが、職歴の概要です。会社名、部署名、勤続年数など。を手短にまとめます。職歴が2社以上ある場合には、自分のアピールしたい実績がある会社をメインに書きます。営業希望なら営業経験のある会社を、事務希望なら事務経験のある会社を書き、それ以外の経歴は職務経歴書のくわしい経歴に書けばいいのです。
過去の実績
具体的に営業成績を数字や表彰実績によって示したり、手掛けた業務の規模、商材などを伝えます。もっているスキルなどもアピールする必要があれば、書いておきます。ここがメインで見てもらいたい部分ですが、あまり詰め込まず、採用担当者が魅力を感じるもののみに絞りましょう。
意欲アピール
最後に書きたいのは、意欲アピールです。採用された後、どのように活躍したいか、貢献できることなどをまとめます。要約文の締めに当たる部分なので、しっかりとやりたいことを書いてアピールしましょう。
【職種別】職務要約でアピールすべきことをチェック!
職務要約は書きたい項目は誰でも同じですが、目指す職種によってそれぞれに、書くべき内容は違います。職種ごとにアピールしておいたほうがいい内容をしっかり書き込めるようにしましょう。
販売の職務要約
販売職の職務要約は、業務状態や店舗の従業員数、商材などを記載します。販売スタッフ、バイヤーなど手掛けた業務内容や、それによって果たした実績などがメインです。マネジメント経験などもあると有利に働くことがあるため、漏らさず書きましょう。
営業の職務要約
営業では、扱っていた商品や法人・個人などの営業対象を記載します。実績は営業で特に評価される部分なので、数字や表彰履歴を使って客観的事実として伝えましょう。また、面接官の知識が少ない異業種への転職では、数字だけでは実績を理解できないこともあります。その場合には達成率や社内での順位などでより分かりやすく伝える工夫が必要です。
製造の職務要約
製造・メーカーでの職務要約は、自分が担当した製品や業務内容を記載します。実績は具体的に数字で伝えることが大切です。技術力が必要な業務や扱える機械、取得した関連資格などもアピールとして使えます。
事務の職務要約
事務の職務要約では、経験した業務内容やPCスキルなどです。経験業務の広さやPCスキルの幅は、事務のアピールポイントになります。もっている関連資格なども大切です。PCスキルは、ソフト別に記載しましょう。エクセルであれば関数までできる、マクロが使えるなどのスキルの範囲まで記載があると担当者も分かりやすいと感じます。
また、正確さが必要な事務の仕事なので、応募書類でもスペルミスや打ち損じには注意が必要です。
経理の職務要約
経理の職務要約は、経理業務の内容のうち、自分ができる範囲を記載します。月次処理業務、売掛金買掛金の処理、決算処理などの経験実績を中心にまとめて、もっていれば簿記などの経理系資格も伝えましょう。事務としてPCスキルの幅や資格などもアピール材料になります。
管理職経験がある場合の職務要約
管理職経験がある場合には、それも重要なアピール材料です。簡単に就いた役職やまとめたグループの人数、実際の職務内容などを記載しましょう。数字や表彰などでグループが達成した最終的な成果を書くと、担当者も興味をもちやすくなります。
職務要約を書くときの注意点は?
職務要約は書き方の基本が決まっており、スペースにも限りがあります。そのため、自由度は少なくなりますが、基本からズレなければミスしにくいものです。注意点をしっかりと押さえ、読みやすくアピールとして通用する職務要約を作成しましょう。
文章量は200~250文字程度
職務要約は、あくまでも要約文です。あまりにも長いと読みにくく感じて読み飛ばされることもあります。最大でも250文字までで納めたいところです。一般には300文字以上だと長いと感じる人が多くなります。
マイナス面は書かない
実際には反省点や失敗などもあったかも知れませんが、職務要約の部分ではそういったマイナス面の内容は書かないのが普通です。マイナス面も伝えることで謙虚さを伝えたいと思う人もいるようですが、それは面接時など、じっくりと担当者と話せる環境でやればいいのです。短い文章でアピールしなければいけない職務要約ではいいことのみでOKです。
客観的事実のみを実績とする
職務要約は、手短にアピールをしなければいけないため、がんばった過程などを書くスペースはありません。また、採用担当者が最も興味をもつのは、最終的な成果のみです。そのため、職務要約では、具体的に起こした行動と結果、成果のみを客観的にまとめます。努力した内容などは、面接に進んだときにアピールすればいいのです。
もっと読みたくなる職務要約で書類選考突破を
職務要約は、短いながらも採用担当者が書類選考の基準にする重要な部分です。魅力を端的に、かつ的確にアピールして、担当者にもっと読みたい、会いたいと思わせましょう。短い文章となるため、記載する内容は十分に吟味して、関係のない内容を書かないようにすることが必要です。自信がない人は相談しながら書類作成できる転職エージェントを活用してもいいでしょう。