医師という職業にも、「時間や場所にとらわれない、新しい働き方」であるフリーランスの波はやってきています。
フリーランスの医師として働くことにはデメリットもありますが、魅力的なメリットもたくさんあります。だからこそ、今フリーランスの医師に注目が集まっているのでしょう。
ただ、どんな医師でもフリーランスという働き方に向いている・できるわけではありません。
また、勤務医との年収の差も気になるところですよね。今回は、フリーランスならではの問題である「仕事の獲得の方法」などもご紹介していきます。
あなたがフリーランスの医師になれるかどうか?なってみたいと感じるかどうかを、この機会にぜひ考えてみてください。
フリーランスの医師という働き方
この記事では常勤ではない非常勤の医師=フリーランスの医師と紹介しています。
実際にどれくらいの割合の医師が、フリーランスとして働いているのでしょうか?下記の円グラフは、常勤医師と非常勤医師の比率をあらわしています。割合は、常勤医師が約7割に対して、非常勤医師は1割ちょっとです。
参照:厚生労働省医政局 医師の勤務実態及び働き方の 意向等に関する調査 平成29年4月6日
フリーランス医師には2種類ある
フリーランス(非常勤)の医師には「定期非常勤」と「スポット」の2種類の働き方があります。定期非常勤、スポットという働き方の特徴は以下に紹介していきます。
イメージとしては、
フリーランスの医師=非常勤医師=(定期非常勤+スポット)の医師
このような形です。覚えておきましょう。
■定期非常勤
勤務日程が決まっている働き方を定期非常勤といいます。勤務日が決まっているため非常勤ではあるものの、同じ病院で中・長期的に仕事を得ることができ、安定した収入が得られます。
(例)月曜、水曜、土曜の午前のみ外来対応、金曜の当直などの勤務形態
1月から募集が始まり、4月からの勤務となることが多いため、早めに情報収集をして勤務先を決定したいところ。勤務期間は一般的に3~4年くらいが多い。
スポットよりも定期非常勤で働く医師数は多いのも特徴。
■スポット(アルバイト)
スポットはアルバイトともいわれます。病院で医師が不足する状態になったときに、単発で発注されるお仕事です。時給は高めですが、求人がいつあるかわからないのがデメリット。
定期非常勤の間にスポットを入れることもできます。また、スポットを経て定期非常勤にステップアップしていく場合もあります。
スポット→定期非常勤→(場合によっては常勤にも)
副業としてフリーランス医師になる場合
フリーランスで働く医師に「なぜフリーランス化するのか?」と聞くと、最も多い答えは「収入を増やすため」だということ。
参照:リクルートメディカルキャリア「2015年3月医師に関する調査」
そのため、フリーランス1本で働く場合もありますが、病院での常勤に加えて、手っ取り早く収入アップが見込める非常勤(フリーランス)の医師としても働くというケースが多くなっています。例としては、「研究日」と呼ばれる給料が発生しない日の半日をスポットで働くというケースです。
「収入」以外のフリーランスで働く理由としてはさまざまな症例の経験を積むことで「スキルアップを図る」という目的の場合もあります。また、医師が不足している病院からの依頼や、勤務している病院からの要請で兼業しているフリーランスの医師も少なくありません。
勤務する病院が2か所以上の医師の割合は半数近くという調査結果もあります。
兼業、副業は医師の中ではよくあることというわけですね。
参考:労働政策研究・研修機構 2012年9月勤務医の就労実態と意識に関する調査
女性にもピッタリの働き方
女性医師のなんと約4人に1人はフリーランス(非常勤)医師という調査もあります。
参考:日本医師会総合政策研究機構「病院における必要医師数調査結果」2.3. 現員医師数(勤務形態)
フリーランスという働き方は、子育て中の女性にも働きやすい働き方です。フリーランス医師のメリットでも紹介しますが、時間が自由に使えることが大きいでしょう。
常勤医師の勤務時間はどうしても長時間になってしまいます。残業なし、勤務日を調整しやすい非常勤やスポットという働き方をしながら、子育てが落ち着いてから常勤に戻る医師もいます。
フリーランスになりやすい科目がある
フリーランスの医師としての需要が高い科目や、高い報酬が得られる科目があります。自分の専門でフリーランスが向いているかどうかのチェックをして見てください。合わせてフリーランスの医師が多く勤めているな科目も紹介していきます。
外科医は難しい(カリスマだけ)
外科医でフリーの医者といえば、米倉涼子さん主演のテレビ朝日系のドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」ではないでしょうか?
イメージが強いためか「外科医はフリーランスで働けるのか!」と思う方は多いと思いますが、そうではありません。
外科医の場合、手術になると術前からの入念な検査やチームでの会議、麻酔科との連携、術後の回復を診るなど、手術の日だけ来て仕事が終わりというわけにはいかないためフリーランスの医師では対応が難しいのです。フリーランスの外科医がいないというわけではありませんが、数は少ないのが現状です。
人気な科目は産科医、麻酔科医
<人材が不足しているため、人気で報酬が高めであることが多い科目としては、産婦人科や麻酔科が挙げられます。人材不足であることに加えて、どちらの科目もその日行くだけでも仕事ができる内容だということも要因となっています。
最近の傾向としては、精神科や訪問診療などの人気も高くなっています。
フリーランス医師が多いのは内科
フリーランス医師が働いている割合が高い科目は内科、全科(すべての科目の診療ができる科)、皮膚科の順※になっています。その分、目指しやすいとも言えます。仕事内容でいうと外来や当直が多くなっています。
※参考:日本医師会総合政策研究機構「病院における必要医師数調査結果」
フリーランス医師のメリット・デメリット
ここでは、フリーランスの医師になるメリットとデメリットを合わせて紹介していきます。自分がどんな働き方を目指しているのか、何を重視して働くのかを考えながらチェックしてみてください。
メリット
フリーランスの医師を目指す要因となる部分ですね。フリーランスにしかない特徴がありますので紹介していきます。
メンタル・体力面でかなり楽になる可能性も
常勤の勤務医で大変なのが夜勤、残業、急な呼び出しなどです。さらに、医局内の医師や看護師との人間関係で疲弊するということが挙げられます。
フリーランスになると、指定された時間に勤務して終われば帰るというようになるため、常勤の勤務医よりもメンタルや体力面で楽になるということがいえるでしょう。
報酬アップも
・副業としてフリーランス医師になる
・需要の高い担当科目でフリーランス医師
・専門性の高いスキルを活かしてフリーランス医師をする、など
勤務医よりも高い報酬を得ることも可能です。そのためフリーランスの医師になり、年収を増やし、独立の足掛かりとする方もいます。
嫌な仕事は断れる
デメリット
フリーランス医師になるデメリットももちろんあります。自分が許容できるかどうかをチェックしてみてください。対応策の紹介もします。
仕事がなくなる場合も(不安定)
急な仕事探しについては、転職エージェントの利用で解決する場合もあります。詳細は以下の見出しをチェックしてみてください。
勝手に報酬は上がらない
勤務地が遠い場合も(交通費の支給無しも)
中・長距離の移動や移動回数でのストレスがあったり、契約によっては交通費の支給がない場合もあるため、報酬減になってしまうこともあります。損をしないために交渉はしっかりとしておきたいところです。
税金・保険料を自分で支払うことになる
手続きの詳細はこちらの記事もチェック→
フリーランスとはどんな働き方?あなたに合うかチェックしてみよう!
最先端技術を学ぶのはすべて自己負担
しかし医師には最先端の技術を学ぶことは必要不可欠です。そのため自ら「学会」に出向いて勉強しないと最先端の医療を学べないのが大きなデメリットとなります。
学会に行く日は無収入になってしまいますし、交通費などすべて自腹です。高額な医学書を購入するのもすべて自己負担になってしまいます。確定申告で全て経費に計上するくらいしかメリットはありません。
フリーランス医師の年収は?
フリーランス医師の年収はどのようになっているのでしょうか?時給や働き方による違いをチェックしてみましょう。
勤務医の平均年収は1500万円
日経ビジネスオンラインによると、勤務医の平均年収は約1500万円ということ。この金額を基準にフリーランスの医師と年収を比較していきましょう。
非常勤の時給は1万円
フリーランス医師の時給の相場は約1万円とされています。医師不足が深刻な地域では時給が1万5千円ということもあるのだとか。そのほか、訪問診療や整形外科では時給が高い傾向にあります。
フリーランス医師の働き方をチェック
フリーランス医師の場合、勤務日数は週に1回程度が40%を占めており、勤務医をしながらの副業として働いている人が多いことがわかります。フリーランスをメインにして働いているであろう週4日以上働いている人は9.7%と約1割という数字になっています。
参照:リクルートメディカルキャリア「2015年3月 医師に関する調査」
また、勤務形態としては1日(全日)が50%、次いで午前中が33.5%となっています。
参照:リクルートメディカルキャリア「2015年3月 医師に関する調査」
病院の常勤に加えて、フリーランスで働いている人は勤務医の年収を超える人が多くなるか同等の給与を得られています。
またフリーランスのみでも勤務医と近い平均年収を稼いでいることもわかっています。以下で詳しく見ていきましょう。
POINT
フリーランスのメリットである、残業や会議、その他の煩わしいことが無いうえに常勤医師に近い年収やそれ以上を稼ぐことができる
実際の勤務時間による計算例を見てみよう
勤務医の平均年収は約1500万円※。「時給1万円のフリーランス医師」でこの額を超えようと思うと、以下のような勤務になります。
【例】8時間勤務(日勤・1日)が3日、4時間勤務が2日を入れられたとして
8時間×3日=24万円
4時間×2日=8万円
24+8=32万円←週での稼ぎ
32万円×4週=128万円←月収
128万円×12か月=1536万円←年収
参考:日経ビジネスオンライン
上記のような働き方プラス、条件が合う勤務を隙間時間に増やすことができれば、完全週休2日で勤務医の平均年収を超えることもできるでしょう。
また時給を1万円で計算していますので、時給がそれ以上ならもちろん平均年収を上回っていきます。
資料として参考にしていただけるのが以下のグラフです。定期非常勤のみでの年収をあらわしたグラフです。副業というスタイルではなく、フリーランス(定期非常勤のみ)で働いている医師の約1.5割が勤務医の年収と同等か超えているということがわかります。
参考:リクルートドクターズキャリア会員登録者へのインターネット調査 2017年10月
また、定期非常勤+勤務している病院での年収の合計金額での調査結果を見ると約4.6割の医師が常勤医師以上の年収を得ているということです。
参考:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査 」
フリーランス医師になるには
ではいざフリーリーランスの医師になろう!と思ったら何をすればいいかという部分を説明していきます。
まず、フリーランスになって自分は大丈夫か?という部分が1番に気になるのではないでしょうか。勤務歴やスキル、専門の科目、住んでいる地域の求人の特性、時給相場など、自分で調べたり判断するのが難しい場合があると思います。
その場合、活用してほしいのがエージェントサイトです。転職やフリーランスに知識のある専門のエージェントに、自分はフリーランスになっても大丈夫か?という部分から相談してもいいでしょう。無料で登録して相談までできるので、利用しない手はないはずです。医局の先輩などには相談しづらいことを相談してみることもできます。
また、フリーランスになるきっかけとしては、医局や同僚から頼まれたためという自発的ではない場合もあります。そのような場合を除き、基本は自分で仕事先を探すことになります。自分の細かな条件を伝えて、希望に添った病院を紹介してもらいましょう。生活のために時給は〇円は最低欲しいなどの条件を伝えておくのが重要です。
■エージェントサイトでできること
エージェントサイトを使うと、急にできた空き時間にスポット案件を提案してもらうことがスムーズにできます。定期非常勤で勤務していても、いきなり休みになってしまうことがありますよね。そういった、いきなりできた空き時間のために、収入が減ることになります。
定期非常勤先からの急な休み連絡はエージェントサイトを通してくるため、その時にすでにスポットの案件を提案してくれることもあります。
エージェントサイト活用ポイント
複数のサイトで登録をしておきましょう。複数登録しておけば、どこかで急な空き時間に対応したスポットが見つかるかもしれませんよね。空き時間は減収につながります。案件を入れたい時に入れられる体制が整っていることが重要です。
■勤務年数5年は欲しいところ
医師になりたての新人がいきなりフリーランスになってもできる仕事は残念ながらほぼありません。
まずは常勤勤務として5年くらい経験を積みましょう。基本的にフリーランス医師は、即戦力を期待されているのでどこの病院にいきなり行っても大丈夫というくらいの経験があればいいでしょう。
【以下にCHEWYおすすめのエージェントサイトを紹介します】
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