「そもそも」はビジネスシーンで使える言葉
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「そもそも」はビジネスシーンでも使える言葉 です。
議論の前提として使われることが多く、やや攻撃的な印象も受けがちですが、物事を改めて問うときのフレーズとして効果的です。
議論が起きるシチュエーションでは「そもそも」と似た、別の言葉を用いることも可能です。場を穏便に済ませたいときには類語を使い分けることも覚えておきましょう。
・本来
・元来
・当初
など
「そもそも」の漢字と意味
「そもそも」は日常生活でもよく使われるフレーズです。ひらがな表記されることが多く、言葉の意味について説明されるケースは多くありません。ここでは「そもそも」の漢字と意味を掘り下げていきましょう。
「そもそも」の漢字
「そもそも」は漢字で書くと【抑(そも)】を2回重ねて【抑々(そもそも)】とします
語源にはさまざまな説がありますが、有力なのは中国由来の漢文訓読です。【抑】には「おさえる」「慎む」「控えめにする」という意味がありますが、漢文訓読では【抑】を【そも】と読む場合があります。
このことから「抑々」が日本に伝わり、現在のように広がったといわれていますが、【其(そ)も】や【其(そ)のもと】が転じたなど、さまざまな諸説があります。
「そもそも」の意味
「そもそも」は【物事の始まり】や【発端】を示す言葉です。「そもそも」には2つの意味があり、どちらも”議論や物事の原点に立ち返る使い方”がされています。
接続詞 – 文頭に用いて改めて事柄について説き起こす・振り返る。
議論や意見交換の場では白熱してくると当初の目的や発端を忘れがちになります。そこで一旦、議論が始まった物事を説き起こす際に用いられます。また、原因追及の際にも「そもそも」を使用するケースは多く、トラブルになりやすいので使用には注意が必要です。
「そもそも」の使い方・例文
物事の原点を説き起こす際の「そもそも」は便利な言葉ですが、多用すると相手に失礼と受け取られてしまうリスクがあります。
なぜなら、”原点に戻る”ということは”一から説明する”ということです。つまりは、”一から説明してやる”や”一から説明しないと理解できない?”といった、高圧的なニュアンスとも受け取られる恐れがあります。
“発端に戻る”ということは、”原因の究明”に必要なステップです。それは”責任追及”にも及びかねず、相手に対して攻撃的なイメージを与えてしまうことにもなります。
便利だからと多用せず、事の始まりを説明する”ここぞのタイミング”を見極めて使いましょう。
「そもそも」には、”原点”や”発端”以外にも「基本的に」という意味の使い方も可能です。シチュエーションによっては口論に発展しかねない「そもそも」ですが、言葉のバリエーションとして使い分けられます。
「そもそも」の類語
「そもそも」はニュアンスが高圧的に受け取られやすく、使う場面や使用頻度を慎重に選ぶ必要があります。あまり多用しないためには、類語を交えながら使うのが円滑なコミュニケーションのコツです。言い換えできる「そもそも」の類語をご紹介しましょう。
元々/本来/元来
「元々」「本来」「元来」とは最初を意味する言葉です。いずれの言葉も漢字は異なりますが、それぞれに始まりを意味する「元(本)」を含んでいる単語です。
どの単語も「そもそも」に置き換えて使用することができ、言葉のリズムに合わせて使い分けるのがベストです。
ちなみに「元々(もともと)」は”最初”を意味する「元」を重ねて意味を強めた表現。「元来(がんらい)」は起源や由来を示すときに使用するのが適切です。「本来(ほんらい)」はその中間として使い分けましょう。
当初
“始まり”や”最初”を意味する言葉です。事の発端や始まりを”最初”と表現しても問題ありませんが、ビジネスシーンでは”当初”を選んだほうが言葉の形として適切です。
「そもそも」の関連語
使いやすい言葉はさまざまな場面で用いられるケースが多く、ビジネスシーンだけにとどまらずに引用される場合が多数あります。ここではそんな「そもそも」の関連語をピックアップしてみました。
「そもそも論」
「そもそも」を前提とした論説です。例えば企画を通す際に意見を出します。その意見を通すためには、まず何が必要なのかを考えます。
デザインを変える → どんなデザイン?誰が考える?
広告を打ち出す → どこに依頼する?そのコストは?
このように始点となる物事を俯瞰(ふかん)的に見つめ、スタートラインとなる「そもそも」を論じることが「そもそも論」です。
「そもそも論」は議論や物事から一歩引いて見つめる論説なので、第三者から見れば冷静、またはドライに見えてしまう場合もあります。
はたから見たら”いちゃもん”と思われないように、「そもそも論」には正確な理論づけと言葉選び、ニュアンスの工夫が必要です。
漫画『そもそもウチには芝生がない』
エッセイ作家「たちばなかおる」によるアラフォー女性3人の日常を描いたコメディ作品です。
登場人物たちはそれぞれ悩みを抱えており、当人でなければ理解することが難しい複雑な生活環境・人間関係を送っています。重い内容が続きますが、作者の画風と人生劇場がアラフォー女性たちの共感を呼んだ人気作です。
作品タイトルで見られる「芝生」とは、「隣の芝生は青く見える」ということわざから彼女たちの決して平坦ではない人生を指して、「その芝生がそもそもうちにはない」という意味でつけられていると推測されます。
ビジネスシーンで使える「そもそも」の英語表現
「そもそも」はビジネスシーンでも使える言葉であるため、英語で表現しなければならない場面が出てくることも考えられます。
いざという時のために、会話やメールでの使い方を確認しておくと安心です。
In the first place
First of all
To begin with
と表現できます。
「そもそも」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒そもそもこの企画を通すことに無理がありました。
・First of all, I can not understand why did you make such a decision.
⇒そもそもなぜこのような決定を出したのか理解できません。
・What resulted in this outcome was an arbitrary decision in the first place?
⇒この結果となったのは、そもそも独断専行が原因だったのではありませんか?
・To begin with, I am here to help you solve it.
⇒そもそも自分がここにいるのは、解決するためのお手伝いです。
・Nobody is perfect in the first place.
⇒そもそも誰だって最初から完璧なわけじゃない。
「そもそも」は使いすぎに注意しよう
「そもそも」は事の始まりを振り返るときの表現として使いやすい反面、結果的に問題点や原因を強く追究・言及してしまいかねないリスクのある言葉です。便利な言葉だからと使い過ぎず、タイミングや使用頻度を見極めて適度に使用しましょう!