「ことごとく」は”すべて”や”全部”との意味をもつ言葉
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「ことごとく」は、 “物事のすべてや全部・全体”、または”残さず”との意味をもつ言葉 です。
「ことごとく」には10種類の漢字があり、いずれも同じ意味として使われています。
ビジネスシーンでも使用機会が多い「ことごとく」の類義語もチェックしておきましょう。
・余すところなく
・おしなべて
・あらいざらい
「ことごとく」の漢字は「悉く」?「尽く」?
多くの漢字をもつ「ことごとく」を辞書で調べると「悉く」と「尽く」のふたつが登場します。ふたつとも「ことごとく」の意味として正しく、どちらを使っても間違いではありません。
「ことごとく」の語源は?
「ことごとく」の語源は奈良時代・上代のころ。“事を重ねる”ことで物事のすべてをあらわす「事事」に由来するとされています。現在でも大げさなさまの表現に「事事(ことごと)しい」という言葉が使われています。
現在の「ことごとく」として用いられるようになったのは平安以降。「日本書紀」などの漢文訓読系の文章から確認できます。
「ことごとく」の使い方・例文
物事のすべてを表現する「ことごとく」は日常会話からビジネスシーンでも使える表現です。基本的な「ことごとく」の使い方を例文でご紹介します。
「ことごとく」を使った例文
大勢を相手にする機会の多いビジネスシーン。”成功”や”失敗”、”肯定”や”否定”など、多くの物事に向き合うシチュエーションで「ことごとく」は使用できます。
「毎々」と「ことごとく」の違い
「ことごとく」の意味で誤用されやすい「毎々」。ここでは「毎々」と「ことごとく」の違いについて解説します。
「毎々」の読み方・意味
「毎々」は「まいまい」と読み、”毎回”や”いつも”という意味をもつ単語です。「ことごとく」の誤用から「毎々」を「ことごと(く)」と読み間違える人も多くいます。
「ことごとく」と「毎々」の違いを例文で確認してみましょう。
例文1は”すべて失敗”しているという意味。対して、例文2は”いつも失敗”していることになります。「いつも」は”普段”や”常に”という意味をもち、使用されるシチュエーションが「ことごとく」と似ています。
「ことごとく」が”物事のすべて”に対して、「いつも」は”行動や状態、状況をあらわす言葉”です。”すべて”と”いつも”はニュアンスが似ていますが、”いつも”が指しているのは物事の全体というわけではありません。
例えば、いつも失敗をする人がひとつでも成功をすれば「ことごとく失敗」しているわけではないですよね?物事を指す意味として「毎々」は「ことごとく」よりも曖昧な表現になります。
「毎々」を使った例文
「毎々」は「平素」と同じ意味の書き言葉です。挨拶文の書き出しとしてビジネスメールで使用できます。
「毎々お世話になっております」を使った例文
付き合いの長いビジネスパーソンに対して日頃の感謝を伝えた例文です。名乗りが先でも後でも使用可能。
日立グループのビジネスメールで使用されていることでも有名です。
「毎々格別のお引き立てに預かり~」をつかった例文
“特別に目を掛ける”の意味をもつ「引き立て・引き立てる」に「お」をつけて丁寧に表現した言葉です。いつも利用してくれている取引先への感謝を述べた文章です。
そのままの意味の「ご贔屓(ひいき)」や「ご愛顧」に言い換えて使用することも可能。
※「ご愛顧」をもっとよく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓
「ご愛顧」とは?「ご愛好」と何が違う?読み方や類語・英語表現など詳しく解説!
「ことごとく」の類義語
・余すところなく
・おしなべて
・あらいざらい
「ことごとく」と同じ意味で使われる類義語もチェックしていきましょう。
もれなく
もれなくとは“例外なく”という意味で、文字通り「漏れる(もれる)」ことのないさま。
応募者全員プレゼントの「もれなくプレゼント」など、宣伝文句でも見かける機会の多い言葉です。ビジネスシーンではアンケートや回答書の必要事項の案内などに使用されます。
余すところなく
“残り”や”余り”がなく、すべてを指した言葉です。相手に食事や施設の利用をすすめるときによく使われています。物事が残りわずかであることを「余すところ」と表現することも可能(例:「今年も余すところ~」)。
おしなべて
「おしなべて」はひとつのものやさまを全体として表現できる言葉。古典文学で使われていた古語で、現代では使用頻度の少ない単語です。漢字では”押し並べて=おしなべて”と表記し、数字や物をアバウトにあらわすことが可能です。
類義語の「あまねく」は”すべてに行きわたる”という意味をもち、「ことごとく」と「毎々」の関係のように誤用の多い表現です。
※「おしなべて」をもっとよく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓
「おしなべて」とは?意味や類語・英語表現・使い方を解説【例文あり】
あらいざらい
“なにもかもすべてをさらけ出す”という意味の言葉です。本心などを打ち明けるときの「自白」のイメージで使われていますが、隅から隅までチェックをしたときなどにも使用可能。
「ことごとく」の英語表現
ビジネスシーンにおいて「ことごとく」を使用した文章を英語で表現しなければならない機会がでてくる可能性もあるでしょう。
そんな時のために、会話やメールでの使い方を事前に確認しておいてください。
everything, entirly, altogether, every
と表現できます。
「ことごとく」を使用した例文はこちらです。
⇒彼は仕事を ことごとくこなしています。
⇒顧客への連絡がことごとく通じません。
⇒課長はクライアントの要求にことごとく応じています。
「ことごとく」の意味を理解して正しく使おう!
「ことごとく失敗した」など、ネガティブなイメージでの使用も多い「ことごとく」は”物事の全体・すべて”の意味をもつ言葉です。
“成功”や”失敗”、”肯定”や”否定”など多くのシチュエーションで使用できるため、意味をしっかりと理解し、正しく使いこなしましょう!