クロスメディアとは、いろいろなメディアで販促すること
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新聞広告の中では簡単な商品説明を掲載し、「詳しくはWebサイトへ」と他のメディアへ消費者を誘導する。
このような宣伝をすることをクロスメディアといいます。こちらの記事ではクロスメディアの詳しい意味や使い方、どんな事例があるのかなどをわかりやすくご紹介していきます。
クロスメディアの意味をチェック
クロスメディアの概要は最初の項目でだいたいイメージができたでしょう。それではここから、詳しい意味や使い方などについてお話しますね。
クロスメディアって?
宣伝媒体は、テレビCMやチラシだけでなく、インターネット広告、SNS、ホームページ、雑誌、新聞、イベント開催などいろいろと存在します。
クロスメディアは、同じ宣伝内容を各媒体に展開するのではなく、それぞれで見せ方や表現のしかたを変えながら展開し、それらの相乗効果で宣伝活動を広げていく手法のことをいいます。
そして、この『クロスメディア』は宣伝活動の一つの戦略として使われるので、『クロスメディア戦略』といわれることが多いのが実情です。
クロスメディアの英語
英語では『crossmedia』と記載することもあれば、『cross-media』と2つの単語の組み合わせで記載することもあります。
そして、それぞれの単語は次のような意味をもっています。
【cross】
・組み合わせる
・交差する
・十字架
・十字をきる
など
【media】
・マスコミ、マスメディアの複数形
(マスコミ:マスコミュニケーションの略。新聞・雑誌・テレビなどで不特定多数の人に多くの情報を伝達すること。)
(マスメディア:新聞・雑誌・テレビなど、マスコミ活動をするための媒体。)
これらの言葉から、複数のマスメディアを組み合わせるということが連想できますよね。
クロスメディアの使い方・例文
クロスメディアの意味は理解できたと思いますので、ここでは言葉の使い方を例文を使ってご紹介しておきます。
クロスメディア戦略における広告組み合わせ例
テレビCMを見ていると、ときどき『詳しくは〇〇〇と入れて検索!』という案内を見ることがありますよね?これは『テレビ⇒ホームページ』のクロスメディアです。
このように、クロスメディア戦略にはさまざまな広告の組み合わせがあります。ここでは組み合わせの例をいくつかご紹介しておきます。
例1.電車内の広告→SNS
今や持っていない人はいないといえるほど、スマートフォンやタブレットが普及し、LINE、Facebook、Instagramなど、SNSを利用する人が多くなっています。
そのため、これらのSNS上に公式アカウントをもっている企業も増え、宣伝活動に利用しているという事例も増えています。
たとえば、電車のつり広告。短時間で目にとめてもらうためにも、文字をぎっしりと書くわけにはいかず、詳しい商品説明などはできませんよね。そこで、広告からSNSアカウントへ誘導するというクロスメディア戦略があります。
広告によっては、SNSのページに簡単にアクセスできるようQRコードを掲載しているものもあります。
例2.チラシやDM→ホームページ
ホームページでどんなに商品を紹介していたとしても、そのホームページにアクセスしてもらわなければ意味がありません。必要最低限しかインターネットは使わないという人にもたくさんアクセスしてもらうためには、他のところから誘導する必要がありますよね?
そこで、新聞をとっている人の手に確実に渡る折り込みチラシ、新聞をとっていない人にも宣伝ができるDM(ダイレクトメール)、ホームページへのアクセスを促す方法をとります。
例3.テレビCM→WEBサイト→資料請求
2種類の媒体を使って資料請求へ導くといったクロスメディア戦略もあります。
不動産、学習塾、リフォームなど、どれを利用するかを吟味するようなものだと資料請求をして検討しますよね?
そこで、なんとなくでも目にすることがあるテレビCMはとても有効的な宣伝の手法となります。そしてそこからホームページにアクセスしてもらえれば第一の宣伝活動は成功です。
ホームページにアクセスしてもらったら、資料請求をしてみたくなるような商品やサービスを詳しく説明する。これが第二の宣伝活動になるわけです。
クロスメディア戦略で得られるマーケティング効果
マーケティングの手法として最近よく取り入れられているクロスメディア戦略ですが、取り入れる企業が多いということは、それなりの効果が得られているはず。
具体的にどんなマーケティング効果があるのかをまとめてみました。
一つの媒体不足情報をカバーすることができる
テレビCMは時間が決まっているため、伝えたい情報すべてを詰め込むことはできません。チラシなどの紙媒体は文字数が決まっているため、これもまた伝えたいことすべてを掲載することはできません。
そこで、CMやチラシからホームページやSNSに誘導することで、不足情報を補うことができます。
コスト削減が期待できる
テレビCMは時間が長くなればなるほど費用がかかります。また、チラシも掲載範囲を多く確保しようとすると、それだけ費用がかかってしまいます。
そこで、一つの媒体の情報量を必要最低限にすることで、宣伝にかかるコストの削減につなげる効果が期待できます。
さまざまな層の消費者を獲得できる
今は、高齢の人でもスマートフォン、タブレット、パソコンを利用する世の中になっています。しかし、若い人に比べるとインターネットの利用率は低いといえます。
高齢の人たちは、昔ながらの『目で見る広告』から情報を得ることは多いです。クロスメディアの活用によって、普段はインターネットを使わない層の消費者を獲得することができるのです。
宣伝効果を計りやすい
テレビCM~ホームページのアクセスという流れを作っていれば、どのくらいの人がテレビCMを目にしたのかを計ることができます。
また、配布したチラシからホームページへの誘導ができるようにしておけば、どのくらいの人が配布したチラシに反応を示してくれたのかがわかります。
このように、クロスメディア戦略により、どのくらいの宣伝効果があったのかを計ることができ、今後の宣伝に活用することもできるようになります。
クロスメディアの成功事例3選
どのようなクロスメディアが存在するのかはだいたいおわかりいただけましたよね?それではここで成功事例を簡単にご紹介しておきます。
1.サントリー「角ハイボール」
「ウイスキーはおじさんが飲むお酒」。昔の若者であればこんなイメージをもっている人もいたのではないでしょうか。
しかし、サントリーは、お洒落なCMや居酒屋にポップなポスターを貼るといった店舗を活用した宣伝で、若者の消費者の獲得に成功しました。
その他、「ハイボールにはカラアゲがあう」というポスターをコンビニのカラアゲ販売コーナーに設置。その近くに缶のハイボールを置くことで、カラアゲとともにハイボールが欲しくなるという消費者の欲をかきたてられる効果が生まれました。
2.再春館製薬「ドモホルンリンクル」
テレビCMだけでなく、インターネットでもCMを流しているドモホルンリンクル。どんなに若い人でも一度は目にしたことがありますよね?
CMの最後に無料お試しセットの案内をし、「ここに連絡すればもらえますよ~」という形式でクロスメディアを活用している典型的な例ともいえます。
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ドモホルンリンクルは、テレビやYouTubeのCMの他にも新聞広告、折り込み広告も出しています。CM同様にサンプル請求ができるという案内があったり、『ドモホルンリンクルと入れて検索してみてください』と掲載されていたりするのをよく目にします。
もとはゲーム?!「妖怪ウォッチ」
子供達のあいだで大人気アニメの『妖怪ウォッチ』は、2013年にニンテンドー3DS専用のゲームソフトと思いきや、実はそれより前に『月刊コロコロコミック』で2012年12月から連載開始されたマンガが一番最初でした。
その後、クロスメディアプロジェクトの一貫として、ニンテンドーのゲームソフトを発売。これが発売開始から約3週間で約10万本を売り上げた大人気ゲームとなりました。
そしてさらに半年後にはテレビアニメ化され、ゲームをしていなかった子供達にも広く知られるようになり、アニメを見てからゲームを購入したという人もいるようです。
クロスメディアとメディアミックスの違いって?
クロスメディアとよく混同される言葉の中に『メディアミックス』があります。複数のメディアを利用した宣伝活動という点においてはどちらも同じですが、このような違いがあるんです。
クロスメディアの関連用語
クロスメディアが何なのかはもうわかりましたよね?それではここで、関連語をいくつか紹介します。
クロスメディアエキスパート
情報として利用可能なものを紙面、インターネットなど複数のメディアに効果的に展開できる制作能力をもつ人材のことをいいます。
クロスメディアエキスパートとして認められるには、認証試験で合格する必要があります。合格者も2年ごとの更新試験を受験し、常に基準を満たす必要があるなど、やや敷居の高いものとなっています。
参考 JAGAT(公益社団法人日本印刷技術協会)資格制度クロスメディアマーケティング
市場調査、商品やサービスの宣伝など、自社の商品やサービスをより多く販売できるようにする活動をマーケティングといいます。
クロスメディアマーケティングとは、簡単にいうとクロスメディアを活用したマーケティングのことをさします。
これまでの項目の中でも少し触れましたが、イベント会場で配布したチラシから公式サイトにアクセスしてくれれば、チラシを受け取った人の中で何人反応してくれたか調査することができます。そして、公式サイトで興味をもってくれた人は商品を購入してくれます。
インターネットが普及した現代において、マーケティング活動にクロスメディアを活用する企業も増えつつあるのです。
AISAS/AISCEAS
AISAS(アイサス)とは、『注目→興味→検索→購買行動→情報共有』という人の消費行動のことをいいます。
AISCEAS(アイセアス/アイシーズ)とは、AISASのプロセスで、『検索』と『購買行動』の間に『比較/検討』が含まれる消費行動のことをいいます。
クロスメディアが販売側の戦略であるなら、AISAS/AISCEASは消費者側の購入戦略といえるのではないでしょうか。
AISAS/AISCEASについてもっと詳しく知りたい人は、以下の記事をぜひご覧ください。
AISAS・AISCEASの法則・理論とは?実際の事例やDual AISASの知識を交えて解説
クロスメディアで消費者を呼び込む
テレビCMで「コレ何?!」と興味をもった商品は、『詳しくはwebで』と書かれているとついつい対象ページにアクセスしてしまう。そこでさらに興味をもつ内容が書かれていると、「欲しい!」と思ってしまう。
消費者をこのような感情にさせることができれば、クロスメディア戦略としては成功です。一つの媒体で目にする広告よりも、いろいろな媒体に促すことで、消費者をその商品に引き付けやすくなるという効果もあります。宣伝活動にたずさわる場合には、途中で興味を失わせないよう上手に消費者を誘導していきましょう。