「ご高覧(御高覧)」=見てください
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「ご高覧(御高覧)」とは「ご覧ください」という意味の言葉で、さらに簡単に説明すると“見てください”と相手に伝える丁寧な表現です。例えば書類や資料、商品など、目上の相手に見てもらいたいものがあるときに使います。
「こちらの商品をご高覧ください」や「こちらの資料をご高覧いただければと存じます。」など、主にビジネスシーンで使用されますが、使われる機会が限定的なフレーズであるため、一般的には「ご覧ください」や「ご確認ください」などの言葉を使って表現することが多いといえます。
「ご高覧」以外にビジネスシーンで使われているのほかの言い換え表現もあるため、確認し身につけておきましょう。
・「ご清覧」
・「ご笑覧」
・「ご一読」
・「お目通し」
「ご高覧」の読み方と意味
「ご高覧」は「ごこうらん」と読み、「他人が見る」ことを敬った表現の敬語です。そもそも「覧」とは「見る」の漢語表現であり、接頭語に「御(ご)」を付けた尊敬表現として用いられる言葉です。
一般的にはフォーマルな場で使用される言葉ですが、舞台や演劇、ショーなどで「とくとご覧あれ」というフレーズを聞いたことがある人も多いと思います。このように、相手に【何か】を「見てください」と伝える際に使う言葉です。
「ご高覧」の使い方・例文
「ご高覧」は、主に「書類」「資料」「文章」「作品」「商品」など、ビジネスシーンで目上の人に対して「見てもらいたいもの」がある場合に用いる言葉です。「ご高覧」が使用されるシチュエーションを例文でご紹介します。
「ご高覧」を使った目上の人や取引先に対する例文
仕事や会議、取引などで必要な資料を配る際の声かけとしても用いられます。
目上の人や取引先相手に対して見てもらいたいものとして、プレゼン用や商品説明の資料などが当てはまります。
また、新商品の発表会や説明会・展示会などでも「見てもらいたいもの」を紹介する際にも「ご高覧」が使われています。
展示会の企業ブースにいるコンパニオンによる訪問者へのアナウンスでも使用します。ちなみに、バスガイドのアナウンスによる「~のほうをご覧ください。」は”ご高覧ください”を崩した表現の案内になります。
「ご高覧」は履歴書を見てほしいときにも使える?
転職時やアルバイトの面接の際の履歴書を提出するときにも「ご高覧」は使えます。「ご高覧」を使用する場合は履歴書に記述するのではなく、郵送で履歴書を提出する際に同封する送付状に書き足すのが正解です。履歴書には「ご高覧」を書く必要はありませんので注意してください。
「履歴書を同封いたしますので、何卒ご高覧のほどよろしくお願い申し上げます」
口頭の場合は「ご覧ください」
「ご高覧ください」は、ビジネス文書や案内のアナウンスなどに使われる機会の多いビジネス用語です。文章内やビジネスシーン以外で使用するのは相手に硬いイメージを与えやすく、口頭で伝える場合には「ご覧ください」を使用するほうが自然です。
先述のバスガイドの例のように、相手にリラックスした雰囲気を与えるなら「ご高覧」より「ご覧ください」を用いるのが適切です。目上の人に対して使う際にはフォーマルとプライベートで使い分けましょう。
「ご高覧」と「ご査収」との使い分け
ビジネス用語には”見てもらう”という同じ意味の言葉に「ご査収」があります。「ご高覧」と「ご査収」にはどのような表現の違いがあるのか。ビジネスシーンで使い分ける時の「ご高覧」と「ご査収」の違いについてチェックしていきましょう。
「ご査収」の意味
「ご査収」とは「査(しら)べて」「収(おさ)める」という意味の言葉。“「金銭」「物品」「書類」の内容を確認してから受け取ってもらいたい”ときのお願いとして使用される表現です。
履歴書の提出に使う場合はどちらも丁寧な言葉なので「ご高覧」を使っても問題ありませんが、メールによる履歴書の提出の場合は「ご査収」を使ったほうが良いでしょう。
「ご高覧」と「ご査収」の違い
「ご高覧」と「ご査収」の違いは”見るものの重要度”で使い分けると分かりやすくなります。例えば”流し見でも構わない風景や絵”と”日程や金額が記載された書類”を比較した場合、どちらが重要性が高いでしょうか?
「明日の演劇はぜひとも【ご高覧】くださいますようお願い申し上げます」
「請求書となりますので【ご査収】お願い申し上げます」
見てもらうことに意義があることと、隅々まで見る必要性のある書類では重要性がまったく異なります。宣伝や告知の場合には「ご高覧」を使い、内容を細かいところまでチェックして欲しいときには「ご査収」と使いましょう。
「ご高覧」の類語
「ご高覧」の類語は「ご査収」のほかにもさまざまあり、「見てほしい【もの】」に合わせて別の言葉で言い換えができます。ここからは、日常会話やビジネスシーンで使える「ご高覧」の類語をご紹介します。
ご観覧
「用意した/されたもの」を相手に【見物】してもらうときに使う言葉です。一般的には「ご観覧」という言葉より、”~を観覧する”や”観覧席”というフレーズで幅広く使われています。
劇場や舞台、試合などのショーに相手を招待したときに使用します。場内スタッフやガイドによる案内で用いられる機会が多い表現です。
ちなみに”【天皇】が観覧すること”を「天覧」といい、天皇が観戦された試合を「天覧試合」と呼びます。
ご笑覧
「笑いながら見る」の丁寧な表現ですが、この場合の”笑う”とは、自分が用意したものを笑ってくださいとへりくだった謙譲表現です。
「ご笑覧いただければ幸いです」
「笑覧」とは、本来は「苦笑」「失笑」「冷笑」などを意味しており、自分の作品や手作りに対して「粗末なものですが、どうか笑って見てやってください。」と謙遜(けんそん)した表現方法です。
他人の作品に対して「ご笑覧」を使うと失礼極まりない言葉になるので、使用するときは十分に気をつけましょう。
ご清覧
目上の人が「見る」ことを敬った敬語表現で「ご高覧」と同じ意味の言葉です。どちらも位や格の高い人に対して使う言葉で、使い分けるシチュエーションに大きな違いはありません。しいて言うなら「ご清覧」より「ご高覧」のほうが使用される機会の多い言葉です。
「ご清覧いただければ幸いです」⇒「ご高覧いただければ幸いです」
「清覧」を「高覧」に置き換えて使用することができ、手紙などでアクセントをつけたいときに使い分けるのも効果的です。
「ご一読」/「お目通し」
手紙や書類などの文書を読んでもらいたいときに使用します。見て(読んで)もらうことをお願いしているので、「査収」のように厳密にチェックする必要がない書類にも幅広く使われる表現方法です。
「念のためこちらの資料もお目通しください」
主に文書に対して使われる言葉で、漢字の意味そのままの表現です。
誤用の多い言葉として「お目通(おめとお)し」に似た「お目通(おめどお)り」があります。「お目通り」は、”家柄や格の高い【貴人】に会うこと”を指し、”読んでもらう”と”会う”で意味がまったく異なります。言い間違いには注意しましょう。
「ご高覧」を英語で表現すると?
view, look
と表現できます。
今すぐ使える例文はこちら!
⇒こちらの資料をご高覧ください。
・Please take a look at these products!
⇒こちらの商品をご高覧ください。
・I will be very happy if you take a look.
⇒何卒ご高覧いただければ幸いと存じます。
・Enclosed there is my resume and I would kindly ask you to take a look!
⇒履歴書を同封いたしますので、何卒ご高覧のほどよろしくお願い申し上げます。
何かを見てもらいたいときは「ご高覧」を使って丁寧に表現しよう!
ビジネスシーンでは目上の人や上司、取引先の人に【何か】を見てもらう機会が多く、状況に応じて言葉を使い分ける必要があります。「何を見てもらうのか」「誰に見てもらうのか」という相手との関係性やシチュエーションを考えて「ご高覧」を使った丁寧な表現を心がけてくださいね!