『猫に小判』とは『どんなに立派なものを与えても価値がわからなければ無駄』という意味
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多くの人が知っており、たぶん、上の新人くんと先輩の会話のような意味あいで『猫に小判』を使っていますよね?
『どんなに立派なものを与えても価値がわからなければ無駄』ということを指すことわざですが、あえて意味を説明する機会はなかったでしょう。
そこで今回は、言葉の由来・意味をきちんと理解したうえで、正しく使えるよう例文も含めて紹介します。あわせて、類語・英語表現についても学んでおきましょう。
『猫に小判』の由来・意味
時代劇を見ていると、小判は裕福な人が扱っていますよね?このように、昔、庶民にとっては小判は1枚でもとても貴重なもので、見せられると目の色を変えてしまうほど。しかし、こんなに貴重で価値がある小判でも、猫は見向きもしません。
この様子から、『どんなに立派なものを与えても、その価値がわからなければ無駄になる』の意味の『猫に小判』ということわざが生まれました。
『猫に小判』の使い方・例文
『猫に小判』は日常でもよく使われるので、使い方に迷うことはあまりないかもしれませんが、一応例文でチェックしてみましょう。
■ハイブランドのワンピースをプレゼントしたが、GパンにTシャツスタイルが多い彼女にとっては猫に小判だったようだ。
■交通費専用のクレジットカードを支給したが、ほとんど外出しない社員にとっては猫に小判だ。
■経営コンサルタント料にお金をかけたが、猫に小判に終わってしまった。なぜなら、大手に買収されることが決定したからだ。
上司
『猫に小判』の類語
『猫に小判』に似たことわざがあるので、ここで意味も含めていくつか紹介しておきます。
【豚に真珠(ぶたにしんじゅ)】
渡すものがどんなに立派でも、その相手が価値を知らなければ何の意味もない。
【馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)】
意味や価値が理解できない者に何を言い聞かせても無駄である。
【犬に論語(いぬにろんご)】
犬に論語を語っても理解できないように、何を論じても無駄である。
【兎に祭文(うさぎにさいもん)】
祭文=祭りのときにご利益をいただけるよう神に献上する詞。
兎に祭文を唱えても無駄なように、どんなことを言っても効き目がなく無駄である。
『猫に小判』と同じ意味で『犬に小判』という言葉も実は存在しています。
しかし、犬は飼い主が投げたおもちゃを喜んで取ってくるといった遊びをしますよね?
そういった背景から、小判をおもちゃと理解すると遊んでしまうことがあったのかもしれません。そのため、小判を与えても価値を感じない『猫』のほうが広く使われるようになったといわれています。
『猫に小判』の英語表現
英語の世界では、『高価なものを、その価値がわからない人に投げる』を意味する『cast pearls before swine』という言葉があります。
これをそのまま訳すと『豚に真珠を投げてやる』となるところですが、日本のことわざである『猫に小判』や『豚に真珠』の意味で使えます。
また、非定型にした『Don’t cast pearls before swine.(豚に真珠を投げてはいけない)』といった表現をすることもあるので、あわせて覚えておくと便利です。
『猫に小判』の意味を理解して正しく使おう
まれに、「あの人の目につくところにコレを置いていても価値がわからないから大丈夫」というときに「猫に小判だから大丈夫」と表現する人がいますが、これは間違いです。
『猫に小判』は、『与えても価値がわからないから与える意味がない』ことを指すので、会話で使うときにはここで解説した意味をきちんと理解し、正しく使えるようにしておきましょう。