苦肉の策とはどんな意味?もともとは誤用だった?使い方、類語、英語も解説!

苦肉の策とはどんな言葉?

上司

苦肉の策は、誤用が本来の意味を超えてしまった言葉なんだよ。
え?どういうことですか?

新人

上司

いつの間にか間違いがメインの使い方になっちゃったんだよ。

苦肉の策は誤用が一般化し、主な意味が定着してしまった言葉です。皆さんが使っている苦肉の策も、もともとは間違った使用法だったかもしれません。

この記事を読めば、「え?これ誤用だったの?」とびっくりすること間違いなし。苦肉の策について学び、正しい知識を身につけましょう。

苦肉の策の意味とは?

苦肉の策は「くにくのさく」と読みます。意味を確認しましょう。

苦肉の策とは?

苦肉の策は、「窮地に立った者が苦し紛れに絞り出す手段」という意味合いで用いられるのが一般的。

この使い方は、苦肉の「苦しい」という漢字から連想されたのではないかと考えられています。

現在は、大半の人がこの意味で苦肉の策を使っていますが、もともとは間違った使用法です。

しかし、この誤用は世間に広く浸透しているため、「間違い」ともいえない実情があります。

苦肉の策はもともとどんな意味だった?

苦肉とは、敵をだますために自分を苦しめること。苦肉の策の正しい意味は、次のようなニュアンスになります。

苦肉の策
あえて自分を傷つけたり苦しめたりしてみせることで、敵をあざむき、自分の目的を達成させる作戦

人間は普通、自ら自分や己の味方を傷つけたりはしません。害を受けた人がいたら、それは敵対している他者にやられたものに違いないと思う人が大半です。

また、Aさんを傷つけようと主張する人物がいたら、その人はAさんの敵に違いないと大抵の人は判断しますよね。苦肉の策は、そのような思い込みを利用した計略です。

苦肉の策の語源・由来と三国志の黄蓋

苦肉の策は、昔の中国の兵法書「兵法三十六計」のひとつである「苦肉計」が語源になっている言葉です。「苦肉計」は、負けそうなときに使える戦術のひとつ。

「苦肉計」の代表例として有名な三国志のお話の要約を紹介します。

弱小軍の司令官・周瑜(しゅうゆ)は、大軍を率いる曹操(そうそう)と戦をしていました。勝ち目のない戦いであ理、将軍・黄蓋(こうがい)は周瑜を批判。周瑜は怒り、黄蓋をむちでめった打ちに。黄蓋は命からがら逃げ出し、曹操軍に投降を申し出ます。

 

曹操は、大けがを負わされた黄蓋が周瑜を裏切るのも不思議ではないと考え、投降を認めました。しかし、これは黄蓋が周瑜と計画した作戦。曹操軍に潜り込むことに成功した黄蓋は、曹操軍を内部から火攻めにし崩壊させたのです。

負けそうな状況で考えられた作戦ではありますが、苦し紛れに仕方なく選択した策ではありません。勝つために綿密に練られたはかりごとです。

苦肉の策の使い方・例文

本来の意味で苦肉の策を用いるなら、次のような使い方になります。

例文1

先輩

新人君、利き腕を骨折しちゃったの?困ったことがあったら手伝ってあげるから、遠慮しないで声かけてね。
ありがとうございます!(憧れの先輩に近づくための、苦肉の策大成功!わざと階段落ちてよかったぁ。)

新人

新人君があざむいているのは敵ではありません。でも、自分の目的のために自らを傷つけているので、苦肉の策になっていますね。

次に、一般的に広まっている「苦し紛れの策」というニュアンスでの苦肉の策の使用法をみてみましょう。

例文2

上司

客足激減で始めた苦肉の策が、予想外の人気になって嬉しい悲鳴だ。
例文3

先輩

別に苦肉の策というわけではなく、以前からやってみたいと考えていたサービスなんですよ。

例文2と例文3の苦肉の策は、本来ならば覚える必要のない誤用です。しかし、ほとんどの人がこのニュアンスで使用しているので、頭に入れておく必要があります。

苦肉の策の類語

「自分を傷つけて敵をあざむく」という本来の意味での苦肉の策の類語だと、次のものが挙げられます。

本来の類語
・苦肉の計(けい)
・苦肉の謀(はかりごと)

「苦し紛れの策」のニュアンスで苦肉の策を使っているなら、上記の言葉は類語として使用できません。下記の表現に言い換えてください。

「苦し紛れの策」の類語
窮策(きゅうよ):追い詰められたあげくに考え出した苦しまぎれの手立て
窮余の策:苦しまぎれに考え出したはかりごと
窮余の一策:窮余の策と同じ意味
最後の手段:残されたただひとつの手段

自分の意図に合わせて表現を選びましょう

苦肉の策の英語表現

一般的に広く使われている「苦し紛れの策」という意味合いを英語で表現したいときは、次のようなフレーズを使用できます。

desperate measure:苦し紛れの策
last resort:最後の手段
pis aller:最後の手段

ちなみに「pis aller」はフランス語から英語になった表現です。「pis」は英語の「worst(最悪)」。「aller」は「to go(残されている)」に対応します。

苦肉の策の正しい意味も知っておこう!

ほとんどの日本人が「苦し紛れの策」というニュアンスで「苦肉の策」を用いるようになっています。ただ、もともとは違う意味だったことも知っておくと、プラスアルファの知識となります。

本来の苦肉の策の意味や使い方をしっかりおさえつつ、一般的な使用法もそつなくこなす器用さを身につけましょう。