「反故」とは「なかったことにする」という意味
約束を反故にする
どんな小さな約束でも覚えていてしっかり守ってくれる人は信頼されますよね。逆に、口約束程度であれば忘れても構わないと考えている人は信用を失ってしまいます。
「反故(ほご)」は「なかったことにする」という意味。「約束を反故にする」であれば、「約束をなかったことにする(破る)」という意味になります。
また、書き損じの紙を「反故紙(ほごがみ・ほごし)」といいます。これと「反故」との関係も見ていきましょう。
「反故」の読み方
・ほぐ ・ほうぐ ・ほんぐ ・ほうご ・ほんご
これらはどれも「反故」のかつての読み方。
「反故」を「ほご」と読み始めたのは近代といわれています。明治・大正あたりまでは「ほぐ」と読まれるのが主流だったとか。
とはいえ、現在は「反故」は「ほご」以外で読むことはほとんどありません。
今も昔も「はんこ」と読むことはないので注意。
「反故」の語源
書き損なった紙やコピーミスの紙を「反故紙」といいますよね。
「反故」とは、もともとこのような紙を指す言葉。「紙をダメにする」、「不要な物として捨てる」という意味が語源です。
ここから物事を「なかったことにする」という意味に派生しました。
「反故」の使い方・例文
「反故」の具体的な使い方を例文で確認していきましょう。
・印刷ミスで多くのコピー用紙を反故にした ・反故紙にメモする ・約束を反故にされて落ち込む ・飲みに行く約束を反故にしたお詫びにお土産を渡した ・担当者が代わったことで取り決めが反故になってしまった ・契約を反故にされたので訴える ・一族が積み上げてきたものを一瞬で反故にするつもりか!
紙を反故にするというオリジナルの使い方も多いですが、「反故」と聞くと「約束を反故にする」もよく登場します。
ビジネスシーンでは他社との「取り決め」や「契約」などを一方的に破棄することも「反故」で表します。両者の合意があって約束を破棄することは「反故」とはいいません。
約束以外に「信用」や「成果」などを「なかったことにする」際にも「反故」は使用可能。この場合も、平穏になかったことにするというよりは、乱暴に台無しにされるというニュアンスが強いです。
「反故」の注意点
「反故が生じる」という表現を使ったことはあるでしょうか。あると答えた人、違和感を感じない人はある言葉と混合している可能性あり。
「物事の認識のズレ」を「齟齬」といいます。そしてズレが発生することを「齟齬が生じる」。
「反故にする」とはいっても「反故が生じる」とは言わないので使っていた人は改めましょう。
「反故」の類語
・破る ・なかったことにする ・白紙にする
これらは約束を「反故」にする際の類語。
紙を「反故にする」を「破る」や「白紙にする」に言い換えると意味合いが変わってくるので注意しましょう。紙の場合は「ダメにする」なんかでいいのではないでしょうか。
「反故」を英語で
You have no bones about breaking your promise ⇒約束を反故することを何とも思ってないんですね
「break one’s promise」で「約束を反故にする(破る)」を表しています。
「have(make)no bone」は「ためらわない」という意味の慣用句です。
「反故」しないのが一番
何でもないような口約束でも破られた相手は覚えているものです。忘れたように見えるのはあなたに気を遣っているからかも。
約束を「反故」にされることはあっても、自分から「反故」にすることはないようにしたいです。いや、やっぱり「反故」にされるのも嫌ですね。悪質な場合はしかるべき対応を取りましょう。