「拝受」は「受け取る」の謙譲表現
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日常会話ではほとんど使わない表現ですが、ビジネス等フォーマルなシーンで使うことのある言い回しです。
「拝受(はいじゅ)」は「受け取る」の謙譲表現。金品や賞、メールや書類などを受け取ることを「拝受」で表します。
「拝受」と「受領」の違い
「拝受」と似た表現に「受領(じゅりょう)」があります。
「拝受」は「受領」に「敬意」をプラスした表現。とはいえ、「受領」もフォーマルな場でよく使われる言い回しです。「受領印」や「受領書」といった言葉で馴染みがあるという人も多いでしょう。
「受領」について詳しくは以下で解説しています。
「受領」の意味とは?使い方から注意点、類語、英語表現まで詳しく解説!
その他の「拝受」の類語
「拝受」の言い換え表現は「受領」だけではありません。その他の類語も確認していきましょう。
・受理(じゅり) ・頂く(いただく) ・頂戴(ちょうだい)する ・賜る(たまわる)
「受理」は企業や学校、役所などの公的機関で重要書類を受け取った後、処理することを指します。辞表や願書、訴状など正式に認められているものが対象となります。
「頂く」「頂戴する」「賜る」は「もらう」の謙譲表現。メールや書類等に使うのは不自然ですが、金品や賞などに使うことができます。
「頂く」は「説明していただく」のように補助動詞としてもよく使う表現。ついでに確認しておきましょう。
「受け取る」の尊敬表現は?
相手が何かを受け取ることを表現したい場合、謙譲表現である「拝受」や「頂く」は使えません。
「受け取る」の尊敬表現には以下のものがあります。
・ご査収(さしゅう) ・ご笑納(しょうのう)
「ご査収」は「ご査収ください」といった使い方をします。書類やメールを受け取ってほしい際に使う表現。
「ご笑納ください」は贈り物を受け取ってほしい際に使う表現です。
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「拝受」の使い方・例文
「拝受」の具体的な使い方を確認していきましょう。
・データを拝受しました ・取り急ぎ拝受のご連絡まで ・おかげさまで成績優秀賞を拝受いたしました
「拝受」は謙譲表現なので目上の人に対してメールや書類受け取りの報告をする際に使用。
かなりフォーマルな表現なので目上とはいえ、上司や先輩に使うと違和感があります。お客様や取引先の人に使うようにしましょう。
とはいえ、普段のやり取りレベルであれば「受領しました」や「受け取りました」で充分です。
「拝受」の注意点
「拝受」はそれだけで謙譲の意味があります。「拝受いたしました」とすると二重敬語に。
二重敬語は過剰表現として避けるべきとされていますが、慣習的に使われていることも多いです。
「拝受いたします」も二重敬語ですが、間違いとは言い切れません。
「ご拝受」という表現も。謙譲語にも「お」や「ご」をつけるケースもありますが、この場合「拝受」で充分です。「ご拝受」も慣習的に使われています。
「拝受」を英語で
「拝受」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。
・Well received ⇒Eメールを拝受しました
「receive」で「拝受」を表現しています。「well received」は短い表現ですが、ビジネスシーンで使えるフォーマルな表現。
「receive」は「get」よりも丁寧な表現なので「拝受」と訳すのにぴったり。「受領」や「受け取りました」と訳しても問題ありません。
「拝受」をいざ使うときのために
重要な書類やデータを受け取った際はうやうやしく「拝受」を使うといいかもしれません。
普段使いには少々重苦しいですが最大限敬意を表したい場合にはふさわしい表現です。いざ使うときのために、知識として頭の片隅に入れておきましょう。