「拝啓」とは「謹んで申し上げます」という意味
拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます
手紙をよく書くという時代ではなくなりましたが、「拝啓」は誰でも聞いたことぐらいはあるでしょう。歌や小説にもよく登場するので案外馴染み深い表現です。
「拝啓(はいけい)」とは「謹んで申し上げます」という意味。手紙の最初に記す文言のため、これから申し上げていきますので読んでいってくださいね、といった意味合いです。
しかしながら、手紙のお決まりパターンなのであまり意味は気にする必要はないでしょう。
「拝啓」は頭語
「拝啓」はもっとも一般的な「頭語(とうご)」です。「頭語」とは文字通り、手紙の頭、最初の書き出しのこと。手紙は「頭語」から書き始めて「結語(けつご)」で締めるのがお約束です。
「頭語」と「結語」は組み合わせが決まっており、「拝啓」の「結語」は「敬具(けいぐ)」。「敬具」も有名なので手紙を書かない人でも聞いたことぐらいはあるのではないでしょうか。
「手紙」の書き方
手紙のルールは「拝啓(頭語)」と「敬具(結語)」だけではありません。その他のルールもついでに確認していきましょう。
①頭語 ②前文 ③本文 ④末文 ⑤結語
基本的に手紙は以上のような構成です。
「頭語」の次が「前文」。「前文」とは時候の挨拶や相手の近況をうかがう一言や、自分の近況報告のことです。
時候の挨拶は「暑さ日増しに厳しく~」「梅雨入りも迫り~」といった表現。この後に「いかがお過ごしでしょうか」「私は元気にしています」等が続きます。
その後が、メインとなる「本文」、締めの言葉である「まずは取り急ぎお知らせします」「お返事お待ちしております」といった「末文」が来て、ラストに「結語」。
その他の「頭語」&「結語」
「拝啓」&「敬具」以外の「頭語」と「結語」の組み合わせも見ていきましょう。
・謹啓(きんけい)&敬白(けいはく)⇒より丁寧 ・拝復(はいふく)&敬具⇒返信 ・急啓(きゅうけい)&草々(そうそう)⇒急用
「謹啓」&「敬白」はお客様向けや謝罪文等、より改まった内容の手紙に使います。
「急啓」&「草々」は病気・怪我など急を要することについて言及する際に使用。急ぎなので、「前文」を省略します。
「前文」を省略する「頭語」には「前略」も。こちらは急ぎの要件以外にも親しい間柄での手紙で使用することも可能です。
「前略」の意味とは?詳しい意味から使い方、その他のマナーも解説
メールやSNSでは「拝啓」を使う?
「拝啓」を使うような手紙のスタイルは、メールではふさわしくありません。
一斉送信するような手紙に近い形式的な文書であればまだしも、返信を繰り返すような日常的なメールに拝啓は使いません。
「拝啓 日ごとに暑さが厳しくなっています。」といちいち書いていたのでは、相手も自分もうんざりしてしまうのではないでしょうか。SNSでも同様です。
メールやSNSのメリットはスピーディーにやり取りできる点。「拝啓」&「敬具」の代わりに、「お世話になっております」や「お疲れ様です」で十分でしょう。
いざというとき「拝啓」を使えるように
「拝啓」は普段はそれほど使わなくても、手紙を書くべきときに迷うことがないようにしておきたいものです。「拝啓」と書くべきところに「敬具」と書いてしまわないように。