「前略」の意味とは?詳しい意味から使い方、その他のマナーも解説

「前略」とは「挨拶を省略します」という意味

「前略…中略…後略」

全部略しちゃったら手紙書く意味がないじゃない!

それに、「前略」は単純に省略って意味じゃないんだよ

前略 この間の件ですが~

このような出だしの手紙を書いたり受け取ったりしたことはあるでしょうか。

そもそも手紙離れが著しい昨今において、手紙自体を書く習慣がない人も多いでしょう。

とはいえ、仕事や冠婚葬祭等で、手紙を書かなければいけないこともあるはず。そんなときに「前略(ぜんりゃく)」を単なる「省略」の意味にとらえていたら恥をかいてしまいます。

「前略」は「手紙の前文を省く」という意味です。「前文」は「時候の挨拶」等のこと。よく引用で使われる「前略・中略・後略」とは違います。

前文を省略する真っ当な理由がなければ使うことができません。

挨拶としての「前略」とは

「前略」について詳しく説明する前に手紙の形式について確認していきましょう。

・頭語(とうご)

・前文

・本文

・末文

・結語(けつご)

基本的に手紙は以上のような構成です。

「前略」は「頭語」に当たる一番最初の挨拶。他には「拝啓」や「啓上」なども「頭語」です。

次に、「前文」といわれる時候の挨拶や、相手の近況をうかがう一言、自分の近況報告などが入ります。

時候の挨拶は「暑さ日増しに厳しく~」「梅雨入りも迫り~」といった表現。この後に「いかがお過ごしでしょうか」「私は元気にしています」等が続きます。

その後が、メインとなる「本文」、締めの言葉である「まずは取り急ぎお知らせします」「お返事お待ちしております」といった「末文」です。

最後に「結語」といわれる挨拶。「頭語」と「結語」は連動しているので合わせたものを書く決まりがあります。

「拝啓」の結語

一般的な頭語である「拝啓」の結語は「敬具」、女性だったら「かしこ」など。「前略」で始めて「敬具」で終わることはできません。もちろん「後略」もダメ。

「前略」の結語は「草々(そうそう)」。「草々」は「慌ただしさ・簡略さを詫びる」という意味を持ちます。

「前略」を使っていい手紙とは

「前略」は本来必要である前文を省略する際の頭語。

ではなぜ、前文を省略するのでしょうか。ただ面倒だからでは省略する理由にはなりません。

・親しい間柄

・急ぎの要件

・病気の際

・礼儀を尽くす必要がない場合

家族や友人など親しい間柄の人へ向けた手紙の場合は「前略」ではじめても構いません。逆にいえば理由がない限り、それ以外の人に使うと失礼に。

「急ぎの要件」や自分や相手が「病気の際」には「前略」を使っても失礼になりません。

とはいえ、現代では急ぎの用件で形式ばった手紙を使うことはほとんどないですよね。本当に急用であれば電話やメールの方がいいでしょう。

相手が病気・怪我なのに「お日柄もいい今日この頃いかがお過ごしでしょうか」といった前文は嫌味になりますよね。自分が病気の際は気を遣わせてしまいます。前文を書くのがはばかられる際に「前略」が使えます。

自分が怒っていて相手に特別敬意を尽くす必要性を感じていない場合も「前略」で十分です。本文が抗議や苦情の場合がそれに当たります。

「前略」の使い方

「前略」は具体的にどのように使うのでしょうか。

「前略」の使い方

・前略 この間はありがとう~

・前略失礼いたします

・前略ですみません

・前略お許しください

「前略」単体で使うよりも、「前略失礼します」といったように続けた方が丁寧になります。家族・友人への手紙や抗議文以外はこのように書くことをおすすめします。

「前略」の後は本文が続きます。最後に「草々」で終わるのも忘れないようにしてください。

メールやSNSでは使える?

Eメールではそもそも、手紙のような形式的な挨拶は省略される傾向があります。「いつもお世話になっております」のような簡易な挨拶で済ませるのが一般的。

SNSではさらに省略して、用件のみになるのが普通ですよね。メールやSNSでは「前略」さえも省略されているといえます。

いつか使う日のために

手紙でさえあまり書かないのに、さらに用途が限られている「前略」はもう絶滅寸前なのかもしれません。とはいえ、いつか使うことがあるかもしれないのでマナーとして押さえておきましょう。「草々」も忘れずに。