「忍びない」とは「耐えられない」という意味
徹夜して考えた案はボツにするには忍びない
準備に何日もかけたのに…渾身の出来だったのに…ビジネスでは頑張ったのに採用されないことなんてザラですよね。そんなときの感情が「忍びない」。
「忍びない」とは「耐えられない」という意味。
「忍」は「忍者」の「忍」としてお馴染みですが、「感情を抑える」、「我慢する」といった意味合いがあります。「忍ぶ」に否定の言葉がついて「忍びない」。
ボツになるのが耐えられない、もったいないという意味合いです。「我慢できない~!」と感情的になるというよりは「もったいないな…」と心の中で残念がるようなイメージ。
「忍びない」は「謝罪」の言葉ではない
「忍びねぇな」 「構わんよ」
これを見てピンときた人はお笑い通と言えるかも。お笑い芸人、「トータルテンボス」はネタの中でこのフレーズをやり取りするのがお約束です。
ネタでは「忍びねぇな(忍びない)」は「迷惑かけて悪いな」といったニュアンスで使われていますが、「忍びない」には謝罪の意味合いはありません。あくまでも、「気を遣わせて心苦しい」といったニュアンス。
この二人のように気の置けない(仲のいい)関係性であれば成り立つかもしれませんが、ビジネスやシリアスな場で謝罪の言葉として「忍びないです」を使うことはできません。
「忍びない」の使い方・例文
「忍びない」の具体的な使い方を例文で確認していきましょう。
・そんなボロボロのカバン、見るに忍びないから新しいの買いなよ ・聞くに忍びない悲惨なニュース ・部屋の掃除を人に任せるのは忍びないのでいつも自分でやっている ・大変忍びないのですが、お願いしていた資料の期日を早めていただくことは可能でしょうか
「見るに忍びない」「聞くに忍びない」のように「○○するに忍びない」といった独特の言い回しをするのが特徴。「見るのが忍びない」「聞くのが忍びない」と言っても問題ありません。
クッション言葉としてならあり
「忍びない」は謝罪の言葉では用いないと前述しましたが、クッション言葉として依頼の文の前につけるのはありです。
「大変忍びないのですが~」とすることで、「こんなことをお願いするのは心苦しいのですが~」「お願いして気分を悪くしないか心配なのですが~」といったような意味合いに。
とはいえ、「大変申し訳ないのですが~」といった言い回しの方が一般的なので、あえて使う必要はないでしょう。
「申し訳ありません」「申し訳ないです」の違いとは?使い方や注意点など詳しく解説!
「忍びない」の類語
「忍びない」の言い換え表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
・我慢できない ・心苦しい ・耐え難い ・恐縮
「恐縮」はお礼や褒められたとき、断るときなど様々なシーンで使えるので、「忍びない」よりも使い勝手のいい表現です。ついでに確認しておきましょう。
「恐縮です」とは恐れること?正しい意味と使い方、類語・英語をまとめて解説!
「忍びない」の英語表現
「忍びない」は英語ではどのように表現するのでしょうか。
I can’t bear to see this anymore ⇒これ以上見るに忍びない
「can’t bear」で「忍びない」を表現しています。
「bear」は名詞だと「クマ」ですが、動詞だと「出産する」「身に付ける」など多くの意味があります。その中の一つが「我慢する」。「can’t」で否定形にすると「我慢できない(忍びない)」に。
「忍びない」の代わりに
「忍びない」は使い勝手がいい表現とは言えません。代用できる表現がいくらでもあるのであえて使う必要はないでしょう。
あまり一般的ではない「忍びない」を使って相手に気を遣わせてしまうのはそれこそ「忍びない」ですし…。