「若輩者」は「若くて経験不足な者」…だけど
若輩者ではありますがよろしくお願いします
ビジネスシーンではお馴染みの挨拶ですが、実際に口にしたことがある人はどのくらいいるでしょうか。あなたが入社したての新人だったらちょっと早すぎるかも。
「若輩者(じゃくはいもの)」には「年齢が若い者」「経験が浅い者」という意味があります。
だったら、新人にこそぴったりの言葉じゃないですか―
その通りなのですが、ビジネスシーンで使用する際は注意が必要です。というのも、「若輩者」はそれなりに年齢を重ねて経験もある人が謙遜して使う表現とされているからです。
そのため、本当に若くて経験の浅い人が使うとちょっと変な感じになってしまいます。例えるなら、お土産を渡す際に「つまらないものですが」といいながら本当につまらないものを渡すようなもの。
若い人が使ってもOKな「若輩者」
若い人が使っても違和感のない「若輩者」があります。それは結婚式の挨拶。新郎新婦が挨拶やスピーチで「若輩者」を使っても違和感はありません。
・若輩者ではございますが、2人力を合わせて幸せな家庭を築いてまいりたいと存じます
謙遜を超えて嫌味になってしまう「若輩者」
「若輩者」はそこそこ年齢や経験を重ねている人が謙遜して使う表現だと前述しました。とはいえ、若くなければ誰でもどんなときでも使っていいのかといえばそうではありません。「そこそこ」の年齢や経験という点がポイント。
社長や会長クラスが、一回りどころか二回りも年下の部下たちの前で自らを「若輩者」というと、謙遜どころか嫌味になってしまいます。
ですが、社長たちが集まる会合の場で発言するのであれば問題はありません。何歳から何歳までは使用可というものではなく、場に応じて適切に使う必要があります。
「若輩者」の使い方・例文
「若輩者」という言葉には、実際にどのような使い方があるのでしょうか。例文を通して確認していきましょう。
・まだまだ若輩者ですので、皆様のお力をお借りすることも多々あると思いますが、精いっぱい務めさせていただきます ・若輩者ゆえ、この度の受賞は身の引き締まる思いですが、大変名誉なことと嬉しく存じます ・若輩者ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます
役職への就任・昇進や受賞等の挨拶で「若輩者」は度々使われます。
また、乾杯の前の挨拶でも耳にしたことはあるのではないでしょうか。フォーマルな場の乾杯だけではなく、仲間内のちょっとした飲み会の乾杯でも使われるテンプレ的な挨拶になっています。
「若輩者」の類語
「若輩者」の言い換え表現も確認していきましょう。
・未熟者(みじゅくもの) ・浅学非才(せんがくひさい) ・不束者(ふつつかもの) ・至らない点(いたらないてん)
「未熟者」は「技能が未熟な者」という意味で年齢に関係なく使うことができます。「浅学非才」は知識が浅く才能が劣っているという意味。
「不束者」は「気が利かない者」、「至らない点」は「未熟」という意味で「至らない点もありますが…」といったように使用します。
これらはどれも謙遜したいときに自分に対して使う表現。若くて経験が浅い人は「不束者」「至らない点」を使えば嫌味なく聞こえます。
「不束者」「至らない点」について詳しく知りたい方はこちら
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謙遜で使えるようになるまで我慢
「若輩者」は、本当に若くて経験が浅い人は使わない方がベター。いつか経験を積んで謙遜で「若輩者」といえるようになるまで頑張っていきましょう。