「薫陶」は人徳や品位で人に影響を与えてよい方向に導くってこと!
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「薫陶」とはある人の姿勢や人徳から影響を受け、周りが成長するさまをあらわす言葉です。
今回の記事では意味や読み方に加えて、使い方を例文を用いて解説します。また、似ている言葉や類語などもあわせてご紹介します。
・「教化」
・「啓発」
「薫陶」の読み方と意味
意味や漢字から難しいイメージをもつ人も多い「薫陶」。まずはみなさんに理解してもらえるよう、わかりやすく順を追って解説していきます。
「薫陶」の読み方
「薫陶」と書いて「くんとう」と読みます。「かお(り)る」と読む「薫」に陶器の「とう」をあわせた読み方です。漢字の由来は次項の「薫陶」の意味につながるので、あわせてご確認ください。
「薫陶」の意味
②指導者の人徳によって周りが感化・影響されること
辞書などでは「薫陶」の意味は2つ以上紹介されるケースが多いです。上の①と②を見ていただければ、どちらも人物に影響を受けて周りが成長するとの意味になります。
この場合の影響を受けるとは、よい意味での影響になります。ある人の姿勢や生き様、スタイルに感化され、自分もそうなりたいとあとに続くような様。「背中を見て育つ(育った)」の表現がわかりやすいでしょう。
「薫陶」の語源
「薫陶」は漢字にもある陶器の作成までの工程が語源とされています。陶器を作る際、素材に焚き上げた香の薫りを染み込ませます。薫りが染み込んだ土を丹念に捏ね、下地から形を整えて作って初めて陶器は完成します。
師や指導者から影響(薫り)を受け、じっくりと育てられて作られた作品(陶器)に例え、「薫陶」が生まれたとされています。
「薫陶」の使い方を例文で解説
「薫陶」をこれまでに使ったことがない人もいるかと思いますが、今後も使う場面がないとは言い切れません。目上の人や恩師との会話など、とっさの場面で使える「薫陶」の例文を紹介します。
「薫陶」の使い方
「薫陶」は受け身で使われる場面が多いです。例えば、「〇〇先生から薫陶を受けた」と受け身の表現が多く、または「〇〇氏によって薫陶を与えられた」と第3者が説明する場合です。
そのほかにもいくつかのパターンがあるので、例文で解説します。
部下
上司
“「薫陶」を与えた部下たち”は「薫陶」を受けた部下たちに言い換えられます。「与えた」よりも「受けた」のほうが一般的に使われている表現です。
課長
部下
「賜る」は「もらう」の謙譲表現ですが、「薫陶」を授かったさまを表現しています。「賜物」は目上の人から恩恵を受けたことに対する敬語表現。この場合では最上の感謝の言葉として使用しています。
「薫陶を賜る・賜った」などのバリエーション表現もあります。
※「賜る」をもっとよく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓
「賜る」の意味とは?ビジネスシーンでの使い方や類語、英語表現を詳しく解説!
課長
部下
「よろしき」とは「良い」ものを指します。「薫陶」はよい影響を表現するのが一般的ですが、「薫陶を受ける」の表現をより明確に表現した使い方です。固い言い回しなので、披露宴や式などのフォーマルな場でのスピーチに使用されます。
「薫陶」の類語
「薫陶」に似た言葉・類語をご紹介します。日常で使われる機会の多いものから、あまり耳にする機会がないものまであります。知識として覚えておきましょう。
「感化」
人に影響を与え、考え方や行動を変化させるさまをあらわす言葉です。「薫陶」は周りによい影響を与えている表現ですが、「感化」は良くも悪くも影響を与えている表現です。影響が良いものだけとは限らない言葉です。
部下
上司
部下
上司
英語では「インスパイア」と表現され、様々な場面で多用される言葉です。
※「インスパイア」について詳しく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓
インスパイアの意味は?インスパイアされるって何?日立のCMやラーメン店の使い方とともに解説
「教化」
「きょうか」や「きょうけ」と読み、人に教えを説いてよい影響を与えて正しい方向に導く言葉です。「感化」と違って明確に「よい影響」であるさまをあらわします。
よい影響を与えて導くという点では「薫陶」と同じですが、「教化」は相手に教えを説く言葉です。背中で教えるか直接教えるかの違いと区別して覚えましょう。
部下
上司
後輩
上司
「啓発」
気づいていないことに対して教えを説き、人を導いて物事を明確にさせる、目覚めさせる言葉です。自己啓発など、セミナーや本などでもよく使われる言葉です。
「教化」は誰かが教えを説いて目覚め、覚醒させる言葉です。姿勢や品格などの言葉ではなく、自然に感じ取る「薫陶」とは対比の言葉になります。
似た言葉のことわざで「目から鱗」があります。
後輩
先輩
部下
課長
「薫陶」と「感銘」の違い
ある物事が深く心に刻まれ、感動するさまをあらわす意味の言葉に「感銘」があります。「薫陶を受ける」と「感銘を受ける」を混同している人もおり、意味を取り違える人も少なくありません。ここでもう一度「薫陶」のおさらいをしておきましょう。
「感銘」- 印象に残るほど深く感動すること。
「薫陶」はその人の姿勢や人徳、品格で周りによい影響を与えるのに対し、「感銘」はある事柄が強く印象に残って感動を覚える意味の言葉です。「感銘」は教えを受けた・与えたわけでもないので、「薫陶」とは根本的に意味が違います。
※「感銘を受ける」についてはこちらの記事で詳しく解説しています!↓↓
「感銘を受ける」の意味や使い方は?ビジネスで使える例文、類語・言い換え表現を解説!
「薫陶」の英語表現
「薫陶」はビジネスの世界でも受けることがあります。薫陶してもらった人には感謝をし、いつか自分が誰かを薫陶できるような人物になりたいですね。
「薫陶」の英語表現を確認しておきましょう。
training
と表現できます。
「薫陶」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒先輩方からの薫陶を受けましたから、入社したての頃とは違います。
・They are the subordinates who were trained by the manager.
⇒部長が薫陶を与えた部下たちなんだよ。
・It is a gift for training from the section manager.
⇒課長からの薫陶の賜物です。
・My sense of value has changed after being trained.
⇒薫陶を受けたことで価値観が変わりました。
社会人の手本として、正しく「薫陶」を身につけよう
「薫陶」とは、指導者から影響を受けて人格的に成長していく意味の言葉です。学生や社会人1年目は先輩や恩師を見ながら、人格的にも成長していくことが務めです。
あなたもいつか後輩から「〇〇先輩の”薫陶”のおかげで成長できました!」といわれるような、影響を与えられる人を目指しましょう!