ヘッジとは『回避』のこと
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ヘッジは、上の新人くんのように『リスクヘッジ』の略語だと思っている人がいるかもしれませんが、ヘッジは『回避』という意味があり、リスクヘッジは『リスク』と『ヘッジ』をあわせた言葉なんです。
しかし、ビジネスシーンでは、リスクヘッジの略語で使われているのも確かです。ここでは『ヘッジ』の正しい意味を理解し、関連語の『ヘッジ』がどんなことを表しているのか解釈できるようになっていってください。
ヘッジの意味をチェック
ヘッジを使った関連語にはどのような言葉があるのかも気になりますが、まずはヘッジとは何かをわかりやすく解説していきます。
ヘッジの英語は『hedge』
ヘッジは英語で『hedge』と表記し、こんな意味をもつ単語として使われています。
■垣根
■生垣
■境界
■障害
■障壁 など
また、hedgeを使った熟語にはこのような言葉があります。
■hedge plant(生け垣用植物)
■hedge in a garden(庭の生け垣)
■windbreak hedge(暴風垣) など
日本語でも、金融用語に『ヘッジ』が使われますが、英語でもこんな熟語があるので知識として覚えておきましょう。
■exchange hedge(為替ヘッジ)
■futures hedge(先物ヘッジ)
■hedge accounting(ヘッジ会計)
■hedge transaction(ヘッジ取引) など
カタカナ用語としてのヘッジ
英語では『生け垣』の意味で使うことも多いですが、ビジネスシーンでカタカナ用語として使うヘッジは、『リスクヘッジ』の意味で登場する場合がほとんどです。
リスクヘッジは、英語の『risk(=危険)』+『hedge(=生け垣)』をあわせた言葉です。『危険のための生け垣』から『防衛策』に転じ、『危険を回避するために備える』の意味で使われるようになりました。
もともとは、株式や投資信託などの金融取引用語として使われていたのが、一般のビジネスシーンに浸透していきました。そのため、今も金融業界では『リスクヘッジ』『ヘッジ』を使う用語がたくさんあります。
なお、リスクヘッジについては次の記事で解説しているので、ぜひあわせて読んでみてください。
リスクヘッジとはどんな意味?ビジネスで役立つ使い方・例文、日本語の言い換えを解説
ヘッジの関連語
ヘッジには、金融用語だけに限らず、『ヘッジ〇〇』といった関連語がいくつもあります。そこで、いくつかピックアップしてわかりやすく解説していきます。
ヘッジ会計
ヘッジ会計とは、デリバティブ取引において発生したリスクヘッジ効果を、会計に反映させる処理方法を指します。
デリバティブ取引とは、株式、債券など、もとになる金融商品から派生した新型の金融商品のことです。代表例としてはこの3種類があげられます。
■先物取引
■オプション取引
■スワップ取引
株式や債券などの金融取引は、プラスになることを目指しますが、リスクは必ずついてくるもの。これを回避するために、現時点で資金や現物を持っていなくても取引ができる、株式や債券などの派生商品を対象としたデリバティブ取引をするケースが増えています。
このような複雑な取引を重ねていくとお金の動きが不透明になりやすくなります。明確な資金管理をするためにもヘッジ会計は重要になってくるわけです。
なお、デリバティブについては次の記事でわかりやすく解説しているので、理解を深めるためにもぜひあわせて読んでみてください。
デリバティブとは何かわかりやすく!デリバティブ取引の意味や種類を徹底解説
ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、一般の人に広く募集をかける公募型の投資信託とは違い、主に大口の投資家を対象に募集をかける私募型の投資信託になります。投資家の間では『ヘッジファンド投資』とも呼ばれています。
ヘッジファンドは、株式、債券、先物取引、信用取引など、多くの投資方法を使い、市場価格が変動しても利益を追求することを目的とした取引です。
市場価格が下がっても保有資産が大幅に減らないよう、回避するファンドという意味で、ヘッジファンドと呼ばれています。
ヘッジ取引
現物株と反対の取引を先物取引などで行い、下落時のリスクを回避しようと行う取引を、ヘッジ取引といいます。現物株とは、株式会社が発行している株式を指します。買っている株式がある場合、先物では売りの取引をするわけです。
先物取引やオプション取引などの信用取引では、6ヵ月以内に反対売買をして決済する方法が取られているため、ヘッジ取引に利用されます。ちなみに、売買をして未決済のものを『建玉(たてぎょく)』といいます。
たとえば、売りの約定後に買い決済をしていない場合は『売り建玉』となり、買いの約定後に売り決済をしていない場合は『買い建玉』となります。
そして、ヘッジ取引には『買いヘッジ』と『売りヘッジ』があります。
建玉は、英語では『ポジション』といい、買い建玉は『買いポジション』、売り建玉は『売りポジション』となります。
ヘッジトリマー
ヘッジトリマーは、金融とはまったく関係ありません。『ヘッジ=生け垣』+『トリマー=刈り込みようの道具』、つまり、植物手入れ用の道具ですね。
道路脇の植木や、庭の生け垣などの面が綺麗になるように枝切りをしている作業員を見ることがありますよね。その人たちが使っている道具がヘッジトリマーです。この道具は、エンジン式(発動式)、充電式、電動式があります。
ヘッジホッグ
ヘッジホック(=hedgehog)は日本語では『ハリネズミ』です。
そのほか、チェスの戦法のひとつに『ヘッジホッグ防御』があります。チェスでは、スペースが多ければそのスペースを防御し、相手の反撃を防がなければなりません。壁のように立ちふさがった駒がハリネズミの針のように見えることから、このように名付けられたとされています。
ヘッジの使い方・例文
リスクヘッジやヘッジは、金融分野以外の一般ビジネスの世界でもよく耳にする言葉です。それだけに、間違った使い方をしては少し恥ずかしいもの。ここではよく使うパターンでの例文を用意したので、実際の場面を想像しながら読んでみてください。
ヘッジする
金融だけでなく、一般のビジネスシーンでもよくある使い方です。
ヘッジをかける
ヘッジ取引をする際によくある使い方です。
ヘッジあり・なし
ヘッジのあり・なしは、一般的に『為替ヘッジ』を指しています。
外国の株や債券などの取引をする際は、対象となる通貨で行います。しかし、日本でその取引をする場合、為替レートが損益を大きく左右します。そして、為替レートによる損失を『為替リスク』といい、これを回避することを『為替ヘッジ』といいます。
為替ヘッジをするには手数料がかかり、リスク回避はできても利益が少ないことが多いです。そのため、多少のリスクがあっても市場変動によって大きな利益を求めたいという人は『ヘッジなし』の取引を選ぶわけです。
ヘッジの意味を理解して正しく使おう
株や先物などの金融取引をしていない限り、金融用語としてのヘッジを使うことはないでしょう。しかし、『回避』の意味では一般のビジネスシーンでもよく登場するので、適切に使いこなせるよう、しっかり意味を理解しておいてください。