デフレ/デフレーションとは『物価が下落し、貨幣価値が上がる』こと
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デフレーションとは、物価下落により貨幣価値が下がることを指すカタカナ用語です。ニュースでもよく耳にする言葉で、『景気が悪い』『不況だ』といわれる状況は、デフレーションに陥っているというわけです。
しかし、デフレーションでどんなことが起こるのか、どんな影響があるのか、いまいち理解できていない人もいるのではないでしょうか。
ここでは、言葉の意味だけでなく、原因、メリット、デメリットについてもわかりやすく解説しました。これを機にしっかり覚えていってください。
デフレ/デフレーションの意味をチェック
一般的によく見聞きするのは『デフレ』かもしれませんが、これは略語で、正式名称は『デフレーション』といいます。
ここでは、デフレーションがどんなものかを明確にするとともに、英語表現についてもチェックしておきましょう。
デフレーションが続くとどうなる?
デフレーションは、需要より供給が多い状態になっています。提供している側は、もっと需要を増やすために価格を下げます。しかし、需要者側としては、今すぐにほしいものでない限りは「待っていればもう少し下がるかも?」と待ちに入りたくなりますよね?
そうなると、企業側はさらに値下げをせざるを得なくなります。企業の利益が下がってくると、従業員の賃金を下げなければならない場合もあります。すると、需要者は節約モードに入るため、ますます需要が減ります。
このように、『物価下落→収入減→需要減→物価下落』がくり返される現象を『デフレスパイラル』といいます。デフレスパイラルに陥ると、企業としては現状のまま事業を続けるのが困難になり、雇用制限に踏み切らなければならない場合もあります。
働き口を失った人は、ますます消費制限をするようになり、デフレスパイラルも続きます。
デフレーションの英語は『deflation』
デフレーションは英語で『deflation』で、次の意味をもつ単語として使われています。
■空気を抜くこと
■収縮
■通貨収縮 など
英語でも日本語の意味と同じように使われていますが、こんな意味の熟語もあります。
■deflation maneuver(収縮操作)
■deflation of the lung(肺収縮)
デフレーションの反対語はインフレーション
デフレーションの反対語は、多くの人が知っているようにインフレーションです。意味は、『物価上昇により、貨幣価値が下がる』ことをいいます。
インフレーションには、需要と供給のバランスがもとで起こる『需要インフレーション』、コスト上昇がもとで起こる『コストインフレーション』など、いくつかの種類があります。
詳しくは次の記事で解説しているので、あわせて読んでみてください。
インフレーションの意味とは?インフレとデフレはどっちがいい?原因・影響・対策もわかりやすく解説
デフレーションが起こる原因
日本でデフレーションが起こる大きな原因は次の2つといわれています。
■日本では賃金が上がらない傾向にあるため、極力お金を使わない人が多い。
■価格が安いほうが売れやすいため、他社と差別化を図る意味で値下げをする企業が多い。
2019年時点では、将来もらえる年金に不安があるため、若い人でもお金を使わず貯金をする人が増えています。それに加え、銀行に預けていても金利がごくわずかなため、家にお金を置いておく、いわゆる『タンス預金』をする人も多いです。
また、景気がいいときは投資でお金を増やそうと考える人も多いです。しかし、損することを考え、今は預金がある人でもお金を動かさない傾向にあります。
そのような状況でも、企業は物やサービスを提供し、利益を上げなければ運営していけませんし、従業員への賃金を払うこともできません。そして、雇用されている側は、賃金に不安が出てくれば買い物をひかえますよね。
このように、国民がお金を手元に溜め込むようになると、お金が流通せず、デフレーションが進行するわけです。
デフレーションによるメリット・デメリット
デフレーションの原因がわかると、悪いことしかないように感じますよね?そんな中でメリットなんてあるのでしょうか。それぞれ詳しく見てみましょう。
メリット
デフレーションでは物価が下がるため、物が買いやすくなります。たとえば、今まで1万円だった商品が7,000円になれば「安い!」と感じますよね?
メリットをあげるとすれば、コレだけかもしれませんね。
デメリット
物価下落が起きると、企業としては売上が伸びない、つまり、企業としての利益が得られないことにつながります。そうなると、賃金カットも考えなければなりません。
さらにこの状態が続くと、工場や支社を閉鎖するなどの対策を取り、設備費や人件費の削減を図る企業も出てきます。
そして、日本経済が不景気だと、仕事を失ってもスムーズに再就職ができません。このような状態に陥ると、日本としても国民所得が減るということは、必然的に所得税収入が減ります。無職の人は住民税などの税支払いさえも苦しくなります。つまり、国の資金源も減るといえるわけです。
デフレーションの使い方・例文
景気が悪いときはデフレーションという言葉をよく見聞きします。それでは実際の会話ではどのように使われるのでしょうか。例文でチェックしてみましょう。
[番外編]デフレーションワールドとは?
デフレーションワールドは、同人ゲーム『東方永夜抄(とうほうえいやしょう)』の登場人物である、『十六夜咲夜(いざよいさくや)』のラストワード*のことです。
時間を収縮させ、直前と直後の未来を現在と一体化させる技で、この場合のデフレーションは英語の『収縮』の意味で使われています。
(ラストワード*:東方Projectのゲームシステム)
デフレーションの意味を理解し、現在の日本経済を観察してみよう
2019年10月の消費税増税で、デフレ脱却は難しいといわれています。しかし、消費を抑えるとますます経済は悪化し、デフレスパイラルは続きます。企業として運営が厳しいところもあるでしょう。
しかし、収入を得てお金を流通させなければデフレ脱却はますます困難になります。現在の日本経済を観察していると、不安が大きくなるかもしれませんが、頑張って日々の仕事に取り組んでください。