ステークホルダーとは、利害関係者のこと!
ビジネスシーンでステークホルダーという言葉を時々耳にするかと思いますが、これは一言でいってしまうと『利害関係者』を指しています。しかし、ステークホルダーになるのは会社勤めをしている人だけではないんです。
そこで今回は、ステークホルダーの意味や語源、関連語をはじめ、どのようなステークホルダーがあるのかなどをわかりやすく解説していきます。
ステークホルダーの意味
英語では『stakeholder』と表記し、辞書では『投資者』『出資者』『利害関係者』の他、『掛け金の保管人』という意味が記載されています。また、サイトによってはstake(掛け金)+holder(保有人)と2つの言葉の造語として紹介されていることもあります。
当初は、stake(掛け金)+holder(保有人)のほうの意味で、賭け事をする時に集めたお金を一時的に保管する人を指して使われていました。そこから解釈の仕方が次第に拡大されていき、利害を共にする会社、人、地域なども含めて『ステークホルダー』と言われるようになったとされています。
ステークホルダーの例
ステークホルダーは利害関係者という意味で使われますが、利害関係があるのは対企業だけではなく、企業が倒産すると困る人すべてを指しています。ここではどんな利害関係があるのかを解説していきます。
【従業員】
生活を守る為にも給与が必要ですが、賃金のUPや福利厚生などの高待遇にも期待をします。
【株主】
株式会社の株を購入することで会社へ出資し、代わりに高い配当金を得ることを期待します。倒産すると配当金が得られないだけでなく、売却価値もなくなる為大損をしてしまいます。
【取引先企業】
対企業同士の取引では、ひと月の販売分が翌月や翌々月に支払われるというのが通常ですが、会社が倒産すると売上金の回収ができなくなるので困ります。
【消費者・顧客】
商品を販売している企業側は消費者が購入してくれることで利益を得られますが、消費者はより安価で質の良い商品やサービスを期待しています。
【地域住民】
大きな企業では震災地域への資金援助、地域のボランティア活動、社会貢献活動などを積極的に行うことで、その地域の住民は利益を得られ、企業側は信頼を得ることができます。
これらのように、会社内だけでなく、社外においても利害関係が発生する関係性があればそれはステークホルダーになると考えていいでしょう。
ステークホルダーの使い方・例文
ステークホルダーとはどのようなものなのかはだいたいおわかりいただけたかと思いますので、ここでは使い方について例文を使ってご紹介します。
【例文1】
ステークホルダーがもっと増えるような商品開発をしていかなければならない。
【例文2】
〇〇社のステークホルダーとして、福利厚生の改善を要求します。
【例文3】
この地域のステークホルダーとの関係性を良好にする為にも地域活動は弊社工場の大切な業務の一つといえるだろう。
【例文4】
妻「新しいバッグを買ってくれない?」
夫「ステークホルダーとしてはその希望を叶えることはできない」
【例文5】
ステークホルダーに十分満足していただけるサービスを提供できるよう尽力いたします。
ステークホルダーの類語・関連語
ステークホルダーという言葉は単独でも使われますが、『ステークホルダー◯◯』という言葉も多く存在しています。そこで、ここでは関連語や類語についてまとめてみました。
ステークホルダーマップ
ひとつのサービスや事業を実施するにあたり、それに関与するスタッフ、企業、顧客などがどんな役割をしているのか?という相関関係を視覚的に確認できるようにした図のようなもののことをいいます。
1枚の紙に『スタッフ』『企業』『顧客』などのポイントを記載し、矢印で結んでどんな関係性にあるのかを記したりして作っていくのが一般的です。
ステークホルダーエンゲージメント
エンゲージメントとは、会社で例えると社員の会社への思い入れや愛着心、ブランドとユーザーで例えるとユーザーがもつ商品への思い入れや愛着心のことをいいます。
そしてステークホルダーという言葉と合成されることで、その企業やブランドなどに関わる人や団体との関係性を構築していくことを意味する言葉となります。
ステークホルダーダイアログ
ダイアログとは『対話』や『会話』という意味をもっている言葉です。そして、『ステークホルダー』+『ダイアログ』で、ステークホルダーの人達を集めて行う意見交換会のような会議のことを指しています。
例えば、化粧品メーカーが会員(ステークホルダー)を集めて対話形式で、〇〇化粧水のイメージは?使った感触は?当社製品のイメージは?など、対話形式で話をする場を設けることがあります。このような会のことをステークホルダーダイアログと呼んでいます。
このステークホルダーダイアログは、自社商品の開発に役立てたり、社会に貢献する活動に役立つという効果を実現させるのに役立っています。
ステークホルダーマネジメント
一つのプロジェクトを成功させるには、的確な情報や意見などを集めることがとても重要な作業です。
そこで、その対象のプロジェクトに影響を及ぼすと思われるステークホルダーを特定して積極的に関与してくれるよう協力を求め、その後のステークホルダーとの関係性を的確に管理していくことを『ステークホルダーマネジメント』といいます。
このプロジェクトに関わるのは社内と同じ部署の人に留まらず、社外の協力会社や顧客にまで及ぶことも稀ではありません。
無事にプロジェクトを成功させる為にも良好な関係は最後まで保つ為にもステークホルダーマネジメントはとても大切だといえるでしょう。
CSR
企業のホームページの中で、しばしば『CSR活動』という文字を目にすることがあります。このCSRはCorporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、『企業の社会的責任』という意味で使われています。
CSR活動で代表的なものは、地球環境への配慮があげられますが、実際の活動としては以下のようなものがあります。
■化粧水の詰替えパックを作り資源ゴミの発生を減らす。
■工場で発生した廃棄物を再生エネルギーとして利用する。
■工場排気に配慮して地域の空気汚染を防止する。
■工場排水を環境に無害な物質に変える。
他にもたくさんありますが、企業が積極的に社会的責任を果たす(CSR活動を行う)ことでステークホルダーから信頼感を得られ、良い関係性が保たれるというメリットがあります。
ステークホルダーの影響度を考えてみよう
商品を利用して使い勝手が悪いと途端にそのメーカーの信用度は下がります。企業においては、クライアントの信頼を得ることができないと経営が成り立ちません。また、従業員が会社に貢献してくれないと経営を維持していくことはできません。
このように、利害関係人であるステークホルダーの存在というものは会社経営においても日常生活においてもとても影響力が大きく関係性を構築していくことはとても大切なことです。
これからは、仕事をしていくうえでもステークホルダーの影響力というものを考えながら発現や行動をしてほしいと思います。