コンプライアンスの意味とは?身近な事例でわかりやすく解説!

コンプライアンスとは、世間のルールに従うこと!

「コンプライアンス」の意味は簡単に言うと「世間のルールに従うこと」

近頃のワイドナショーやインターネットは内部告発がブームになっているかのような様相を呈していますよね。何かするとコンプラ違反だ!と叫ばれ、仮に潔白だったとしても「怪しい」と糾弾されるご時世では、企業も個人もコンプライアンスから逃げることは不可能です。

この記事ではコンプライアンスについて詳しく解説していきます。間違った解釈でトラブルに巻き込まれないようにぜひ読んでみてください。

コンプライアンスの意味

「コンプライアンス」はアメリカから日本に伝えられた考え方で、英語だと「compliance」。日本語に直訳すると「法令遵守」になります。

日本では「法令遵守」から意味が少しずつ変化していき、「コンプライアンス」=「世間のルールに従うこと」と認識されるようになりました。企業や社会人にとっては当然といえば当然な事柄ですが、「世間の」というのがちょっと曲者だったりします。

日本でのコンプライアンスとは

「コンプライアンス」は動詞の「comply(応じる、従う)」の用法のひとつ「comply with~(~に応じる・~に従う)」と同じような意味を持つと解説されることが多いです。

また、理工学分野では「compliance」が「柔軟性・しなやかさ」の意味で使われていることから「柔軟に対応すること」という意味で使われると説明されることもあります。

日本人は海外から取り入れた事柄を日本の文化や生活などの実情に合うように、独自変化させて日本のものにするのが上手ですよね。「コンプライアンス」もアメリカから持ち込まれた「法令遵守」という意味のままではなく、日本の社会に合うように変化していったようです。

コンプライアンスの歴史

「コンプライアンス」は1960年代のアメリカで始まった考え方。
移民国家として誕生したアメリカは多様な価値観、考え方がごちゃ混ぜになってる多民族国家です。個人主義が強く主張される経済を一国の秩序ある経済システムとして統制するためには、法律やルールを細かく設定し、それらの規範を絶対的なものと国民に刷り込む必要がありました。

そのために考え出されたのが「コンプライアンス(法令遵守)」。現代でもアメリカでは「コンプライアンス」=「法令遵守」です。

国内でコンプライアンスが注目されるようになった背景

日本でも1980年代~2000年くらいまでは「コンプライアンス」=「法令遵守」と認識されていましたが、そこまで意識される考え方ではなかったようです。

日本で「コンプライアンス」が注目されるようになったのは2000年代に入ってから。大企業の脱税などの不祥事やパワハラ、セクハラなどのトラブルがもとで「企業倫理」が重要視されるようになったからです。

日本でのコンプライアンスの意味の変化

2000年代以降の日本は行政のスリム化による規制緩和が政府主導で進められていきました。企業は監督官庁から細かい監視をされなくても、企業自ら責任ある行動をとることが求められるようになります。「コンプライアンス」の意味合いも企業の責任の範囲に含まれる事柄の変化に応じて次のように変わってきました。

2000年代前半は「コンプライアンス」=「法令遵守」に「企業倫理」を加えたもの

2000年代中頃は「コンプライアンス」=法律・法令だけでなく社会規範など広い意味での社会ルールを守り従うこと

2000年代後半は「コンプライアンス」=企業に対する社会の要望に素早く、柔軟に対応しながら企業自身の目的も具現化すること

2012年からは「コンプライアンス」=日常業務の影に隠れるリスクを敏感に察知し、迅速に対応するリスク管理能力

コンプライアンスの使い方

「コンプライアンス」の意味はつかめましたか?次は「コンプライアンス」の使い方をみてみましょう。間違った使い方をしている人もいるかもですよ。

コンプライアンスの例①

A:取引先の営業で「我が社はコンプライアンスを遵守してます」って売り込みかけちゃって、上司からえらい怒られたんだ。

B:それを言うなら「コンプライアンスに力を入れている」ですよ。コンプライアンスは「法令遵守」って意味も含む言葉だから、「コンプライアンスを遵守」だと「頭痛が痛い」とか「渋滞が混んでる」みたいな変な文になっちゃいますよ。

コンプライアンスの例②

A:この前内々定出した大学3年生に卒業までの1年間バイトさせたいんだけど、>コンプライアンス的に大丈夫かな?

B:内定辞退対策ですか?会社の雰囲気に慣れてもらうためって建て前ならいいと思いますよ。ただし参加の強要や学生の希望を無視したシフト組みはオワハラ扱いされる危険があるので注意してくださいね。

コンプライアンスの例③

A:新入社員研修初日は社長、役職総出のコンプライアンス指導が予定されている。研修実行委員は気合い入れて準備しろよ。

B:新入社員の通過儀礼ですね。うちの会社はコンプライアンスに心血注いでるから、不備があったら大変だ。

コンプライアンス経営とは

コンプライアンス経営は企業にとってその時、特に対策が必要なリスクを把握し、迅速に対策できる体制を整えること。

その年度に取り組むリスク対策の目標設定→計画の実行→実行結果の評価→計画を見直し、翌年度の目標を設定する。という流れで、刻々と変化していくリスクに迅速に対応できる経営体制をとるのがコンプライアンス経営です。

コンプライアンス経営がもたらすメリット

コンプライアンス経営の主導は経営者。経営者がふさわしい社員をコンプライアンス責任者に任命したり専門部署を作り、必要な権限と予算を与えます。経営者主導で予算も計上してリスク管理に臨むため、単なる目標で終わることが許されなくなります。

お茶にごしができないコンプライアンス経営で得られる様々なメリットをみてみましょう。

企業価値向上

コンプライアンス経営をおこなうことで企業の信用度が上がり、信用度は企業の価値を高めてくれます。皆さんも何か買い物をするときに価格に大差がないなら迷わず安全・安心な商品を選びますよね。

企業が取引先を選ぶときにも同じ思考が働きます。自社の取引先に品質偽装などの不祥事が発覚したとしたら、その影響は自社にも及ぶ可能性がありますよね。火がなくても煙が立つ現代日本の企業は、積極的なリスク管理で互いに身ぎれいにしてある前提がないとおちおち商売もできません。

リスクマネジメント

コンプライアンス経営により事前対策しておくことで、組織を脅かす様々なリスクに組織として迅速に対応できるようになります。

万が一何かトラブルがあったとしても、損失を「避ける」または「最小限に抑える」ことが可能であると対外的に示すことは、企業価値を高めることにもつながります。

従業員モチベーション

コンプライアンス経営で従業員が組織から受ける不利益をなくすことで、従業員のモチベーションを高めることができます。

もし、コンプライアンスがなってない企業にあなたが勤めていたとしたら、残業代の不払いや昇進・待遇の差別、ある日突然勤め先が経営危機に陥って職を失うかも・・・など、様々な心配が付きまといますよね。「できることなら転職したい」そう思いながらの勤務では従業員モチベーションはダダ下がり。企業にとっても得はありません。

コンプライアンス違反はなぜ起こる?

コンプライアンスというと小難しく感じらますが、ようはルールは守れ!自分だけ良しはダメ!周りの嫌がることはするな!ということで、子ども時代に叩き込まれる考え方ですよね。

にもかかわらずコンプライアンス違反はなぜ起こってしまうのでしょうか?コンプライアンス違反が起こる原因をみてみましょう。

不正のトライアングルで解説

「不正のトライアングル」はアメリカの犯罪学者ドナルド・R・クレッシーがまとめた不正行為に手を染める人物の3要素のこと。「動機」と「機会」があり、さらに自分のおこないを「正当化」する言い訳が用意できたときに人間は不正行為に手を出してしまうそうです。

不正のトライアングル例

経営難のコンビニ店長(動機)の目の前に消費期限切れのおでんや中華まんなどのホットフードがたくさん残っているとしましょう。

いつでも店頭に商品を並べておかなければならないけれど、古い商品を捨てて新しい商品を出すのは経費が掛かる。おでんや中華まんならお客に消費期限はわからないし(機会)、1~2日くらいなら期限切れてても食べられるでしょ(正当化)。期限誤魔化してそのまま売ってしまおう!

これで賞味期限偽装の成立です。

コンプライアンスオフィサーとは?

コンプライアンスオフィサーはコンプライアンスが計画通りに実行されているかを監視する社内の責任者のことです。

監視業務だけでなく、コンプライアンスの目標設定→計画の実行→実行結果の評価→計画見直し、翌年度の目標設定の一連の流れに携わることもあります。コンプライアンス室長や、コンプライアンス委員長などの役職を兼任するケースも多いです。

コンプライアンスの身近な事例

コンプライアンスの意味や使い方はつかめましたか?この見出しでは身近なコンプライアンスの事例をみていきましょう。

コンプライアンスの身近な事例をあるあるで紹介

思わず「あるある!」と言いたくなるコンプライアンスの身近な事例を紹介します。

形式的な押印では意味がありません

あるある1
決裁者は不在。運よく決裁者の机上に印が出ていたので無断で押印。
急ぎの書類を提出し、事なきを得た….。

<コメント>
ハンコをもらいに行ったら、決裁者が不在…。日々の業務でよくある光景ではないでしょうか。例えば、決裁者が出張などで不在の際は、代理者の決裁印をもらうのが一般的なルールだと思いますが、中には、部下が勝手に決裁者の印を押して事後承諾してもらうような職場もあったりします。
そのような運用では、重大なミスがあっても見逃され、後に大きな問題になることもあります。決裁印は、「形式的な押印」でなく、「決裁者が内容に問題がないことを認めた印」であることを肝に銘じましょう。

個人情報の扱いには慎重に

あるある2
お客様の個人情報を他の部門から「使わせて」と頼まれました。外部ではなく同じ会社内なので、利用目的を確認せずに情報を渡しました…。

<コメント>
本人の同意無しで、利用目的以外のことに個人情報を利用することはできません。同じ会社内だからといって、利用目的を確認せずに個人情報を渡してしまうと、後々問題となる恐れがあります。個人情報は利用目的の範囲内で活用することを徹底しましょう。
価値ある情報は今も昔も、「武器」であり「お金」のようなものです。
利用方法を間違えると、自らが傷つき、金銭的なダメージも負ってしまいますよ。

残業を減らすには?

あるある3
退社時刻になっても上司が帰らない。それを見ている部下はなかなか帰りづらい。結果、急ぎでもない仕事をして残業代を稼いでしまう 。

<コメント>
企業は労務管理上から「残業するな。」「早く帰るように。」と指導をしています。しかし、上司が遅くまで働いていたりすると、部下は、なかなか先に帰りにくいものです。
(かといって、「手伝えることはありますか?」などと声をかければ、終電に間に合わなくなるほどの仕事を頼まれる恐れがあり、なかなか切り出しづらいと思います。)お願いですから、上司だからこそ率先して、早く帰るようにしてください。いや、ホントに。

下記のサイトさんでは他にもたくさんの「あるある」事例が紹介されています。「あるある」をまとめた冊子も販売中。是非見てみてください。

参考 あるある事例 まとめ<br /> HTC

コンプライアンス標語コンテスト

前の見出しの「あるある」で紹介したサイト「HTC」は、コンプライアンスに対する意識向上目的で「標語コンテスト」も開催しています。現時点で9回開催されていて、上位の作品には身近な「あるある」をテーマに時代をあらわす素晴らしい標語が選ばれています。

最優秀賞
ありません 不正と出世の 二刀流  (男鹿わたる さん)

優秀賞
空気より コンプラ違反の 先を読め  (赤松 さん)
休暇中 オレの印鑑 仕事中 (のりまき さん)

出典:ハイテクノロジーコミュニケーションズ(HTC)株式会社
標語コンテストのURL(https://www.htc-inc.co.jp/lp/compliance_hyogo.html)
※標語の著作権はHTCに帰属します。

コンプラとパワハラの違い

コンプラは「コンプライアンス」を略したカタカナ語です。

対してパワハラは、組織内の地位や人間関係の上位に位置する人間が組織内での力関係を振りかざし、同じ組織に属する下位の立場の相手に過度な精神的・身体的な苦痛を加えること。適正な範囲を逸脱する指導・注意や相手の組織内での立場を悪くすることもパワハラになります。

パワハラはコンプラ違反になる事柄のひとつです。

コンプライアンスがテーマの映画も


この映画は2004年にアメリカで実際に起こった「ストリップサーチいたずら電話詐欺」を基に作られた作品です。サーチというのは身体検査のこと。2012年ナショナル・ボード・オブ・レビュー 助演女優賞受賞作品。

2004年にアメリカのファストフード店で実際に起きた事件を基に、無実の罪を着せられた店員の衝撃の体験を描く問題作。店長をはじめ従業員や店長の婚約者までが自称警察官の男の電話を盲目的に信じ、女性を裸にして身体検査したり、性的暴行を加えたりした様子をつぶさに映し出す。店長役に『父親たちの星条旗』などのベテラン、アン・ダウド。犯人による人の心理を利用した功名な手口と、従順な一般人の素直さが招く悲劇に戦慄(せんりつ)する。

ストリップサーチいたずら電話詐欺とコンプライアンス

「ストリップサーチいたずら電話詐欺」事件は2004年に犯人が逮捕されていますが、逮捕までに約10年かかり、70件以上の犯行がアメリカ各地で発生していました。マクドナルドのフランチャイズ加盟店が犯行のターゲットにされていた事件も複数あり、2004年に起こった最後の事件の舞台もマクドナルドのフランチャイズ加盟店でした。

最後の被害者は事件の3年後、マクドナルドに対して「少なくとも2年前にはいたずら電話の存在とその危険性を把握しており、事件の発生を防ぐための対策を取ることが可能であったのにもかかわらず、適切な対策を取らずにいた」と賠償5,000万ドルを要求する裁判を起こしています。2010年に110万ドルで被害者とマクドナルドの和解成立。

マクドナルドは判決後、従業員の権利を保護するための店長教育にそれまで以上の力を入れるようになっています。

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