チューターとは「個別の指導者」のこと!
上司
新人
上司
複数人を一度に指導するティーチャーとは区別して使われる言葉です。チューターは個別指導の塾や家庭教師など、教育関係でよく使用されるだけでなく、企業の社員教育でもしばしば用いられます。
言葉の意味やビジネスでの使い方を中心に、チューターについて学んでいきましょう。
チューターの意味を解説
まずはじめに、チューターという言葉の意味をくわしくみてみましょう。
言葉の意味がわかると、ビジネスでのチューターの使い方をより深く理解できるようになりますよ。
英語のチューター(tutor)はどんな意味?
チューターは英語表記すると「tutor」。「tutor」には次のような意味があります。
・家庭教師
・アメリカの場合:(大学の)準講師
・イギリスの場合:(大学の)学生を個別に支援する指導教員
・後見人
【動詞】
・家庭教師をする
また、tutorを「チューターをする」と和訳することも可能です。
カタカナ語のチューターとは?
カタカナ語のチューターは次のような意味をもつ言葉です。
・(研究会などの)講師。助言者。
ビジネス会話で登場するチューター制度とは?
ビジネス会話でチューター制度という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?新人教育に関する話題でよく登場するチューター制度について、正しい知識を身につけましょう。
チューター制度の概要
チューター制度は職場の新人や部下を数年経験が長い先輩社員がチューターになり、1対1で教育する制度です。チューターから指導される新人・部下はチューティーと呼ばれます。
チューターはチューティーに、仕事で必要とされる知識や技術、マナーなどを職場での実際の業務をとおして、その都度教育。
チューター制度は1970~1980年代の日本の企業に定着し、現代でも多くの企業で用いられています。
チューター制度のメリットと問題点
チューター制度は企業にも社員にもメリットがあり、長く日本企業で用いられている制度です。しかし、チューター制度にはメリットだけでなく問題点もあります。
チューター制度のメリット・問題点について確認しましょう。
チューター制度のメリット
チューター制度では、チューターが新人(チューティー)に実践的な教育を施し、効率的に即戦力として育成できます。チューティーにとっても、仕事で抱える不安を相談する身近な相手を得られるメリットがあります。
チューター制度は新人以外にも使用可能な制度です。一定の教育を済ませ基礎的なスキルを身につけたチューティーに対し、チューターによる教育を施すことで、ビジネスマンとしての成長を促すことができます。
チューター制度の問題点
チューター制度はチューターに選ばれた先輩社員の力量によって、指導の質に差が出てしまうことがあります。また、チューターとチューティーの相性がよくないと、思うような効果は出ません。
さらに、チューターになった先輩社員の負担が大きくなって、先輩の仕事に支障が出てしまうという問題点もあります。負担が大きすぎるとチューターが燃え尽きて退社してしまうことも。
チューター制度の類語との違いを確認!
新人を教育する制度はチューター制度のほかにもあります。チューター制度に似ていますが、異なる点も。各制度の特徴やチューター制度との違いを確認しましょう。
チューター制度とメンター制度
メンター制度はメンター(先輩)がメンティー(新人・部下など)を支援・指導し、メンティーの成長を促す制度です。
メンターは、メンティーが抱える仕事上の不安を解消することに重点を置いてサポートするのが役目。そのため、メンターにはあえてメンティーとは直接関係ない部署にいる先輩社員が選ばれます。
チューター制度と違い、仕事の中身そのものの指導は守備範囲外です。
メンターについて、くわしくは下記の記事で紹介しています。ぜひこちらも読んでみてください。
メンターの意味とは?ビジネスで担う役割って?英語・語源からメンター制度の概要まで解説
チューター制度とアプレンティス制度
アプレンティス制度は、中世ヨーロッパのギルド(職人組合)で一般的に用いられていた徒弟制度。現代でも使われています。
アプレンティス(弟子)がジャーニーマン(師匠)に弟子入りし、熟練の職人技や仕事への取り組み方、信念などを学び、一人前の職人として成長していくシステムです。弟子は雑用しながら師匠の技を見て盗み、覚えていきます。
アプレンティス制度は教えるというよりは、自ら学ぶに近い指導法。チューター制度よりも、学ぶ側の積極的な意欲が必要です。
チューター制度とブラザー・シスター制度
ブラザー・シスター制度は新人社員と年齢が近い先輩社員が選ばれて、新人社員に仕事を教える制度。メンター制度が定着する前の日本企業で使われていたシステムです。
ブラザー・シスター制度で選ばれた先輩の役目は、新人に一通りの仕事を覚えさせること。新人が仕事を覚えたらそれで役目は終了です。
ブラザー・シスター制度では、新人の不安解消など、精神的なサポートまでは要求されません。
対して、チューター制度では基本的なスキル以上の高度な指導を追加で行うケースもあります。チューティーの相談にのり、精神的なサポートもします。
[ビジネス版]チューターの使い方・例文
チューターの意味がわかったら、次はビジネスでのチューターの使い方を例文でイメージしてみましょう。
先輩
上司
上司
新人
分野別!チューターが登場する場面をチェック
チューターは一般的なビジネスだけでなく、限定された分野でも登場することがあります。どのような使い方があるのか、社会人の知識として身につけておきましょう。
看護分野のチューターは「新人の相談相手」
看護分野でのチューターは、新人が仕事で困ったときに相談をする相手として決められた先輩のこと。
チューターになった先輩は1対1の関係で新人の相談相手になり、必要な支援を行います。しかし、常に同じシフトで勤務するわけではないので、新人の仕事につきっきりにはなれません。
チューター不在のときは、新人が別の先輩とペアになり患者を担当する補助アサイメントを併用して、チューターの指導をフォローするのが一般的です。
塾のチューターは「個別の指導者」
塾や予備校のバイト求人で、チューター募集という記載をよく見かけますよね。
この場合のチューターは1対多数の形式で授業を提供する一斉授業の講師ではなく、自習時などに生徒の質問に個別対応し、勉強のサポートをするスタッフのことを意味します。1対1で指導する個別授業の場合の講師を意味することも。
大学のチューターは「留学生の個別相談員」
大学でのチューターは外国人留学生を対象にした個別相談員を意味することが多いです。
日本に来たばかりの留学生は大学施設の使い方や生活に必要な買い物、行政手続きなど、日常生活のさまざまなことに戸惑います。日本語の会話がうまくできないことも。
チューターは留学生の相談にのり、時には用事に同行したり、日本語練習のパートナーになったりするのが役目です。
チューターは同じ大学に通う学生の中から募集し、手当が出る場合もあります。
大学では「教授の助手」という意味で使われることも
大学でチューターが使われるときには、「教授の助手」という意味になることも。
この場合のチューターは「教授の助手」として授業準備をしたり、授業のアシスタントをしたり、学部生に助言したりします。チューターは授業をしません。
大学によっては、大学院で学ぶ大学院生をチューターにすることもあります。
チューターの支援を受けて、学習をよりいいものにしよう!
チューターは日本の企業でしばしば使われる用語です。新人のときにチューターの指導を受けた方も多いのではないですか?
少し年上で相談しやすいチューターが自分の仕事についていてくれることは、新人社員にとって心強いですよね。ただし、チューターに頼り切りになるようではなかなか仕事を覚えられず、一人前のビジネスマンには成長できません。
チューターとよい関係を築き、自らも積極的に学ぶ姿勢をとることで、日々の学びをより効率的で有意義なものにしていきましょう!