「とりあえず」は敬語表現ではない!
後輩
先輩
後輩
「とりあえず」を日常会話やビジネスシーンでよく使う人は注意してください。「とりあえず」は敬語表現ではありません。
例えばお店で注文をするときに「とりあえず〇〇」。一度は耳にした、または使った経験のある人が多いフレーズです。適当に使ってしまいやすいフレーズですが、目上の人に対して使用するのは避けたほうが無難です。
お酒の席につく機会が増えるビジネスシーンでは特に気をつけましょう。ビジネスパーソンに対しては、類語や言い換え表現に置き換え、「とりあえず」の使用を控えるのがベターです。
・念のため
・取り急ぎ
・おおよそ
…など
・一応
…など
「とりあえず」の漢字と意味は?
適当な形で口にしてしまう場面が多い「とりあえず」ですが、そもそもの意味を理解して使っている人は少数です。意味を理解せず「とりあえず」使ってしまい、相手に誤解されている可能性もあり得ます。トラブルを避けるためにも、「とりあえず」の漢字とともに意味を掘り下げていきましょう。
「とりあえず」は漢字で書くと「取りあえず」
「とりあえず」は漢字で「取りあえず」と書きます。しかし、「とりあえず」を漢字で書く際、「取りあえず」と「取り敢えず」の2パターンあります。
「取りあえず」は常用漢字表に表記されている書き方で、「取り敢えず」は表に記載されていない”表外漢字”です。文章に起こす場合は、常用漢字に則った「取りあえず」で書くのがベターです。
「とりあえず」の意味は?
「取りあえず」とは、「取り」と「敢えず」のふたつの動詞をあわせた副詞です。
まず、「敢えず」とは「敢う(あ-う)」の打ち消し表現。「敢う」とは、”耐え忍び、堪えるさま”や”耐えて物事を行うさま”を意味します。つまり、「取りあえず」とは、「取ることができなかった」の意味につながります。
もとは「取るものも”取りあえず”」の表現から生まれた言葉で、“取っていく(もっていく)ものも取らず、急いでいるさま”を表現しています。古典の『古今和歌集』や『太平記』にも登場し、その歴史はとても古いフレーズです。
普段口癖のように「とりあえず」を使っている人は、本当に”そんなに急いでいる”のか、今一度思い返してみましょう。
上司
「とりあえず」はビジネスシーンで使える言葉?
「とりあえず」は、ビジネスシーンでは相応しくないフレーズです。例えばお酒の席で思わず口にしてしまう「とりあえず〇〇」。このときの適当なイメージが強く、目上の人に対して使用すると”いい加減な受け答え”に取られる恐れがあります。
先輩
後輩
先輩
上司
部下
上司
上司
部下
上司
近年ではあまり重要性の高くないシーンで使われるケースが多く、軽い気持ちのフレーズに誤解されやすい言葉です。冗談をいいあえる親しい相手には通じるケースもありますが、普段のビジネスシーンでの使用には誤解される危険性がもたれます。
明らかに急いでいるときでも、上司や取引先、顧客はもちろん、ビジネスシーンでの目上の人への使用は控えましょう。
「とりあえず」の類語もビジネスシーンに相応しくない
ビジネスシーンに相応しくない「とりあえず」ですが、類語に言い換えれば使えるわけでもありません。例えば「一応」や「さしあたって」を使う場合。ともに最低限度、おおよその見方で期限や数量を決める曖昧な表現です。つまり、“中途半端”と受け取られる恐れがあります。
「とりあえず」の意味は、悪く言えば目の前の事柄に対して”その場しのぎ”にも見られます。ビジネスシーンでは事柄に対する説明の過程、結論が重要です。物事を曖昧にぼかさず、断定や断言、結論づけができる表現を心がけましょう。
先輩
※「とりあえず」の言い換え表現をもっと知りたい人は下記記事もご覧ください!↓↓
「とりま」の意味とは?女子高生が使う若者用語?もう古い?何の略語?使い方や注意点など徹底解説!「さしあたって」とは?意味や敬語・使い方・類語・英語表現も解説!
「とりあえず」の代わりに使える言葉
中途半端や曖昧なイメージの「とりあえず」ですが、類語のすべてがビジネスシーンで使えないわけではありません。言葉の前後に違和感なく、自然な形で結論につなげれば類語の使用も可能です。その一例を例文でご紹介します。
まず
漢字では「先ず」と書き、“ほかより先に優先するものを指す”言葉です。「とりあえず」と同じ意味ですが、優先を示し、次の段階へと話しをつなげられるなら問題ありません。もうひとつ別の言葉に「ひとまず(一先ず)」があり、十分ではなくても”物事にひと区切り”をつけたいときに使用します。
後輩
先輩
部下
課長
念のため
事柄に対し、より一層の注意を促す、念を押して確認の意味をもつ言葉です。ミスが許されない状況、物事を確実なものにしたいとき、相手に注意事項を伝えるときに使用可能です。
上司
部下
上司
取り急ぎ
緊急時や大至急の際、真っ先に報告したい場合に使用します。つまり、“とりあえず急ぎ”であるさまを表現しています。内容が十分ではないが、一時的な応急処置として報告・対応した際に使用します。
本来は好ましくない表現ですが、できる限りの対応が必要な限定的な状況で使用できます。取り急ぎの対応をした相手には、しっかりとアフターフォローを忘れずに誠意を示しましょう。
部下
上司
おおよそ
大体のありさま、あらましを指す言葉です。「大凡そ」と書き、「およそ」とも言い換えられます。ざっくりと概要や状況を説明するときに使用できます。
部下
上司
「とりあえず」の英語表現
ビジネスシーンにおいて「とりあえず」はよく使われる言葉です。いざというときのために、会話やメールで使える英語表現を確認しておくと安心です。
for now
first of all
と表現できます。
「とりあえず」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒とりあえずビールで!
・For now let’s go to somewhere!
⇒とりあえずどこかの店に入りましょう。
・For now I am asking for the marketing department.
⇒とりあえずマーケティング部門でお願いします。
・It is still a long time from now on, so first of all it is ok if you just make a decision.
⇒まだ先の話だから、とりあえず決めておいてくれればいいよ。
「とりあえず」はビジネスシーンでの使用を控えたい曖昧な表現
日常会話でも使われている「とりあえず」は、適当なニュアンスがあるため誤解を受けやすい言葉です。相手との距離感やタイミングを選ばないと、マイナスのイメージを植え付けてしまう可能性があります。
「とりあえず」は類語も同じ意味合いが多く、言い換えれば問題がないわけではありません。言葉の意味をしっかりと理解したうえで、ビジネスシーンでの使用は「とりあえず」控えておきましょう。