セレンディピティとは、たなぼた的発見力のこと!
思わぬ偶然に出会える力、すなわち『たなぼた的発見をする力』のことをセレンディピティといいます。しかし、これだけではどんなことが『セレンディピティ』といえるものなのかはっきりわかりませんよね?
そこでここでは、セレンディピティの意味や語源、使い方などをわかりやすく解説していきます。
セレンディピティの意味
英語では『serendipity』と表記し、次のような意味をもっています。
■思わぬものを偶然に発見する才能
■偶然の発見
■素敵な偶然に出会うこと
この言葉は、イギリスの小説家であり政治家であるホレス・ウォルポールが、ある童話から生み出した造語です。
セレンディピティの語源はイギリスの童話?
この童話は『セレンディップの3人の王子』という、セレンディップ、今のスリランカにいた3人の王子のお話です。
旅先のある国で、いなくなったラクダのことを、さも見たことがあるかとように特徴を言った為、ラクダ泥棒と疑われたが、ラクダが見つかり疑いは晴れました、というのが簡単な物語の内容です。
でも、なぜ見たこともないラクダの特徴がわかったのか?それはこんな理由だったのです。
■道端の草が左側だけ食べられていたから右目が見えないとわかった。
■草を噛んだ後を見て歯が一本ないのだと判断した。
■道に片足を引きずった跡があったことで脚が悪いとわかった。
ほかにもいくつもこのような話が滑るように出てきたため、その洞察力に驚かされ、その国の皇帝が自分の側におくようになった…ということですが、他の人が気付けないことに気付けたというこれらの事柄こそが『セレンディピティ』のもとになったのです。
これぞセレンディピティ!正しい使い方例
世の中には偶然の発見で生まれた、これぞ『セレンディピティ』といえるものがたくさんあります。ここではそれらの中からいくつか例としてピックアップしてみました。
ポカリスエットxセレンディピティ
大塚製薬から発売されているスポーツドリンクの『ポカリスエット』。この有名な商品も実は偶然から生まれたものなんです。
当時の技術部長が新飲料開発の為の視察で訪れたメキシコでお腹を壊して入院した際、水分と栄養を摂るように医師から言われ、点滴を受けながら「栄養も一緒に補給できる飲み物があればいいのに…」と思ったことがきっかけになったそうです。
また、栄養補給の為に点滴液を飲むお医者さんの姿を見たこともあり、『飲む点滴』というアイデアが浮かんで開発がすすんだといわれています。
ポストイットxセレンディピティ
仕事でもプライベートでも、今ではポストイットはなくてはならないアイテムの一つですよね?
ポストイットは何度も付けたり剥したりできる弱い糊がついているのが特徴ですが、この糊は強い接着剤を開発する時の失敗作だったんです。何度作っても、よくくっつきはするけどすぐに剥がれてしまう。この特徴を生かしたものが現在のポストイットになったといわれています。
コーンフレークxセレンディピティ
朝食でお馴染みのコーンフレーク。これもまさにセレンディピティの商品。
ケロッグのコーンフレークの生みの親のケロッグ氏が、ある日パン生地の原料である茹でた小麦を放置したまま外にいて、数時間後に戻ると小麦はフレーク状になってしまっていました。それを「失敗した!」と捨ててしまうのではなく、逆に興味を惹かれてしまい、その生地を焼いてみるとカリカリに。
この頃ケロッグ氏は病院の患者の為の食事作りを請け負っており、患者さんたちにそのフレークを食べてもらうと好評だったことから、大量生産に踏み切ることにしたということです。
セレンディピティのマーケティング活用方法
商品をたくさん効率的に売れるようにするマーケティング活動においてもセレンディピティは活用されています。
プッシュ通知
スマホやタブレットで新しいアプリを入れた時『プッシュ通知を許可しますか?』というメッセージが出ますよね?このプッシュ通知というのは、そのアプリについて新しい情報がある場合、メンテのお知らせなどをインストールされたスマホやタブレットに送るようにするシステムのことをいいます。
『調べなくても通知される=偶然の発見』と考えると、このプッシュ通知というシステムも一つのセレンディピティといえるでしょう。
閉店セール
「繁華街を歩いていたらたまたま閉店セールをしているお店があって、お得な買い物をしちゃった!」
これも偶然の出会いですよね?長期間そのセールを実施していたとしても、あなたが通りがかったその時にやっていたらついつい「これは今買わないと!」と思ってしまいませんか?これもセレンディピティを上手に活用してるパターンだといえるのではないでしょうか。
通販番組の今だけ価格
忙しいあなたには通販番組をじっくり見る時間はあまりないかもしれませんが、昼間の番組や夜中の通販番組を見ていると「今お電話をいただくとさらに10%OFFに!」というセリフを聞くことがあります。
「欲しいけど、ちょっとだけ考えよう」と思っている人にとって、このサービスは「今見ていて良かった!」と思わせるものですよね。これも偶然の出会い『セレンディピティ』になります。
科学的発明を生んだセレンディピティ事例
セレンディピティは日用品や日常生活の中で馴染みのある物や事柄だけではありません。化学的な発明の中にもセレンディピティ事例はたくさんあります。
ダイナマイト
科学者であるノーベルは、爆発性のあるニトログリセリンを安定させることを試みている中、輸送中にクッションとして使用していた珪藻土に容器から漏れたニトログリセリンを発見。
そして、珪藻土とニトログリセリンを混ぜ合わせた粘土状のものはニトログリセリンそのものの爆発力は損なわないということがわかり、ここからダイナマイトの特許取得へとつながりました。
ペニシリン
医療業界で抗生物質として使われている『ペニシリン』は、アレクサンダーフレミングがブドウ球菌の研究をしていた際に、本来であれば発生させてはいけない青カビを発生さてしまったことから発見されました。
その培養器の中に発生していた青カビのまわりには細菌が繁殖していない。この事実から、病原菌を退治する効果があるということがわかり、ペニシリンの抽出に成功したといわれています。
万有引力
「月が落ちないのはなぜか?」という考えを持ち始めたニュートン。その後リンゴが気から落ちるのを見て「天体も地球上の物体も同じ法則があるのでは?」と考え、それを万有引力の法則と仮定した証明しました。このひらめきも一つのセレンディピティといえるでしょう。
恋愛にも仕事にも!セレンディピティを引き寄せる5つの法則
『セレンディピティ』はビジネスの世界だけで使われることではありません。普通の日常生活においても、恋愛に関してもセレンディピティは存在しており、それらには共通の5つの法則があるんです。
ネガティブワードは使わない
偶然の発見をしても、「まさかね」「そんな偶然はない」といったように疑ってかかったり、それを否定していては前に進むことはできません。
何か新しい物を発見したり、出来事に出立った時には「ここから何か出来るかも!」「この偶然の出会いに感謝!」というような前向きな心を持つということが大切です。
出会いを増やす
新しい場所や新しい出会いは、新しいものを発見する絶好のチャンス!街に出たり、気になるお店に行ってみたりしてリアルな出会いをするのはもちろん、SNSの中にも出会いはたくさんあるものです。ちょっとしたことからでもきっと発見はあるはずです。
一人の時間を作る
前の項目で「出会いが大切」とお話しましたが、新しい人や物に出会ってばかりでは情報があふれかえってしまい、考えを纏める時間がありません。
良いひらめきを得るためにも、ゆっくりと安らげる、一人の時間もきちんと作ることもとても大切です。
食わず嫌いを辞めてみる
「いままでさけてきたけど、食べたら意外と美味しかった」
「あの人、話してみるととっても感じのいい人」
あなたもこんな経験をしたことはありませんか?こういった発見も一種のセレンディピティです。
恋愛映画セレンディピティを観る
2001年に公開されたアメリカ映画に『セレンディピティ~恋人たちのニューヨーク~』というものがあります。
ニューヨークのデパートで同じ手袋を手にしたことから出会ったジョナサンとミラ。この時はお互い恋人がいましたが、出会った日はロマンティックなデートをしてそのまま別れました。
しかし、お互い忘れられない二人は、運命の出会いを信じてニューヨークに行くものの、ニアミスばかり。それでも運命の再開を信じて進んでいく…というストーリーです。
DVDも結構安く販売されていますし、レンタルもあるようなので、興味のある人は是非!もしかしたら映画の中で「これぞセレンディピティ!」と思うシーンいくつもあるかもしれませんね。
セレンディピティは日常に!
思わぬ発見や新しい発見・出会いは、私達が生活している日常に普通にあるものです。あなたも世の中にしっかりとアンテナを張り巡らして、セレンディピティに恵まれた人になって欲しいと思います。