ブラック企業は、労働者を大切にせず、使い捨てのような扱いをするくせに、辞めようとすると邪魔をしたり引き留めたりすることがあります。引き留められてズルズルと勤務を続けることのないように、確実な辞め方で円満退職しましょう。強い気持ちで辞めることは必要ですが、社会人としてのマナーもしっかり守りましょう。
自分の会社がブラック企業だと思ったら
自分の会社がブラック企業ではないのかと思ったら、まずは今の労働環境について考えてみましょう。辞めたいと思っても、すぐに辞めるのではなく、まずは本当にブラック企業なのか判断することが大切です。
会社のルールや環境を振り返る
ブラック企業かどうかを判断するには、会社のルールや社内環境がおかしくないか、待遇が悪すぎていないか、考える必要があります。給料や残業代、休日や勤務時間などは労働基準法によって定められているものです。それが守られていない場合にはブラック企業の疑いがあります。
主に押さえておきたいのは、以下の点です。
- 給料は厚生労働省の地域別最低賃金を上回ることが必要
- 労働時間8時間で休憩1時間以上が必要
- 年間休日は最低でも105日以上必要
- 月の残業時間80時間以上は過労死ライン
■誰かに相談してみる
1つの会社に長くいると、たとえ間違ったルールや慣習でも正しいと思い込んでしまうことがあります。しかし、法に背いているように見えなくても、自分がつらい・耐えられないと感じたらブラック企業の可能性は捨てられません。自分で判断するのが難しいときには、誰かに相談して客観的に見極めてもらいましょう。
■ブラック企業診断でチェックしてみる
ブラック企業診断テストやチェックリストを利用して、自分の会社が当てはまるかどうか確認するのもよい方法です。項目別に〇かXかチェックしていくことで、より具体的、客観的判断ができます。
↓↓チェックリストを見たい人はこちらから!
ブラック企業診断チェックリスト公開!今すぐ自分の労働環境を見直そう
他の会社の勤務条件を見てみる
他社の友人、知人などに会社の話を聞いてみる、自社の話をしてみるのもよい判断方法です。「あれ、うちとは全然違う」と感じたり、「君の会社はちょっとおかしくない?」といわれたりしたらブラック企業の危険があります。また、聞く相手がいないなら転職サイトで他社の求人情報などを見るのもよいでしょう。
ブラック企業は特に辞め方が大切
ブラック企業を辞めたいと思ったら、非常に慎重に対応することが大切です。ブラック企業ではこちらに少しでも非があれば、必要以上に罵倒や損害賠償など、脅してくる恐れがあります。
そのため、特に正しい辞め方をしなければいけません。法的には退職は2週間前までに申し出が必要です。ただし、会社の就業規則で1ヶ月前と決まっていることも多いため、その場合にはそちらに合わせた方がよさそうです。
■バイトもブラック企業の辞め方は同じ
ブラック企業はバイトやパートの扱いもひどいものです。バイトやパートでもおかしいと思ったら辞めることを考えてみましょう。ひどい境遇のバイトは「ブラックバイト」などと呼ばれています。退職の基本ルールは社員と同じです。いくらバイトでも即日退社は無理なので、注意しましょう。
ブラック企業の辞め方:準備しよう
ブラック企業の辞め方で重要なのは準備です。上司や同僚から文句をいわれないためにも、あとの人が自分と同じ苦労をしないためにも、十分な準備をしてから退職を申し出ましょう。
退職願・退職届の準備
退職の意思は口頭で伝えてもよいのですが、あとで「言った」「言わない」のトラブルにならないように書面で辞める旨を伝えた方が安心です。よいタイミングで提出するために、退職願、もしくは退職届を事前に書いて準備しておきましょう。
退職理由の言い方を考える
退職の意を伝えるときのために、建前上の退職理由を考えておきましょう。退職届には「一身上の都合」と書きますが、上司に話すときには大抵理由を聞かれます。相手が納得できて引き留めにくい理由なら、押し問答になることもありません。
引き継ぎ資料作成
退職する際には自分の仕事を後任に引き継がなければいけません。引継ぎができないとトラブルのもとになり、引き留めの理由に使われる可能性があります。
それを読めば業務に就ける引き継ぎ資料があれば、自分がいなくなっても大丈夫といえるので、万全の準備をしておききましょう。万が一、もう明日から会社にどうしても行きたくないという状態になっても安心です。
身の回りの整理をさりげなく
いつでも辞められるように、身の回りの整理整頓をして、デスクには最低限の持ち物のみ置きましょう。資料類もわかりやすくまとめておき、急に辞めてもあとの業務が滞らないようにします。ただし、辞めようとしていることを悟られないためにも、さりげなくすることがポイントです。
■証拠集めもさりげなく
ブラック企業の辞め方で重要なポイントとして、違法に働かされていた証拠を集めることがあります。退職後に未払い残業代、慰謝料などの請求を行うなら、証拠集めは在籍中に行っておきましょう。これはあとで証拠の提示を会社側に求めても隠される恐れがあるためです。もちろん、誰にも悟られないようにさりげなく行います。
ブラック企業の辞め方:行動に移そう
準備が整ったら、ついに辞めるための行動を起こします。正しい辞め方と強い意志、冷静な姿勢で手続きを進めましょう。
上司に退職の意を伝える
上司に面談を申し込むか、時間があるときを狙って、退職の意を伝えましょう。できれば、メールなどではなく直接顔を見て伝えるのがよいですが、社内の風習や通例に従ってください。基本は就業規則の通り、退職を伝えた1ヶ月後などに退職日を設定します。
■引き留められても動じない
ブラック企業では、人手不足で引き留められる可能性もあります。ただし、労働者には辞める権利があるため、従う必要はありません。同情を引いたり威圧したりと様々な工作をされるかも知れませんが、引き留められても動じないようにしましょう。
■誠意を見せる
辞める意思は変えませんが、これまでお世話になった(世話になったと感じなくても)会社に対しての誠意は社会人として必要です。辞める日取りに余裕を持たせて、退職日までには引継ぎをしっかり行い、立つ鳥跡を濁さずでいきましょう。
また、会社に不満があったとしても、言葉に気を付けて会社の悪口などをいわないことも社会人のマナーです。
↓↓退職の切り出し方が不安な人はこちらもチェック!
退職の切り出し方マニュアル|伝えるタイミングや退職理由を考えてみた
有給を取得する
有給休暇の取得は、労働者にとって当然の権利です。特にブラック企業では有給を使えていないことも多いため、しっかりと使ってから辞めましょう。全く使わずに来たのなら最大で20日間溜まっていることもあります。有給を使って心身を休めて、リフレッシュしましょう。
■退職届を郵送してそのまま有給消化する
ブラック企業の場合、退職願を拒否されたり、威圧的に退職しないように迫られることもあります。その場合には郵送で退職届を出して、そのまま有給を使って退職日まで休むという手も使えそうです。退職日は2週間後の日付にし、有給願を一緒に出しましょう。
正しい手続き方法がわからない人、不安な人は退職代行サービスを使うという手もあります。
↓↓退職届の郵送や代行サービスについて知りたい人はこちら!
退職届の郵送方法を徹底解説|受理される送り方のマナーをチェック!
離職票などの依頼をしておく
退職後に必要な書類の依頼も、退職の意を伝えてから行っておく必要があります。離職票などもブラック企業では引き留めのネタとして出すのを渋ることがありますが、これは退職後にハローワークを通して指示してもらうことができます。
ブラック企業の辞め方:退職後
ブラック企業を退職したら、次のステップへ進みましょう。前を向いて歩き始めることはもちろんですが、その前にやらなければいけないこともあります。個々のケースで必要な行動を始めましょう。
失業保険の手続きをする
失業保険は、仕事を失ったときに次の仕事が決まるまで金銭的にサポートしてくれる強い味方です。失業保険の手当は会社都合では待期期間後すぐに、自己都合では3ヶ月後に受け取れます。ただし、やむを得ない理由がある場合には、自己都合でも3ヶ月の給付制限期間を待たずに受け取れるかも知れません。
↓↓失業保険の手当の受け取り方や受け取れる期間を知りたい人はこちら!
失業保険の利用条件や期間・金額は?初めてでも困らない手続き方法を解説未払い残業代や慰謝料の請求をする
未払いの賃金や慰謝料を請求する必要がある人は、在職中に集めた証拠を元に請求しましょう。労働基準監督署や弁護士など、専門の機関や専門家に相談するのも大切です。有料のものもありますが、自分だけで進めるよりもプロに依頼した方がスムーズなこともあります。
転職先を探す
次の仕事を探すことは、今後のステップとして最も重要です。転職先を探すなら、丁寧なサービスと非公開求人が多い転職エージェントがおすすめ。また、失業保険の再就職手当はタイミングによってハローワークからか転職エージェントからではないと受給できないことがあります。
正しい辞め方で穏便にブラック企業を去る
ブラック企業を退職するなら、こちらには一片の非もないくらい正しい辞め方の手順を踏んで辞めましょう。間違った辞め方をすると、そこにつけ込まれて退職がスムーズに進まなくなる恐れがあります。正しい方法さえ押さえておけば、ブラック企業は辞めようとする社員に何も手出しはできません。