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「やりたいこと」を軸にフリーランスへ。未経験から活躍するライターになった仲奈々さん

アプリ制作のベンチャー企業で働く仲奈々さんは、プロフェッショナル人材が集まる職場において、自身が専門的なスキルを身につけていなかったことに劣等感を抱いていたという。そこで、2人目の妊娠・出産で育休を取った際、新たなスキルを身につけようと思い始めたのが「ライター業」だった。今では多くの案件を受注するライターとなり、復職後は本業と並行してフリーライターとしても活動している。そこに至るまでには、どのような背景があったのだろうか。

親を安心させたくて、選んだ企業

早稲田

大学では自らの希望で国文学を学んだ仲奈々さんだが、就活時は自己分析をしてもやりたいことが見つけられらなかった。

国文科には、「新聞記者になりたい」「雑誌や書籍の編集者になりたい」「作家になりたい」と、将来を見据えて入ってくる人ばかりだった。なかには学生時代から、ライターの仕事や出版社でアルバイトをする人もいたという。

仲奈々さんが国文科に入ったのは、国語の成績が良く、得意なことを生かしたいと考えたから。「特別本が好き」とか「作家になりたい」とか、そういう思いはまったく持ち合わせてなかった。ただ周りは、日常会話で「小説の最新刊は読んだ?」とか、「登場人物の〇〇君の発言がめちゃくちゃいい」とか、本の話で盛り上がる環境だった。話についていけなくて、就職活動で出版社を受けることは、おこがましいとさえ感じた。

また、実家が沖縄だったため、仲奈々さんが東京で生活していることを親は常に心配していた。親を安心させたいという思いで、就職活動では大企業を中心に面接を受ける。そして内定したのは、大手生命保険会社だった。

入社後は、日々の仕事量に忙殺された。夜中まで仕事をして、タクシーで帰宅する日もあった。2〜3年は若さと気合いで乗り越えられるかもしれないが、ずっとこの働き方が続くとなれば体がもたないだろうと感じた。

働き方を変えたくて転職を考えていた頃、大学時代から付き合っていた人と結婚することに。そのタイミングで会社を辞めることになった仲奈々さんは、残業がない会社であることを最優先に転職先を決めた。大手の人材会社の契約社員で、9時〜17時で働くスタイル。残業がないため、体の負担は軽くなったという。

しかし、仕事はルーチンワークがほとんど。契約社員のため裁量権もなく、何かできるようになったという成長が感じられない。
「残業の多い働き方がしんどかったから、ゆるい働き方が合っているのかもしれないと思い転職したのですが、どちらも極端すぎて。自分の性質を見極められていなかったと気づきました」

「やりたいこと」を軸に転職先を見つける

人材会社で働いて2年目のとき、1人目を出産して産休・育休をとった。

長い休みの間に自分のキャリアを真剣に考えて、親が喜ぶからとか、給料がいいからとか、福利厚生がいいからとかじゃなく、「自分のやってみたいこと」を仕事にしてみたいと考えるようになった。その結果、社員数100人にも満たないベンチャー企業に転職することに。

「親は大きな会社で働いてほしいと、安定を求めていました。でも私は、そこまでそう思ってなかったんですよね。結婚して子どももいるから、今さら私が大きな会社で働くことに喜びを見出すことはないだろうなと思って。会社の規模ではなく、私がやりたいと思う軸で仕事を決めてもいいかなって」

育休から復帰後しばらくしてから、先のベンチャー企業に転職する。

仲奈々さんに任されたのは、カスタマーサクセス。どうしたらサービスのユーザーに喜んでもらえるか、きちんとサービスを使ってもらえるかを考える仕事だ。

もともと、仲奈々さん自身がこのサービスのファンだったため、サービスをより良くするための仕事はとても楽しかったという。

一方で、働くなかで、「私って何ができる人なんだろう」という思いをずっと抱えていた。この会社には、プログラミングや広報、編集者など、それぞれの領域で高いスキルを持つプロフェッショナルな人たちが集まっている。

「私は生命保険会社や人材派遣会社で働いていましたが、専門的な知識があるわけではないし、営業していたわけでもない。かと言って、事務でエクセルをごりごり使えるわけでもなかったんですよね」

「大学時代から周りに圧倒されて萎縮してしまって、私は周りを羨むばかりで何のスキルも身につけてこなかった」

これまで見て見ぬふりしてきた劣等感が刺激され、このままじゃだめだと感じた。しかし、子どももいてなかなかスキルを身につける時間が取れず、ずっとモヤモヤを抱えていた。そんな時、2人目を妊娠、出産する。一年間の育休をとり、せっかく家にいるんだから何かスキルを身につけたいと思い、キャリアスクールSHElikes(シーライクス)を見つける。

新たなスキルを学び、SNSで発信し続ける

SHElikesは、Webデザインやマーケティング、ライティング、カメラなど色々なスキルを学べるスクール。当時は、Webデザインのスキルを身につけたくて、SHElikesに入会した。しかし、いざWebデザインのコースを受講して、実際にコードを書いてみたら、仲奈々さんは“楽しい”と感じられなかったという。

「Webデザインは私には向いていないと思って。ただ、SHElikesは色々なスキルが学べるところだったので、Webデザイン以外のスキルを学んでみようと思い、新たに始めたのがライティングでした。頑張ってみて、少しでも上手くいきそうな気配があるとしたら、これまで抱えてきたコンプレックスがあわよくば解消されるかもしれないって、思いました」

ライティングコースを受講してから、仲奈々さんは添削された記事をリライトして、noteにあげるようになる。さらにTwitterで「こんな記事を書きました」と発信していた。

ある時、noteに載せた記事がとあるメディア担当者の目にとまって声がかかり、インタビュー記事の仕事へ繋がった。

SHElikesの卒業制作でもインタビュー記事を書いた。その記事は多くの人から反響があり、それまでまったく関わりのなかった企業から「社員のインタビュー記事を書いてくれませんか?」と声がかかるほどだった。

その後もインタビュー記事を書いては、noteにあげてTwitterで発信し続けていたら、Twitterでフォローしていたライターさんからお仕事の依頼をいただいたり、「この記事を見ました、ぜひうちでも書いてくれませんか」とメディアの編集さんから声をかけていただいたりと、SNS経由でお仕事をいただく機会が増えた。

「ありがたいことに周りから仕事を繋げてもらえることが多くて。今やっているライターの仕事は、100%そうです」

ご縁に生かされているのは、仲奈々さんのお人柄なのだろう。

仲奈々さんが書かれたインタビュー記事

働くスタイルを業務委託に変える

10月現在、本業を続けながら2つのメディアと業務委託契約を結び、ライターの活動をしている。どれもSNS経由で依頼を受けたものだ。

スキルを身につけるために入ったSHElikesでは、今では講師として生徒の記事を添削する側になったそうだ。

今後もライターとしてやっていきたいと思っていても、このままでは新しい仕事を受ける時間が足りない。そこで正社員として働いていたベンチャー企業を11月から業務委託契約に切り替え、ライターとして稼働する時間を増やすことにした。

「興味のない仕事をしていたときは、勤務時間が短くても辛いなと感じていました。今は本業と平行しながらライターの仕事もしているため、勤務時間はこれまでの社会人生活の中で一番多いかもしれません。でも、これまでで一番仕事が楽しいんです。自分のコンプレックスに向き合って、苦しみながらもスキルを身に着けたから、やっと自分の仕事に自信を持てるようになったのだと思います」

画像提供:仲奈々
取材・執筆:つか(@tsuka_0806
編集:中村洋太(@yota1029