「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」の要約を紹介
働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える(村山昇著)は、就職活動中の方からベテランまで幅広くおすすめできる一冊。若手であれば自分自身の仕事に対する考え方を、管理職やベテランであればマネジメントのヒントを得ることができます。
本書の魅力は、イラストや図がたっぷり含まれていることにあります。なんと、200を超えるイラスト・図があるとのこと。「哲学」という一見難しそうな内容ですが、図解によって非常にわかりやすく、敷居が低く感じられるはずです。
「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」の目次
PART2 主体性・成長について
PART3 知識・能力について
PART4 働く意味について
PART5 会社の中で働くことについて
PART6 心の健康について
おわりに
キーワード
参考文献
本書はこのような構成となっていますが、最後に「キーワード」がついており、索引として利用できる点が便利でした。全体を流し読みして、あとからキーワードから気になる部分にジャンプしてもう一度読み直すことができます。
一番のメッセージは健やかな「仕事観」を作ること
本書では「仕事観」や「観」というワードがたびたび登場します。これは、仕事に対する見方や考え方のこと。具体的にどういうことなのか、本書で紹介されている3つの例を簡単に抜粋します。
この例では、異動してきて間もない上司から、いきなり高い目標を設定されたときの考え方を紹介しています。
Aさん | よし、頑張ってみよう! |
Bさん | 付き合わされるのは困る |
Cさん | 無茶な目標でパニック |
専門知識や技能があっても、「観」が弱いことでキャリアをうまく構築できない人がいるのだとか。仕事には成長機会、感動機会、学習機会など、さまざまなチャンスがあります。これらを活用できるかどうかは「観」にかかっているといっても過言ではないでしょう。
偉人が残した100の名言から学ぶ仕事観
本書では、学者や実業家、作家、スポーツ選手などが残した名言を100個紹介しています。例えば、次のような人の名言を使っています。
経営学者:アダム・スミス、ドラッカーなど
哲学者:カント、モンテーニュなど
心理学者:A.マズロー、A.エリスなど
実業家:渋沢栄一、松下幸之助など
名言の意味を深掘りしながら仕事観を養っていくことができます。こうしたところが本書のタイトルにある「哲学」と通じているのですが、小難しい記載がなく、先述したようにイラストが見やすいです。
実際に引用されていた名言を一つ取り上げます。
アイザック・ニュートン
「私が人より遠くを眺められたとすれば、それは人の肩に乗ったからである」
ここから、自分の成果は過去の人々の成果の上に築かれるものだと説いています。つまり、感謝や畏敬の念を持つ必要があることを教えてくれています。こうした考え方をインプットすることで、自分の仕事に対する考え方(=観)が磨かれていくでしょう。
本書で学ぶことができるキーワードは多数
本書では仕事に関するさまざまなテーマについて考え方のヒントがあります。どんなことが学べるのか幾つかピックアップします。
・マネジメント、リーダーシップ
・リテラシー
・メンタルヘルス
・モチベーション
・インプットとアウトプット など
例えば、「モチベーション」というテーマであれば、「内発的動機」と「外発的動機」という切り口で論じられています。内発的動機=楽しい、面白いという自分の内側から起こる意欲、外発的動機=収入が得られる、かっこよく見られるなど外側から誘発される意欲です。
内発的動機は持続的ですが、外発的動機は単発で終わるとされており、仕事の中に面白さを見出す必要があると説明されています。
本書の魅力は哲学に焦点を当て、名言を多数引用していることだけでなく、心理学などの研究からわかっていることを散りばめてある点にもあります。
仕事を前向きに楽しむために一読を
働き方の哲学 360度の視点で仕事を考えるは、仕事がつまらない、モチベーションが上がらないと感じている人におすすめしたいです。私の部下にも「仕事がつらい」とよくこぼしている人がいますが、その人は仕事に対する考え方に課題があるように思えます。同じ仕事でも考え方を変えれば前向きに楽しむことができるようになります。
「つまらない仕事はない。仕事をつまらなくしている人間がいるだけ」
本書の中に、このような言葉がありました。まさにこの通りで、仕事がつまらないかどうかは、その人次第なのです。就活生、新卒の方から、マネジメントが求められる管理職の方に広く読んでいただきたいと思える本でした。