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40代でフリーランスの放送作家から正社員へキャリアチェンジした私が考える転職で大事なこと

こんにちは、私は2010年からフリーランスの放送作家として活動していましたが2019年6月に会社員としての転職をしました。ずっと個人で仕事をしていた私でしたが、40代で再び会社員の道を歩み始めたのにはさまざまな葛藤やきっかけがありました。

音楽関係の仕事からフリーランスの放送作家へ

フリーランスとして活動していたときのお話の前に、私のこれまでのキャリアの話をさせてください。

私は大学卒業後、昼間はCDショップで働き、夜はDJとしてイベントに出演するという形で趣味と実益を兼ねた活動をしていました。

CDショップでは正社員として勤務をしていたのですが、2年ほど働いていた大型のショップが閉店することになり、私自身CDショップの店員に大きな魅力を感じていたわけではなかったため、このタイミングで転職をしようと決意します。

この時が最初の転職になりますね。CDショップの取引先でもあったインディーズのレコード会社に入社をし2年ほど働いたのですが、ちょうどそのころiPodが発売され、CDは売れなくなるだろうと感じて会社の将来性に不安を感じるようになります

そう悩んでいたころ、知人に声をかけていただいた音楽の制作会社に転職。この時が2度目の転職です。

映画を作りたいという気持ちを胸にフリーランスの放送作家になる

20代から33歳になるまでは、大好きな音楽漬けの日々を送っていました。

そんなある日、仕事で映画音楽の制作に関わることがあり、大学のころに思い描いていた「映画制作に挑戦したい」という気持ちが蘇ってきて「やっぱり映画を作りたいな」と思いました。

私は思い立ったらすぐに行動する性格なのでそのときから脚本家を目指して活動を始めます。

約1ヶ月後には制作会社にも退職の旨を伝えたのですが、収入がゼロになることを気にかけてくれて「どうせバイトを始めるならうちの仕事も受けてよ」と提案してくれました。

そのため、これまでの制作会社の仕事をほぼ契約社員として関わりながらも脚本家の仕事を少しずつ始めることに。

最初は舞台や映画の脚本家を目指していたのですが、そう簡単に仕事を獲得できませんでした。このままでは生活も苦しくなると考え、脚本だけにこだわることをやめます。書いた作品を応募したり、出版社の知人に提案したりして、テレビやラジオなどの企画を考える「放送作家」としての活動も始めることにしました。また、これまでの経験を活かしてライターの仕事をするなどさまざまなことに挑戦しました。

仕事の幅を広げていった結果、ありがたいことに少しずつフリーランスの仕事も増え、なんとか生活ができるようになりました。

脚本家から放送作家にシフトしたことで順調に仕事をこなしていくことができていたのですが、そんな生活もあまり長くは続きませんでした。

時代の変化と波のある収入。少しずつ限界を感じていた

フリーランスとして、いずれは安定した収入を得ながら生活をしたいと思っていましたが現実は厳しく、収入は思うように増えませんでした。

気づけば年収が100万円下がっている年もあり、収入の不安が消えません。

それでもなんとか生活はできていたのですが、私のフリーランス放送作家としての収入の柱となっていた企業様が「テレビ番組の制作をやめる」と決断

なんとなく予測もできていたのですが、実際に決まったときは収入のほとんどがなくなることが決まり頭が真っ白になりました。

転職のきっかけとなった衝撃的な出来事

新たな取引先を増やさなければ…

急いで企画書を30本以上作成し、いろいろな会社に回るなどできる限りのことはしました。しかしその努力が報われることはありませんでした。

さらに、いろいろと悩んでいた私の身にフリーランスとしての道を諦めようと考えるきっかけとなった事件が起きました。

とあるラジオ番組に企画を出したときのこと。

以前から一緒に仕事をしてみたいと思っていた人気のアニソンシンガーさんがいて「一緒にラジオを始めたい」と、制作担当のディレクターに企画をプレゼンしました。

企画を気に入ってくれて、初回の収録日も決まり準備を進めていたところ、

すみません、その番組はなしになりました

と突然連絡。初回収録日が決まったあとの直前キャンセルは滅多にないことなので相当驚きました…

聞くところによると、収録直前に局の上層部がNGを出したそうです。
ディレクターの方も今更困ると交渉してくれたそうなのですが決定が変更になることはなく、私が準備してきたことも全て水の泡に。

それがきっかけで、この仕事には縁がないのかもしれないと考えるようになりました。

改めて営業をかけようと思ったものの、テレビ業界は市場規模も縮小に入っていて正直厳しい状況。AbemaTVなどのネット番組などは市場が伸びているのでチャンスに感じてはいたものの、担当者は若い方が多く、少し歳が離れていた私はコミュニケーションを密にとって仕事をすることは難しいかもしれないと考え、その業界にアプローチをかけることはしませんでした。

さまざまな点を考慮した結果、私はこのままフリーランスを続けることは困難だと考え転職することを決意しました。

40代からの転職活動は決して簡単なものではなかった

とはいえ10年ほど活動したフリーランスから会社員にキャリアチェンジをするのは簡単なことではありません。
そもそもこれまでの転職は知り合いから声をかけてもらうケースが多く、しっかりと転職活動をしたことがなかったため、どうすればいいか全くわかりませんでした。

とりあえず、リクルートの転職アプリをインストールして、ハローワークにも登録をしました。

ハローワークでは、担当をしてくれた方はとても優しく、その場でいくつか求人を見せてくれ、良さそうな企業があれば電話をしてくれました。

強引になんでも受けさせようとするのではなく、求人をみて合わないかもしれないと正直に提案してくれたり、良さそうな企業があれば積極的に面接をしてみてはどうかと声をかけてくれたり、丁寧に対応をしてくれたので不満はありませんでした。

しかし、ハローワークを利用したのはその一回だけ。ハローワークに悪い印象があったというわけではありません。

私にとってリクルートのアプリが便利すぎたのです
お風呂に入りながら応募だってできるし気軽に企業を調べられるし…とてもありがたいと感じました。

ただ、特にやりたいことなどはなく、給料がしっかりもらえて、土日休みでというような条件面のことしか考えていませんでした。

自分にしかできない個性的な面接をしてようやく勝ち取った内定

リクルートのアプリは設定した希望に対してがオススメの求人を送ってくれるので、片っ端から応募をしてみることにしました。書類が通れば面接に進めるのでそのときに初めてホームページをみて面接に行っていました(笑)。

応募は100数以上、面接はだいたい20社ほど受けました。

私のキャリアは結構珍しいほうなので興味を持ってもらえることも多かったのですが、どうしてもこの会社に行きたいという気持ちもなかったので、モチベーションが上がらずうまく話せないこともありました。

面接の度に同じ話をすることにストレスを感じていたので、それが態度にも出ていたかもしれません。面接で盛り上がって手応えを感じても落ちることが多々ありました

自分自身のモチベーションにも問題を感じた結果、面接の方法を変えてみることに。
自分のキャリアを漫談のように説明することにしたのです。

なかなかキャリアを漫談で説明する人はいないと面接官に気に入ってもらえることが増え、少しずつ手応えを感じ始めていました。もちろんうまくいかないこともありましたが。

面接方法を見直したことが功を奏して、無事広告制作の会社から内定をいただくことができました。どうしても広告の仕事がしたいというわけではありませんでしたが、ライターや放送作家として文章を書いていた経験などは広告関連の仕事でも活かせるだろうと思い入社を決めました。

転職したいと思うのであれば続けることが1番大事

私はフリーランスから会社員になるとき、本当にたくさんの企業に応募しましたし面接もしました。もちろん書類だけで落とされてしまうこともたくさんありましたし落ち込むことだってありました

転職したいと思い続けていたので、1つ落ちただけで落ち込んでいても仕方ない!という気持ちで活動しました。

フリーランスから会社員に戻ることに抵抗を感じる方もいるかもしれませんし、私自身そう考えていたこともありました。しかし長い目で考えるとみんな定年過ぎたら会社に属さなくなるので「定年後はみんなフリーランスになるんだから!」と考えたら割り切れました。

働き方もどんどん選べる時代になっていると思うので、自分がどうしたいかをしっかり考えたうえで行動し続けることが、納得いく仕事をしていくためには大事なポイントだと思います。

フリーランスから会社員になって感じるメリットやデメリット

2010年1月から始めたフリーランスとしての仕事を引退し、2019年6月から会社員として再び働き始めた私ですが、実際にフリーランスから会社員になってメリットもデメリットも感じました。

デメリットを感じる部分は、やはり会社員は組織なので何をするにも申請が必要であるところです。有給を取りたいとき、文房具やマウスなどの備品を買うとき、わざわざ申請をしなければいけないことに煩わしさを感じることがあります。会社員だと当たり前のことかもしれないのですが私には面倒だなと感じました

反対に1番メリットに感じたのはコロナウイルスによる緊急事態宣言が発令されたとき。フリーランスの場合はコロナの影響で収入が途切れてしまう方もいるのですが、会社員は途切れることはありません。

実際には会社からの休業要請によって給料は4割カットされてしまったのですが、リモートワークで業務も多くなく、そこまで手を動かさなくても給料が入ってきます。フリーランスではありえないです。

さらに給料が減ったとしてもリモートワークによって時間も増えたのでクラウドソーシングサービスを使ってライターの副業をするなど収入の柱を増やすこともできます。
会社員として安定した給料をいただきながら副業をすることで別の収入も増やしていけるということはとても魅力的でした。

会社員でもフリーランスのような働き方ができるようになった

実は私の会社はコロナになる前からリモートワーク化を進めていました。今では週1回出社があるかないかでほぼフルリモートで勤務しています。

長年フリーランスだった身としてはできれば出社したくないと思っていたので、今の働き方はとても楽です。ただ、放送作家だったころと比べると外出する機会がかなり減ったので、最近はリモート疲れも感じています。

放送作家に戻りたいとは思わない

今はもう放送作家に戻りたいとは思いません。もちろん転職前は辞めたくないと思っていたのですが、マインドが完全にネガティブになってしまっていたのでそれなら環境を変えるのが1番だと思い会社員になりました。

それでも、面白いもので今の会社でも放送作家に近いような仕事をするかもしれません。
というのも会社でYouTubeチャンネルを立ち上げようという話になって、構成などを考える経験のあった私が任されることになりました。いわゆる社内YouTuberです。

これまでの経験も活かせるし、テレビでなくても番組を作るということが自分でできるのでとても楽しくやらせてもらっています。
そう考えるとフリーランスで放送作家に戻らなくても今のほうが安定した状態で好きなことができていると思います。転職して本当によかったです。

インタビューイ: 武広しんじ(@takehiroshinji)
取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー
編集:chewy編集部 はら