かぐわしいには2つの意味がある
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かぐわしいという言葉は日常会話の中でもよく登場します。しかし具体的にどんな匂いのことを表しているのか聞かれると、答えに詰まってしまう人もいるのではないでしょうか。かぐわしいにはふたつの意味があります。
かぐわしいは『いい香りがすること』
ひとつ目のかぐわしいの意味は『いい香りがすること』です。いい香りというのは主観的なものなので、人によってどんな匂いなのかは違います。かといって良し悪しの伝わることが少ないわけではありません。「かぐわしい」という言葉を使うことで、いい香りだと感じたことを相手に伝えることができるからです。
かぐわしいは『心が惹かれて好ましいこと』
ふたつ目のかぐわしいの意味は『心が惹かれて好ましいこと』です。匂いを説明する言葉ではなくて、気持ちを説明する言葉でもあるというところがポイントです。
このかぐわしいという言葉の意味、語源、英語表記など、くわしく説明していきましょう。
かぐわしいの意味をチェック
かぐわしいには『いい香りがすること』以外に『心が惹かれて好ましいこと』という意味があります。この言葉、実は漢字表記もいくつかあるのです。くわしくみていきましょう。
かぐわしいの漢字表記
かぐわしいは「かぐわしい」とひらがな表記することもありますが、漢字表記もいくつかあります。「芳しい」「香しい」「馨しい」の3つです。どの漢字も「かぐわしい」と読むのは簡単ではありません。
「芳しい」・「香しい」どちらも「かぐわしい」と「かんばしい」というふたつの読み方があります。しかも「芳ばしい」「香ばしい」と書くと、「こうばしい」という読み方になるので、注意が必要です。
「馨しい」の読み方も同じですが、この漢字で表記することはまれです。
かぐわしいの語源
かぐわしいの語源は日本の古語です。「か」「ぐはし」という2つの合成語で、「か」は「香」、「ぐはし」は「細かい」という意味があります。この「かぐはし」という言葉は万葉集にも登場しています。
『いい香りがすること』という意味で使われているのは「かぐはしき花橘(はなたちばな)を玉に貫ぬき」という句、『心が惹かれて好ましいこと』という意味で使われているのは「かぐはし君を相見つるかも」です。どんなに月日が流れても人の感性や感情には共通するものがあるということでしょう。
かぐわしいの反対語
「かぐわしい」という言葉の反対語に該当する形容詞はありません。反対語として使うのは「かぐわしい」の否定形の「かぐわしくない」となります。意味もいい匂いがしない、好ましくないといったニュアンスになります。
反対語で注意が必要なのは「かぐわしい」を漢字表記した時の「芳しい」です。「芳しい」は「かんばしい」とも読むと説明しましたが、この否定形の「かんばしくない」はいい匂いがしないという意味ではなく、調子がよくない、出来が悪いといった意味になります。かぐわしいとはほぼ関連のない言葉でしょう。
かぐわしいの英語表記
かぐわしいの英語表記はいくつかあります。例文をみていきましょう。
【fragrant(かぐわしい)】
It has the fragrant smell of the flower of a lily.
ユリの花のかぐわしい匂いがします。
【sweet-smelling(かぐわしい)】
She is wearing a sweet-smelling perfume.
彼女はかぐわしい香りの香水をつけています。
かぐわしいとこうばしいの違い
かぐわしいと響きの近い言葉にこうばしいがあります。漢字で書いた場合にも似ているので、かなりややこしいです。かぐわしいは「芳しい」「香しい」と表記しますが、こうばしいは「芳ばしい」「香ばしい」とあらわします。この2つの言葉の意味の違いはどこにあるのか、見ていきましょう。
ひとつ目の違いはかぐわしいという言葉で使われている『心が惹かれて好ましいこと』という意味がこうばしいにはないことです。
ふたつ目の違いは匂いを描写する対象に関すること。かぐわしいは人や植物を対象として使われることが多いのに対して、こうばしいは食べ物、特に煮る、焼く、炒めるなど調理した料理に対して使われることが多いのです。
色気や感性に直結したものがかぐわしい、食い気に直結したものがこうばしいと覚えておくとわかりやすいでしょう。
かぐわしいの使い方・例文
かぐわしいという言葉は会話の中でどんな使い方をされているのか、例文をみていきましょう。
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かぐわしいの意味を理解して正しく使おう
かぐわしいという言葉に2つの意味があることに注意してください。匂いをほめただけなのに、告白だと思って、相手がその気になってしまった、なんてことにもなりかねません。かぐわしいという言葉、ビジネスではあまり使いませんが、植物を形容する言葉として使うと、そこから会話が広がることもあるかもしれません。意味を理解して、適切な場面で使ってください。