「社畜」は「会社+家畜」の造語
「社畜(しゃちく)」という言葉を目にしたことはあるでしょうか。働き方改革で労働者に優しい環境作りが推奨される中、いまだ「ブラック企業」と呼ばれる労働環境が劣悪な企業は存在します。
簡単にいえば、「社畜」は「ブラック企業」で働いているような労働者のこと。「会社」の「家畜」という意味で作られた造語です。1990年の流行語にもあげられており、意外と古くからある言葉。
「社畜」の背景
20年も前に生まれた言葉が言葉が再び注目を集めているのはなぜでしょうか。「社畜」以外にも、家庭よりも仕事を優先する、長時間働くといった労働者を「企業戦士」や「モーレツ社員」という風潮はありました。
これらはネガティブというよりも、むしろ社会・会社・家族の為バリバリ働くというポジティブな意味合いが強いもの。
一方で「社畜」は「家畜」が語源ということからもわかるように、基本的には悪い意味でしか使われません。家畜は人間の生活を成り立たせることだけを目的とした生き物。会社のためだけに身を粉にして働く労働者を家畜に例えています。
同じように仕事優先で長時間働いているのに、一方で「企業戦士」、一方で「社畜」と呼ばれる実情。背景には、相応の対価を得ているかどうかという違いがあると考えられます。
働いた分が正しく給料や労働環境に反映していれば、「社畜」という言葉はここまで広がらなかったかもしれません。
卑下して使う「社畜」
「社畜」は劣悪な環境に身を置く労働者への揶揄だけではなく、自らを卑下して使っているのを見聞きすることも多いのではないでしょうか。
・3日連続サービス残業とは俺も立派な社畜だわ
・電車が遅延してるから自腹でタクシー拾うなんて我ながら社畜精神がすぎるwww
それほど深刻に悩んでいなくても冗談で「社畜」を使ってしまうこともあります。
自分のことを指していても、近くに同じ境遇で働く人がいる場合、耳に入ったら嫌な気分にさせてしまうかもしれないので注意。
「社畜」の類語
「企業戦士」や「モーレツ社員」もある意味、類語ではありますが、「社畜」の言い換えには他にどのようなものがあるでしょうか。
・仕事人間
・仕事の鬼
「仕事人間」や「仕事の鬼」は、「社畜」よりもネガティブには聞こえません。
誰かのことを「あの人は社畜だよね」と表現するよりも、「あの人は仕事人間だよね」といった方が、少し柔らかい印象になります。
「社畜」の英語表現
「社畜」は日本固有の言葉かと思いきや、海外にも同じような意味合いの言葉はあります。
・He is like a workaholic
⇒彼は仕事中毒(社畜)のようだ
日本語でも、仕事中毒のことを「ワーカホリック」といいます。「社畜」を英語で表すとしたら、これが近いニュアンスになるでしょう。
ただ、ストレートに「slave(奴隷)」と表現することも可能。「slave」の方が強めの表現となるため、日本語でいうところの「社畜」に近いかもしれません。
「社畜」が冗談で済まなくなる前に
働いていれば、誰でも理不尽な目に遭うことはあります。「社畜」と笑っていられるうちはよくても、続くと冗談ではすまない状態になることも。
自分が「社畜」かもしれないと思ったら、外部の人に相談したり、ネットで情報を集めたりして状況を打開しましょう。