モジュールとは「交換可能な部品の集まり」という意味
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モジュールは「交換可能な部品」や「基準になる大きさ」という意味のカタカナ語。いろいろな分野で使われていて、分野ごとに意味が少しずつ変わってくる少々やっかいな言葉です。
ちなみに、ポケモンGOは、現実世界をプレイヤーが実際に移動しながらポケモンを探して遊ぶ人気ゲーム。ポケモンGOのモジュールは、種類ごとに効果が変わる交換可能なアイテムです。
モジュールの意味を解説
モジュールは、IT・工業・建築・教育分野など、いろいろなシチュエーションでよく耳にするワードです。しかし、プライベートではあまり使わないため、意味をイメージするのが難しいですよね。もともとの意味を確認しておきましょう。
英語のモジュール(module)はどんな意味?
英語のモジュール(module)は「最小の寸法」という意味のラテン語がもとになって生まれた単語です。
もともとは「基準になる寸法」という意味で使われていました。
そこから意味が広がり、現代の「module」は、次のような意味の単語になっています。
・基本単位
・交換できる部品の集まり
「module」は「基準になる寸法」という意味から、複数の意味に枝分かれしています。使われるシチュエーションに違いはありますが、どれも「規格化されたもの」というニュアンスが核にあります。
カタカナ語のモジュールとは?
カタカナ語のモジュールは、次のような意味をもっています。
・規格化された構成単位
・交換できる部品の集まり
英語のモジュール「module」とカタカナ語のモジュールは、ほとんど同じような意味ですね。
カタカナ語のモジュールの意味にも、英語の「module」と同様に「規格化されたもの」という共通点があります。
分野ごとのモジュールの意味
モジュールは「基準になる寸法」という意味から始まり、「規格化されたもの」という意味になった単語でした。使用される分野が違うと何の「基準」になるのかも大きく変わってきます。
「基準」になるものであり、「規格化」されているというポイントは共通であることを念頭に置きながら、分野ごとのモジュールをみていきましょう。
電気機器・工業製品のモジュールは「交換できるパーツ」
電気機器・工業製品のモジュールは、交換できるパーツを意味します。
モジュールは、それひとつで何かしらの機能(例:通信機能や冷房機能、ナビゲーション機能など)を果たせるように作られています。ネジ1本や板1枚をモジュールとはいいません。
モジュールは、同様の機能をもつほかのモジュールと交換するのが簡単で、大きなシステムの一部として働きます。
ソフトウェアのモジュールは「プログラムの塊」
ソフトウェアのモジュールは、何か特定の機能を実現するプログラムの塊。
モジュールは、それ単体では機能しません。多くのモジュールを結びつけて、モジュールよりも大きな塊になるファイルを作成。さらに、複数のファイルを合わせて、より大きなプログラムを組み立てていきます。
現代のプログラムは複雑化しているため、新しいプログラムを作るときにすべて人力でゼロから組み立てるのは非常に困難です。そのため、使いそうな機能をモジュールとして用意しておき、各プログラムで使いまわすのが一般的。
プログラミング言語のPythonでは、使い勝手のいいモジュールがたくさん作られています。プログラムを組み立てるのに便利ですよ。
建築関係のモジュールは「寸法」
建築関係のモジュールは、建築材料で基準になる寸法のこと。
日本の建築では、寸(すん)や尺(しゃく)というモジュールが使われます。日本での寸は3.03センチ、尺は30.3センチです。
これは、尺モジュールと呼ばれています。日本で流通している建材のサイズは、大半が尺モジュール基準です。
尺モジュールのほかには、インチモジュールとメーターモジュールがあります。
歯車のモジュールは「歯の大きさの基準」
歯車のモジュールは、歯(歯車についているギザギザ)の大きさの基準です。次の式で求められます。
歯車の直径(ミリメートル)÷歯車の数=モジュール
学校教育のモジュールは「分割した学習時間」
学校教育のモジュールは、全体の学習時間を小さく分けたもの。1モジュールは、10分~15分程度です。
1コマの授業時間の中で、この学習はモジュールをひとつ使用。次の作業では2つ分のモジュールを割り振るなど、学習内容に合わせてモジュール数を調整しながら授業時間を配分します。これがモジュール授業です。
また、1コマ何分という授業時間そのものを15分・25分・30分のように柔軟に設定するケースもあります。このような場合の呼び方は、モジュール授業ではなく「モジュール制」となります。
モジュールの関連用語
ここまでの説明でも、モジュールという単語そのもののほかに、尺モジュールやモジュール授業のようなワードがいくつか出てきましたよね。
このように、モジュールはほかの言葉と組み合わせた関連用語としても使われています。どのような言葉があるか覚えておきましょう。
モジュール化
モジュール化は、全体を構成する各要素をその働きによって分類・整理すること。
まずは、同じ働きに関係するもの同士がひと固まりのモジュールの中に入るように、全体を整理してまとめていきます。
たとえば、カーオーディオの各種機能を構築する電子部品は、車の中にばらばらに配置するのではなく、オーディオという箱の中に集約されるケースが大半ですよね。
モジュールができたら、次に各モジュールを組み合わせて全体の構図を作ります。
モジュールは、同様の機能の別モジュールと簡単に交換できるように「規格化」するのがポイント。組み合わせの変化によるモジュール間の調整をしなくて済むため、取り付け手順を単純化できます。
・シートデザインの変更
・オーディオの変更
・ドアの交換 など
規格化したモジュールは、生産時間節約・低コストの鍵です!
経営のモジュール化
モジュール化の考え方は、ビジネスプロセスや経営の分野に応用できます。
まずは、複雑なビジネスプロセスや会社の組織図を役割ごとに分類してモジュールを作りましょう。つぎに、各モジュールの関係性がなるべく単純になるように部署同士のつながりを整理します。
これが経営のモジュール化です。モジュールのつながりがわかりやすくなると、組織としての決断が早くなるなど、企業にメリットが生じます。
モジュール設計
モジュール設計とは、製品の設計をモジュール化したもの。
モジュール設計では、各モジュール(例:車のボディ、シート、オーディオ、ドアなど)それぞれに「規格化」したものを複数用意しておき、その組み合わせを変えることで注文者の要望に応えていきます。
バリエーションに富んだ「規格化」済みモジュールの設計図と、各モジュールの組み合わせで考えられる設計パターンの事前準備がモジュール設計成功のカギ。
モジュール設計なら、どんな注文をもらってもパターンにはめて処理できるので、注文ごとに製品の設計図をゼロから作っていく必要はなくなります。
モジュール設計のシステムや注文手順が、お客さんにわかりやすくなるよう、企業は図入りの説明書を作っておくといいかもしれませんね。
モジュール結合度
モジュール結合度は、プログラムに組み込まれているモジュールがどの程度周りから独立しているかを示すもの。モジュール結合度が低いものほど、モジュールの独立性は高いです。
独立性が高いモジュールは、周囲のモジュールに影響を及ぼしにくくなります。それは、モジュールをシステムの一部としてはめ込むときに、ほかのモジュールとの調整が少なくて済むということ。
メンテナンスなどの調整が容易になるので、モジュール結合度は低いほどいいプログラムとされます。
モジュール強度
モジュール強度は、ひとつのモジュールの中に含まれている機能の統一性がどの程度かを示すもの。モジュール内部の機能が、統一されていればいるほどモジュール強度は強くなり、優れた設計とされています。
カーオーディオのモジュールなら、カーオーディオに関係する機能だけを詰め込み、ほかの機能は入れないのが望ましいということですね。理想はモジュールひとつに機能もひとつになります。
モジュールの使い方・例文
ビジネスでのモジュールは「交換できるパーツ」という意味で登場するケースが一般的です。どのような使い方ができるか、例文でイメージしてみましょう。
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モジュールでビジネスの処理をスムーズにしよう!
モジュールは、電気機器・工業製品・建築・ソフトウェア開発など幅広いものづくりで登場します。
ものを製造するときに使うケースが多いため、製造業用語のような気もしますが、実はそれだけではありません。モジュールは経営や教育の分野でも用いられています。
分野ごとの意味を正しく理解して、使用するシチュエーションが多いモジュールをしっかり使い分けできるようになりましょう。