スピンオフとは3つの意味をもつ言葉
上司
新人
上司
スピンオフは、大きく分けて3つの意味をもつカタカナ語です。
新人君が挙げた「番外編」という意味のスピンオフは、皆さんにもなじみがあるのではないですか?
しかし、ビジネスで登場するスピンオフは「番外編」とはまったく異なる意味で使用されています。スピンオフに関する知識を深め、社会人としてレベルアップしましょう!
ちなみに、「ファンタスティックビースト」シリーズは「ハリー・ポッター」シリーズの新作として公開された人気映画です。
スピンオフの意味を解説
作品制作の世界では、人気作品の番外編が作られるケースがよくあります。テレビや映画が好きな方は、日常的にスピンオフという単語を耳にしているかもしれませんね。
プライベートでもよく使うスピンオフは、もともとどのような意味なのか、くわしくみてみましょう。
英語のスピンオフ(spin-off)はどんな意味?
プライベートでは「番外編」という意味で使われるケースが多いスピンオフは、英語表記すると「spin-off」になります。
「spin」は「回転させる」。「off」は「○○から離れて」という意味です。「spin」+「off」で「回転させて離す」というニュアンスになりますね。
それを踏まえて「spin-off」を考えると、意味が覚えやすいですよ。
・副産物
・派生作品、番外編
会社の中から一部を遠心力で放り出すと「分社化」。主目的から振り落とされたものが「副産物」。オリジナル作品から振り分けられて「番外編」になる、と解釈するとそれぞれの意味をイメージしやすいですね。
英文の中にスピンオフが「spin off(動詞+副詞)」の形で登場する場合もあります。「spin off」だと「振り落とす」「付随的に生み出す」「分社化する」という動詞の意味になるので注意してください。
カタカナ語のスピンオフとは?
カタカナ語のスピンオフは、次のような意味をもつ言葉です。
・国が主導する特定の分野の技術開発から、意図せずできた副産物。また、副産物の民間転用
・派生作品、番外編
カタカナ語のスピンオフには、英語の「spin-off」にはなかった「副産物の民間転用」という意味があります。
また、カタカナ語のスピンオフでは、ただの技術開発ではなく「国が主導する特定の分野の技術開発」という点がポイント。宇宙や軍事の分野からの副産物をスピンオフとするのが大半です。
カタカナ語と英語では、意味が少し違う場合があるので注意してください。
ビジネスにおけるスピンオフの意味
ビジネスにスピンオフが登場するときは、金融・証券用語として使われる場合と、もうひとつ、まったく別の意味で用いられるケースがあります。
ひとつの言葉に2つの意味があるのはややこしいですね。使い分けできるように、それぞれの意味を理解しておきましょう。
①:分社化、企業内独立
スピンオフには、企業が自社の事業の一部を会社本体から切り離して、子会社などの別会社を作るという意味があります。
スピンオフ前からの株主には、親会社の株式とは別に新しくできた会社の株式を交付。
スピンオフした後は、親会社と子会社が別々の会社になるので、投資家が子会社の株式だけを購入することも可能です。
スピンオフ税制
スピンオフ税制は、スピンオフによる企業再編をしやすくするために設けられた税制度です。
スピンオフ税制ができる前の日本では、企業がスピンオフすると親会社や、親会社の株主に対して税金がかけられていました。そのため、この税金が足かせになり、スピンオフがあまり行われていませんでした。
本業の足を引っ張る事業の切り離しや、有望な事業の独立ができないと、会社全体としての成長が妨げられてしまいます。この問題を解消するため、平成29年の法改正で作られたのがスピンオフ税制です。
スピンオフ税制では一定の条件を満たした場合、親会社や親会社の株主にかかっていた税金は先送りされる決まりになっています[efn_note]参考:「スピンオフ」の活用に関する手引|経済産業省[/efn_note]。
②:副産物の民間転用
国主導で研究開発し、国が保有・管理する技術の一部を、本来とは別の目的で民間が利用できるようにすることをスピンオフといいます。
また、そのように提供された技術で開発し、民間で販売・活用されている製品やサービスもスピンオフです。
冷戦がきっかけで開発された測位システムが今、私たちの生活を支えるGPSとして活用されています。また、医療の分野などで使われるレーザー技術は、もともと地球と月の間の正確な距離を測るために開発された宇宙技術でした。
テレビのリモコンは、スペースシャトルに乗る宇宙飛行士たちが、互いに通信するため作られた技術がもとになったそうですよ。
私たちの身の回りには、たくさんのスピンオフがありますね。
スピンオフとスピンアウトは何が違う?
ビジネスシーンでは、スピンアウトというワードが登場する場合もあります。
スピンアウトは、分社化・企業内独立の意味で使われるスピンオフと対になるワードです。スピンオフとスピンアウトには、次のような違いがあります。
■スピンオフ:親会社と分かれた新会社の間に資本関係があるなど、一定の関係を保っている
■スピンアウト:親会社と分かれた新会社の関係が切れている
スピンオフの場合は、一定の関係を保った企業内独立なので、新会社がビジネスするときに親会社のブランド力などを利用できます。
しかし、スピンアウトの場合は、新会社が完全に独立して関係が切れているため、親会社の力を借りれません。
スピンオフの使い方・例文
ビジネスでのスピンオフには「分社化、企業内独立」と「副産物の民間転用」という2つの意味がありましたね。
それぞれの意味でのスピンオフの使い方を、例文でイメージしてみましょう。
上司
先輩
上司
上司
新人
映画・ドラマでも!スピンオフ作品とはどんなもの?
この記事の冒頭で、スピンオフ作品について軽く触れていました。「ファンタスティックビースト」シリーズは「ハリー・ポッター」シリーズのスピンオフ作品でしたよね。
そのほかにも、少し前の作品にはなりますが「踊る大捜査線」というテレビ発祥の刑事ドラマシリーズで、スピンオフ作品がいくつも作られていました。
このように、最初に発表された作品から枝分かれして作られる関連作品をスピンオフ作品と呼びます。
スピンオフ作品は、映画なら映画、漫画なら漫画といったように、最初の作品と同じ媒体で作られるケースが大半です。
しかし、テレビドラマから映画に進出したり、小説から漫画になったり、別媒体でスピンオフ作品が制作される場合もあります。
スピンオフは分野別に意味を考えなければならない用語
スピンオフは、分野によって意味が大きく変わるカタカナ語です。ビジネスで用いられるスピンオフだけでも「分社化、企業内独立」と「副産物の民間転用」の2つの意味がありましたよね。
それぞれの意味を理解し、シチュエーションごとに正しい意味を読み取る必要があります。しっかり使い分けできるようになりましょう。