「拘泥」は「必要以上にこだわる」という悪い意味
「拘泥(こうでい)」とは「必要以上にこだわる」という意味。「こだわり」というとよく聞こえますが、「拘泥」にはあまりプラスのイメージはありません。
拘泥の意味を考えるときには、「必要以上に」がポイントです。気にしなくてもいいところまで細かく気にしてしまうのが「拘泥」です。
そのため、「拘泥」を人に対して使う際は悪口になります。自分では「こだわりを持つ一流の仕事人」として褒めたつもりでも、よくない意味になってしまうので注意が必要です。
「拘泥」の漢字の意味
「拘泥」の「拘」と「泥」は、どちらも「こだわる」という意味を持つ漢字。同じ意味の言葉を重ねて強調しています。
また、「拘泥る」と書いて「こだわる」と読む場合もあり、その場合も「必要以上にこだわる」という意味になります。肯定的な意味としては使われません。
「拘泥」の使い方・例文
「拘泥」には、マイナスのイメージがあると前述しました。具体的な使い方を例文を見ながら学んでいきましょう。
・自分の成績にばかり拘泥してチーム全体のことを考えていない ・細かい部分に拘泥したばかりに機会を損失する ・値下げ競争に拘泥せず業界全体のことを考えるべきだ ・自身の損得に拘泥せず他社のことを考える姿勢が評価されている
例文を見てわかるように「拘泥」はプラスの意味として使われていません。「拘泥しない」と打ち消すとプラスの意味にすることができます。
肯定の意味で使いたいときは?
「拘泥しない」でプラスの意味になることはわかりましたが、打ち消しなしで肯定の意味で使いたい場合はどうすればいいのでしょうか。
その場合は、素直に「こだわる」を使いましょう。実は「こだわる」も本来は「拘泥」と同じようにネガティブな意味を持つ言葉でしたが、戦後になって今のようにポジティブな意味として使われるようになったとされています。
年配の人に多いですが、人によっては「こだわる」をいい意味としてとらえないことも。その場合は「熱意」や「凝る(こる)」、「情熱がある」など言い換えましょう。
・こだわりを持って仕事に臨んでいる ⇒熱意を持って仕事に臨んでいる ・オーガニックの食品を使うことにこだわっている ⇒オーガニックの食品を使うことに凝っている
「拘泥」の類語・対義語
「拘泥」の言い換え表現として「こだわる」を紹介しました。「こだわる」もかつてはマイナスイメージのある言葉でしたが、近年になってプラスのイメージが強くなっています。
ここでは「拘泥」と同じようにあまりいい意味では使われない類語表現を紹介します。
・執着(しゅうちゃく) ・執心(しゅうしん) ・固執(こしゅう)など
「拘泥」をこれらに置き換えても同じようなニュアンスで使うことができます。
・前職ではライバルとの成績争いにばかり拘泥していた ⇒前職ではライバルとの成績争いにばかり執着していた ・損得にばかり拘泥してケチと陰口をいわれるようになった ⇒損得にばかり執心してケチと陰口をいわれるようになった
「拘泥」の対義語
「拘泥」の反対の意味を漢字二文字で表した言葉に「没却(ぼっきゃく)」があります。「没却」は「すっかり考えないようにする、無視する」という意味。
しかし、「没却」はあまり聞きなれない言葉ですよね。「拘泥」を逆の意味として使いたいのであれば、「拘泥しない」とした方が使い勝手も伝わりやすさも上でしょう。
「拘泥」の英語表現
「拘泥」と同じようなニュアンスの英語表現に「adhering to」「sticking to」があります。例文で見てみましょう。
・He adhering to the rules ⇒彼は規則に拘泥している
「sticking to」よりも「adhering to」の方が硬い表現とされています。
「拘泥」せずに「こだわり」を持とう
「拘泥」は「こだわる」とは違い、ネガティブな意味合いでしか使われないので注意が必要です。
どうでもいいことに対して「拘泥」するのはよくありませんが、商品やサービスの質をあげるためにいい意味で「こだわって」いきましょう。