「お祈り申し上げます」は結びや締め・お見舞いで使える挨拶
「お祈り申し上げます」は、メールや手紙の結び、改まった場での締めの挨拶、病人に対するお見舞いの言葉として使用できる表現です。「申し上げます」は「言う」の謙譲語なので目上の人や上司、クライアントに対しても使用可能です。
また就活で不採用になった場合に送られてくる、俗に『お祈りメール』と呼ばれる文書でも「今後のご活躍をお祈り申し上げます」など、結びの挨拶として使われる機会が多いフレーズです。
「祈る」と聞くとつい大げさなイメージが先行し、なかなか使うタイミングがわからない人も多い「お祈り申し上げます」ですが、ビジネスシーンでは結びの言葉として定番のフレーズです。
ですが毎回同じ表現ばかりだと心がこもっていないと思われる可能性もあるため、シチュエーションによって言い換えできるよう類語も身につけておくと安心です。
・ご自愛ください
「お祈り申し上げます」の意味
「お祈り申し上げます」は「相手に良いことがあるよう祈る・願うこと」を丁寧に伝える表現です。宗教的な意味合いの「祈り」は「祈りを捧げる」などと表現され、区別できるので、「お祈り申し上げます」はビジネス・日常会話として一般的なフレーズといえます。
「お祈り申し上げます」の「祈る」内容は、一般的なシーンでは相手の健康や幸福。ビジネスシーンであれば先方の活躍・繁盛・発展などを願う場合が多いとされています。
本来「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。そのため「申す」を「言う」という意味で捉えると「お祈りを言わせていただきます」となってしまうため、この場合は「申し上げる」を動詞の「する」の謙譲表現と捉え「お祈りさせていただきます」という意味で表現されます。
「申し上げる=させていただく」という意味を持つ「お〜申し上げる」は、謙譲表現として多く使用されています。例としては「お願い申し上げます」や「お待ち申し上げます」といったフレーズが代表的です。
「お祈り申し上げます」の使い方
「お祈り申し上げます」というフレーズはメールや手紙の最後の結びとして、定型文として使用するのが最も一般的です。
使いどころを覚えておけば、先方に対して気遣いの気持ちを表現しながら文章を美しくまとめることができるので、ぜひマスターしておきましょう。
「お祈り申し上げます」を使用した例文
ここからは実際に「お祈り申し上げます」を、どのようなシーンで使い分ければ良いのか例をあげてご紹介します。
目上の人に対して「お祈り申し上げます」を使う場合
目上の人に対して「お祈り申し上げます」を使った例文をご紹介します。
⇒「完調をお祈り申し上げます」
・異動の挨拶を頂いたお礼の結びの言葉
⇒「今後益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます」
上記の例文はメールの文末でも口頭でも、使用可能です。ですが相手によって「申し上げます」が堅苦しいと感じる場合や会話の中では、「お祈り致します」や「お祈り致しております」と言い換えて使っても良いでしょう。
ビジネスメールで「お祈り申し上げます」を使う場合
メールや文書で使用する際の「お祈り申し上げます」の例文です。
⇒「今後の新たな人生を楽しまれるようお祈り申し上げます」
・転職する人を送り出す挨拶
⇒「新天地でのご活躍を心よりお祈り申し上げます」
・産休入りする人への挨拶
⇒「元気な赤ちゃんの誕生をお祈り申し上げます」
・社外メールの結びの挨拶
⇒「貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」
内容に応じた文章を付け加えることで、場面や相手を選ばず使える便利な文言となります。
病気や災害に対するお見舞いで「お祈り申し上げます」を使う場合
病気や災害に対するお見舞いの際の「お祈り申し上げます」を使う例文です。
⇒「一日も早いご全快を心からお祈り申し上げます」
・災害見舞いの挨拶
⇒「一日も早い復旧をお祈り申し上げます」
ビジネスシーンでのお見舞いは、相手が大変な時だからこそ失礼のないようにしたいものです。上記例文は結びの言葉として「早く治るよう・復興するように祈っています」という意味なので、メールの場合は「ご病状(怪我)のお加減はいかがでしょうか」「どうかお大事に静養なさってください」など、相手を気遣う言葉を忘れないようにしましょう。
就活生に対して「お祈り申し上げます」を使う場合
就活生の間で「お祈りメール」と呼ばれる不採用通知は、今後人事担当や総務課で勤務する場合に書く機会があるかも知れません。会社によってはある程度テンプレートが決まっている場合もありますが、自身が受け取って不快にならないような書き方を事前にマスターしておきましょう。
⇒「〇〇様のより一層のご活躍をお祈り申し上げます」
お祈りメールの内容は基本的に応募や面接に参加したことへの感謝、選考の結果、不採用という結果に対するお詫び、最後に不採用になった人の今後の活躍や健康をお祈りする、という内容で構成されます。
一般消費者を対象としたビジネスでは、試験の応募者は同時に自社商品を買ってくれる消費者でもあります。機械的・事務的な不採用通知ではせっかく応募してくれた相手に、会社の悪いイメージを与えることにも繋がります。結びの言葉の前に「多数の企業の中から当社に応募いただきましたことに感謝するとともに」など、思いやりのある一文を付け加えると良いでしょう。
「お祈り申し上げますとともに」の使い方は?
ビジネスシーンでは、年賀状や暑中寒中見舞いなどの特殊なビジネス手紙や、祝電や弔電などの電報を送る機会があります。そこで「お祈り申し上げますとともに」という言い回しが頻繁に使われます。実際の例文で使い方をチェックしてみましょう。
⇒「より一層のご活躍とご健勝をお祈り申し上げますとともに、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。」
「お願い申し上げます」よりも、フォーマルな場面で結びの言葉として使用される場合が多いです。非常にかしこまった文章ですが、内容としては「良い方向に行くように祈っています。今後もよろしくお願いします」という意味です。
使用の際は同じ文章内に「お祈り申し上げますとともに〜申し上げます」など連続で同じフレーズが続くと文章が読みにくいため、「致します」など上手に言い換えながらバランスよく使いましょう。
「お祈り申し上げます」の返答として使える言葉は?
これまで「お祈り申し上げます」の使い方をご説明してきましたが、自分が言われた場合はどのように返せばいいのでしょうか。
⇒「お忙しい中ご連絡いただきありがとうございます。◯◯様におかれましても益々のご活躍とご多幸をお祈り申し上げます」
・健康に対しての返答
⇒「お気遣い心より感謝いたします。○○様も健康にはくれぐれもご留意ください」
返答の内容としては「お気遣いありがとうございます。あなたも良い方向になりますように」と、感謝とお返しの気持ちを伝えることが大切です。相手の気遣いに対する感謝を伝える表現なので、目上の人やクライアントに対しても使うことができます。
このようなフレーズが文末にあるだけで、事務的になりがちなビジネスメールに心遣いを感じてもらうことができるでしょう。
「お祈り申し上げます」の類語(言い換え表現)
「お祈り申し上げます」は相手を気遣う結びの言葉として使われますが、同じような意味を持つ言葉もいくつかあります。
祈念
「お祈り申し上げます」に似た表現に「祈念」という言葉があります。祈念とは文字通り、”祈り念ずる”という意味です。
⇒「貴社のますますのご発展を祈念しますとともに、本年もなお一層のお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」
・メールの結びの言葉
⇒「今後益々のご活躍を心より祈念いたします」
「祈念」という言葉は日常会話で耳にすることはありませんが、ビジネスシーンでは「お祈り申し上げます」同様、定型のフレーズとしてよく使用されます。目上の方やクライアントにも使用可能なので「申し上げます」が文章内に続いてしまう場合など、上手く言い換えながら使い分けてみてください。
ご自愛ください
手紙やメールの結びの言葉として「ご自愛下さい」というフレーズも多く使われています。「自分の体を大切にして下さい」という意味のため「お祈り申し上げます」の意味とは、ズレてしまいますが、ここでは結びの言葉の代用フレーズとしてご紹介します。
・「ご多忙の折、くれぐれもご自愛ください」
「ご自愛ください」は相手の健康を気遣う丁寧な表現なので、相手を選ばず目上の人やクライアントに対しても使えます。
注意点は「体調を崩さないように気をつけて」という意味のため、すでに体調を崩している人に対しては使わない方が無難です。その場合は「1日も早いご全快を心からお祈り申し上げます」などと伝えるようにしましょう。
「お祈り申し上げます」の英語表現
「お祈り申し上げます」は英語では「wish(望む・願う・祈る)」と表現されます。
⇒「I wish your company will have many more successful years.」
・ご健勝をお祈り申し上げます
⇒「I wish you all the best」
「お祈り申し上げます」を正しく使おう
「お祈り申し上げます」は日常では聞きなれないフレーズですが、ビジネスシーンでは相手を気遣う結びの言葉としてパターン化しています。手紙やメールを書くとき、どのように締めたら良いのか迷ってしまう人はぜひ類語や言い換えも覚えて、積極的に使っていきましょう。ぜひ今回の記事を参考に結びの言葉を上手く使いこなせるビジネスパーソンとして、より成長されることをお祈り申し上げます。