職場におけるパワハラの定義は?これってパワハラ?と思った時の対処法も紹介

新人

また部長から企画書ダメ出しされちゃいました…もう何回目だろう?これってパワハラじゃないですか?
いやいや。ダメなものをダメ出しするのは、どう考えてもパワハラじゃないでしょ…

先輩

職場で上司の言動に「それはパワハラなのでは?」とモヤモヤしたことがある人は多いはず。でも本当にそれがパワハラなのか判断するのは、意外と難しいものです。

今回は「パワハラ」の定義や、被害にあった時の対処法について解説します。

職場でのパワハラの定義とは?

新人

先輩も僕に厳しすぎる!この職場にはパワハラが蔓延してる!!
気軽にパワハラって言いすぎ!本当にパワハラかどうか、ちゃんと定義を調べてみれば?

先輩

まずはパワハラとはなんなのか、その定義を解説します。

パワハラ=パワーハラスメントの略語

パワハラはパワーハラスメントの略語。power(力)とharassment(嫌がらせ)を組み合わせた和製英語で、日本の職場で起こりやすい労働問題の典型といわれています。労働相談窓口に寄せられる事案の多くが、パワハラ問題で占められています。

2020年6月~パワハラ防止関連法が施行

パワハラへの意識の高まりを背景に、2020年6月から大企業向けに「パワハラ防止関連法」が施行されます。これは日本で初めて企業にパワハラの防止措置を課す法律。中小企業は2022年4月から適用されます。

同法には罰則規定がないため、実効性を疑問視する声もありますが、法整備によって労使の意識が変わり、職場環境の改善が進むことが期待されます。

厚生労働省によるパワハラの定義

厚生労働省は、パワハラを以下の通りに定義をしています。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の正常な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。  厚生労働省・あかるい職場応援団:ハラスメントの定義

パワハラといえば上司から部下に対するものというイメージが強いですが、実はそれだけにとどまりません。同僚間や部下から上司に対するパワハラも成立します。また、暴力行為や暴言などの明白なものだけでなく、いじめ・嫌がらせ行為もパワハラに該当します。

セクハラ、マタハラとも密接に関連

職場で起こるハラスメントには、パワハラの他、セクハラ(性的嫌がらせ)やマタハラ(妊娠・出産・育児休業等に対する嫌がらせ)もあります。パワハラに悩む人が多い職場は、セクハラやマタハラも同時に起こりやすい傾向にあります。

「これってパワハラでは?」判断の基準と具体例

新人

定義をみるとイメージはできるけど、実際にパワハラかどうか判断するのは難しそうですね。

パワハラかどうかは、職種や職場の人間関係によっても変わるため、線引きしにくいのが実情です。ここでは参考になりそうな判断基準や具体例をご紹介します。

パワハラの6類型

厚生労働省は、パワハラの典型例として6つのパターンを示しています。

①身体的な攻撃

叩く、蹴る、物を投げるなどの暴行。怪我を負わせるような実害がなくても、パワハラとして成立する。

具体例
・提出した書類を「なんだ、この仕上がりは!」と怒鳴りながら投げつける

②精神的な攻撃

人前で怒鳴りつける、人格を攻撃する、陰口や噂話をするなど。例え指導目的や冗談のつもりでも、パワハラに該当する可能性があります。

具体例1

新人

先輩、すいません…さきほどのお渡ししたデータ、間違ってたので修正します。
え、また?何回ミスすれば気が済むの?ホント、使えないよね。

先輩

具体例2

上司

また太ったんじゃない?そんなんじゃモテないぞ。結婚なんて当分無理そうだね。
そうなんです…(気にしてるのに酷い!原因は仕事のストレスなのに…)

先輩

③人間関係からの切り離し

理由なく1人だけ別室に席を移したり、連絡先から外すなどの行為が該当します。

具体例1
部内で開催する歓迎会に1人だけ呼ばない
具体例2
挨拶をしたり話しかけても返事をしてもらえない

④過大な要求

膨大な業務量や達成不可能な目標設定、無理難題を押し付けるなどの行為が該当します。

具体例1

上司

(膨大なデータを渡しながら)明日の朝一の会議で必要だから、今日中にまとめておいて。
え!(あと5分で定時なのに…この量だと徹夜かも…)

新人

具体例2
新人に事前説明をしないまま、ベテランと同じ仕事をさせる

⑤過小な要求

職能以下の仕事をさせる、仕事を与えないなどの行為が該当します。

具体例1
研究職に倉庫整理だけをさせる
具体例2
事務職に草むしりだけをさせる

⑥個の侵害

プライベートに過剰に立ち入る言動が該当します。

具体例1

上司

最近、彼氏できたんだって?今週末もデート?どこに行くの?
内緒です!(余計なお世話!)

先輩

具体例2
不在中に勝手に机やロッカー、鞄の中を確認された

パワハラかどうかの線引きは難しい

6類型にあてはまる言動でも、すべてがパワハラとみなされるわけではありません。

例えば親しい同僚に休日の予定を聞かれても、なんとも思わない人が多いはず。あるいは新入社員が難しいプロジェクトのメンバーに加えてもらえなかったとしても「パワハラだ!」とは誰も思いませんよね。

このように同じ行為でも、人によってとらえ方は変わるもの。一律に線引きするのではなく、個別の事案ごとに判断する必要があります。

パワハラを受けた場合の対処法

新人

実際にパワハラにあった時は、どうしたらいいんでしょうか?

ここでは、パワハラの被害にあった場合の対処方法を解説します。

パワハラを受けた証拠を残す

パワハラは人前で公然と行われることもあれば、密室で起こることも。事実を証明するために被害にあった記録は、極力詳細に残しておきましょう。具体的には以下の方法が有効です。

・パワハラ被害を受けた日時、相手の言動をメモに残す
・メールや文書に加害表現があれば保存しておく
・スマートフォンやICレコーダーを常に携帯し、パワハラ発言を録音しておく

加害者と直接対話する

可能であれば加害者と直接話すことが、最もスムーズ。というのも多くの場合、加害者にはパワハラの自覚がないからです。話し合うことでお互いの意識のギャップが埋まり、早期に問題を解決できる可能性が高いです。

ただし「それはパワハラです」といった直接的な非難は、相手の態度を硬化させる可能性が高く、おすすめできません。自分が苦痛を感じていることを伝えた上で「このように言ってもらえる/してもらえると、ありがたいです」と改善を要請するのがよいでしょう。

社内に相談・報告する

加害者と直接話し合うことが難しい、明らかに相手に悪意のあるという場合は、社内のしかるべき相手に相談しましょう。加害者の上司、人事や社内の相談窓口、場合によっては経営陣など、信頼が置ける相手に相談し、解決を図ります。

第三者に相談・仲介を依頼

社内の相談で解決しない、かえってパワハラが悪化したという場合は第三者の手を借りることを検討しましょう。

各種相談窓口で専門家からのアドバイスを得るほか、最終的には、訴訟を起こすという手段もあります。

転職する

最も現実的な解決法は職場そのものを変えてしまうことかもしれません。パワハラは組織の体質に起因することも多く、その場合、改善はほぼ期待できません。職場にとどまることが苦痛なら、無理せず転職を試みるのがおすすめです。

パワハラを受けた場合の相談先

先輩

社内で解決できない場合は第三者に相談!無料で使える制度もあるから、パワハラにあったら独りで悩まず、早めに相談しよう!

ここではパワハラにあった場合の相談先をご紹介します。

各都道府県の労働局

労働局の総合労働相談コーナーでは、職場のトラブル全般についての無料相談を受け付けています。専門の相談員からアドバイスが得られます。
参考 総合労働相談コーナー厚生労働省

労働条件相談「ほっとライン」

電話による相談窓口も開設されています。全国どこからでもフリーダイヤルでアクセス可能。相談料は無料です。
参考 労働条件相談「ほっとライン」労働条件相談「ほっとライン」

中央労働委員会

労使間のトラブルを解決する「個別労働紛争のあっせん」を依頼できます。無料かつ短期間で解決することが多いため、訴訟より手軽で、広く利用されています。
参考 個別労働紛争のあっせん中央労働委員会

弁護士に相談

訴訟を希望する場合は労働問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士費用や裁判にかかる工数や日数を考えると、訴訟は金銭的・時間的負担が大きいことをあらかじめ認識しておきましょう。前述したパワハラの証拠をそろえておくとスムーズです。
参考 HOME日本弁護士連合会

パワハラは他人事ではない

パワハラは世代間や個人間の働き方や価値観のギャップから引き起こされることも多く、知らず知らずのうちに自分が加害者・被害者になることもありえます。自分を守るためにも、身近な問題として意識しておきましょう。