「新版 はじめての課長の教科書」の要約を紹介
「新版 はじめての課長の教科書」は、2008年に出版された旧版に大幅な加筆が行われた一冊。日本国内はもちろん、海外でも読まれているほど、多くの人に受け入れられている書籍です。
著者は、「人生に一度ぐらいは、課長に近い立場で仕事をするチャンスが訪れる」と記しています。中間管理職向けのビジネス書は少ない傾向にあり、主任〜課長クラスの方にはぜひ一読してほしい書籍です。
「新版 はじめての課長の教科書」の目次
第2章 課長の8つの基本スタイル
第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム
第4章 避けることができない9つの課題
第5章 課長のキャリア戦略
第6章 活躍する課長が備えている5つの機能
章立ては上記のような構成となっています。まずは課長と部長、経営者の違いだったり、課長にとって一番大切な仕事は何か、果たすべき役割は何かなど、基本的な解説があります。
それから、課長に求められるスキル、よく直面する課題、キャリア戦略、活躍するためのエッセンスが展開されていきます。
私は30代で、今まさに課長として仕事をする立場にあります。初めての管理職であり、なんとなくやっていたことも、この本を読むことで整理できる部分がかなりありました。
課長の仕事で一番大切なのは「モチベーション管理」
最初の章では、従業員のモチベーション管理が最も大切だと述べられています。企業の業績とも関連がある要素だからです。
マネジメントにおいては、油断すると欠点ばかりに目がいってしまいますが、どんな導き方をすればモチベーションが高まるのかを考えることは必須ですね。
著者の見解では、飲み屋で部下と愚痴を吐いて終わるのは係長クラスまで。課長以上のポジションになれば、部下の内発的動機付けを刺激する必要があります。本書では従業員のモチベーションを高めるための考え方やコツが紹介されていました。特に、部下が「会社から大切にされている」という感覚を持って働けるようにすることが重要としています。
課長に必要なスキルとは?
課長に求められるスキルを、本書では次の9つの観点から解説しています。
- 部下を守り安心させる
- 部下をほめ方向性を明確に伝える
- 部下を叱り変化を促す
- 現場を観察し次を予測する
- ストレスを適度な状態に管理する
- 部下をコーチングし答えを引き出す
- 楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
- オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める
部下をほめるのは人前で、叱るのは人のいない場所で、といった基本的な対応のあり方について解説があります。すでに実践していることもあれば、そうでないものもあるかもしれません。例えば、叱り方は工夫できていても、叱ったあとの感情面のフォローは十分できているでしょうか?
他にも、注目されるとホーソン効果でモチベーションが高まる。常に監視するマイクロマネジメントはしない。従業員の熱(ホットスポット)を感じとる。このような例とともに、マネジメントの視点がたっぷり触れられています。
私はコーチングを十分に実践できていなかったと感じたので、早速明日から取り入れられることとして収穫になりました。
課長がよく直面する課題をリアルに解説
課長が求められる役割のうち、よくある「非合理なもの」を取り上げている章があります。思わず頷きながら読んでしまうくらい、多くの人が経験する事柄がピックアップされていました。例えば、次のような話題に触れています。
高すぎる目標を立てると、達成できなかったとき、無駄に責任を取らされる。
→簡単に達成できる目標に、もっともらしい理由をつけ、高い目標のように脚色する。
目標を達成できないと課長としての能力不全と受け取られかねないため、実現できそうな目標を立て、それがある程度ハードルが高い事柄のように示す。これは実際に私もやっていることであり、「課長あるある」だと思います。
他、人事評価の非合理性について触れ、部下にダメージを与えないためのコツなども解説されています。ここも私は自分の感覚だけでやっていたので、改めて整理した情報をインプットできて勉強になりました。
自信を確信を持って課長業務に当たるためのバイブル
課長職に昇進したら、さまざまな役割や対応が求められます。本書には、多くの課長がよく直面する課題がリアリティのある内容で書かれており、何気なく行っていた対応が正しかったのか、間違っていたのか整理できます。すでに知っていることもあれば、あいまいだったこともあるはずです。
前任の課長からは業務的な引き継ぎを受けるのみで、ここまで踏み込んだことは通常教えてもらえません。ぜひ、「新版 はじめての課長の教科書」を一読し、組織からも従業員からも「良い課長」と判断してもらえる人材になりましょう!