ママとして働きたいと思っていても、仕事と家庭の両立や子育てのことを考えると不安になり、なかなか一歩踏み出せないという方も多いはず。そんななか、自分で仕事のチャンスを作り、場所に縛られない働き方をしているママもいます。
今回ご紹介するのは、カミイマイさん。劇場支配人の仕事を辞めて、ライターとして仕事をするようになった経緯や、並行して新たに始めたという「ジュニアビジネスキャンプ」の事業についても伺いました。
ライターになるきっかけ
ーーライターになる前はどんなお仕事をしていましたか?
映画関係の仕事をしていました。映画館の運営や上映スケジュールを作ったりして、最終的には劇場支配人として働いていました。業界の雰囲気が、みんなでずっと文化祭の準備をしているような感じで、その空気感が好きだったんです。でも結婚してライフステージが変わって、長く続けるのは難しいと感じることが多くなりました。転勤が必須だったり、いきなり深夜に仕事の対応をすることもありました。それでも、「子どもが生まれたら転職できないのでは」という思い込みもあって、私にはこの仕事しかないんだ、と続けていたんです。
ーー実際、子どもが生まれてからどうでしたか?
子どもが生まれて一時、産後うつになったんですね。入院するほどではありませんでしたが、あまりにも将来に対して悲観的になっていました。映画館の仕事は一応復帰できたのですが、責任者の立場になると、どの時間帯でも出勤できないといけなくて、漏水が起きて深夜に呼び出されることもありました。さらに土日に働くのは当たり前だったので大変でした。でも家族のなかでは、主人が一番疲弊していたと思います。月曜日から金曜日まで働き、土日はワンオペで子どものお世話をしていたので。
ーーそれでも仕事は続けられたんですか?
結局、仕事と家庭の両立がハードで体を壊してしまい、去年の4月に辞めました。
ーーその後どうされたんですか?
実は、英語を喋れるようになりたいと思って、仕事を辞める前から海外留学の準備をしていたんです。ただコロナで計画が全て潰れてしまって…何もやることがなくなり、ブログを書き始めました。ある時、私が好きだった『SPOT』さんという、お出かけ体験型メディアで、記事コンテストを見つけました。テーマは、「楽しかった思い出の場所」。それに応募したら、入賞してしまったんです。
現在、再編集版でこちらに載せてます。
ーーすごいですね! なぜコンテストに応募しようと思われたんですか?
映画館の仕事も辞めちゃって、なんとなく道が閉ざされたように感じていました。だから、「私、こういうことできます」というのが何か1つ欲しかったんです。
ーー入賞してお仕事につながることはありましたか?
『SPOT』さんからお仕事をいただけて、記事を書けるようになりました。さらに入賞したおかげで、他のメディアさんに「私こういう記事を書いています」とアピールしやすくなりました。
ーーSPOTさんのお仕事で、特に印象に残っている記事はありますか?
最初に『【おうち日本縦断】旅行できないから47都道府県グルメを自宅で再現した』という記事は忘れられないですね。毎日料理を作っては写真を撮り、文章を書きました。
ーー相当時間かかったのでは?
2週間以上かかりましたね。当時、ちょうど家からあまり出られない時期で、スケジュールにまるまる空きがあったのでやれたのだと思います。
ーー記事を書いて、何か反響はありましたか?
記事の最後に料理のレシピを載せていました。そしたら、読者の方々の郷土愛がすごかったんです。本物の作り方はこうだとか、この料理も記事にして欲しかったとか、そこで議論が巻き起こったりしました。でもその反応も折り込み済みで記事を書かせてもらっていたので、皆さんのコメントを読んでいて楽しかったですね。その時、ライターってこんなに楽しい仕事なんだって思いました。
ーーライターになるうえで、何か文章の勉強はされましたか?
ライター講座で勉強しました。ライターの小山直樹さん、ライターの大塚たくまさんに教えていただきました。分からないことがあったら、この2人の先生に聞いていましたね。
今、子ども教育のメディア『Chiik !』でも書かせていただいていますが、小山さんが編集長になったんです。なので、今でも色々教えていただいたりしています。
記事の企画を自ら提案する
ーー子連れ旅で、ライターの仕事もされているようですが、具体的にどのように仕事にしているのでしょう?
ある程度、自分で先に旅のルートを決めてしまいます。そこからメディアさんに、「今度〇〇に行くのですが、こういうの記事になりますか?」と提案しているんです。そうすると、「どこどこ行くんだったら、ここもついでに取材してきてほしい」ってお話をいただけたり。家族で楽しめるスポットの情報が欲しいメディアさんだと、「ここに行ってきてください」というオファーも受けたりします。
ーー子どもを連れて旅するってすごく大変そうなんですが、やって良かった部分はありますか?
自然に触れ合えたり、何より本物を体験させてあげられることですね。例えば、テレビを観ながら「この電車乗りたいね」って話すだけでなく、実際に乗りに行くことができるんです。もう子どものテンションの上がり方がすごくて、その姿を見て連れてきて良かったなと思います。あとは、いろんな大人と接するのも良いことですね。時には、子ども自身の思い通りにいかないこともあるし、私と喧嘩になることもあります。お互いに上手くいかないことも含めて、子どもが成長していくのを目の前で見られるのは良かったと思います。
ーー逆に、子連れ旅の大変な部分ってどんなところですか?
やっぱり執筆が進まないことですね。基本的に旅に行ってる最中は、仕事の締め切りがこないようにはしています。ただ移動中に進めておきたい仕事もあるんですよね。子どもと一緒だと日中原稿にさける時間がどうしても少ないので、子どもが寝た後や、朝起きてくる前に記事を書いたりしています。
ーー最近はどんな記事を書かれたんですか?
YouTuber坪和寛久さんのインタビュー記事を書きました。坪和さんは、インドの屋台を撮ってYoutubeにアップしている方で、昨年夏に本を出版されました。その後、日本に帰国されたと聞いたので、ダメ元で取材交渉してみたら、OKしてくださったんです。ただオファーした3日後に取材することになったので、カメラマンの手配が間に合わなくて、私がインタビューと撮影を両方やりました。
坪和さんのインタビュー記事はこちら
ーー全て1人で取材を進めたんですか?
そうなんです。坪和さんと西葛西のインド料理店に行きました。その頃、緊急事態宣言中で、店内で食事しているところは撮れなかったんです。テイクアウトした料理を、店外のテーブルで食べている様子など撮らせていただきました。取材当日は気温が低く、外での食事は寒かったのですが、坪和さんがすごくいい方で、協力的に対応してくださいました。
ジュニアビジネスキャンプを始めた理由
ーーライター以外のお仕事も始めてるようですが、どんなことをしているんですか?
『ジュニアビジネスキャンプ』という短期国内留学プログラムを開催しています。小学3年生〜中学生3年生を対象にした、短期間のサマーキャンプのような感じです。
“ビジネスで必要なのに、学校では教えてくれないことを学べる”をコンセプトに、「プレゼンテーション力」「問題解決思考」「お金のこと」などを教えています。講義だけでなく、どこかの土地に行き子どもの視点で見て、「あなただったらこの街をどうしますか?」と考えてプレゼンしてもらったりもします。
ーー何がきっかけで始めたのですか?
ちょうど留学の情報が欲しかった頃に、留学カウンセラーの「近藤英恵さん」と知り合いました。その後、近藤さんが独立起業して、何か一緒に面白いことやりたいねって話していました。さらに近藤さんの息子、コンドウハルキさんは中学2年生で起業しているんですね。だから起業したお二人の強みを生かして、何かビジネスができないかなって考えました。
お金のことや将来会社に出て役に立つことって、会社に入ってから習うイメージを持つと思います。でも今の時代、それでは全然ついていけてなくて。子どものうちからビジネススキルを学べる環境があったらいいなと思い、「ジュニアビジネスキャンプ」を創りました。
ーーどんな方が講師を務めているのですか?
ジュニア起業家として、「コンドウハルキさん」、「キメラゴンさん」。プレゼンテーションでは、企業でプレゼンの仕事をしている人を、講師としてお呼びしています。あと、海外のジュニア起業家さんともオンラインで繋いで、通訳を通して英語で喋ってもらったり。参加してくれる子どもたちが楽しんで学べるプログラムをたくさん用意しています。
ーージュニアビジネスキャンプは、これから開催されるんですか?
第一期は、5月2日〜5月4日の2泊3日で埼玉県の深谷で開催することが決まりました。
ありがたいことに、説明会から1時間で満席になりました。
このインタビュー後、開催されました。
ーー次回はいつ開催されるのでしょう?
第二期は、8月8日〜8月11日に開催する予定です。
ーー複数のお仕事をされていますが、時間配分的にはどのように働かれているのでしょうか?
ありがたいことに、会社員と違ってフリーランスはウエイトを自由に変えられるので、その月によってお仕事の量を調整しています。例えば、今月はライターの仕事を少なくして、ジュニアビジネスキャンプの仕事に重点を置いているような感じです。
ーー仕事と家庭の両立はどうしてますか?
正直なかなかできてないですね。強いて言えば、「やらないこと」は決めて、徹底しています。仕事がある日の掃除や料理は、出来るだけ効率的にできるよう意識しています。以前、産後うつの時に「もう心が死んだら終わり」と思い知ったので、家事は頑張りすぎないようにしていますね。
ーーカミイマイさん、ありがとうございました。
取材・執筆:つか(@tsuka_0806)
編集:中村洋太(@yota1029)