もともと社交ダンスのインストラクターをしている池田あゆ里さん。2020年7月からはそれに並行してインタビューライターのお仕事も始められました。今では月12本もインタビュー記事を書いていらっしゃいます。
さらに「note」に書いているエッセイは、文体が好評でnote編集部から“おすすめ”に取り上げられるほどに。
今回はインタビューライターになられた過程や、どうやってお仕事を得るようになったのかなどを聞かせてもらいました。
ライターを志す
ーーライターになられたきっかけは何ですか?
もともと私は、社交ダンスのインストラクターなのですが、コロナの影響を受けて、ダンスのイベントや競技会が延期・中止になってしまい、このままでは収入面で不安に思うところがあったんですね。だからと言って、すぐには何をしたらいいのかわからないまま過ごしていました。
ある時、社交ダンスを盛り上げるために、友人ダンサーに声をかけてYouTube動画を作ったんです。その反響が大きくて、「すごい!こんなにも見てもらえるんだ!」と驚きました。それならば、と今度はFacebookで公式ページを作りました。タイトルは「俺たちはコンペが待ちきれない」。競技会が待ちきれないダンサーたちをカッコ良く紹介するページです。自分のためというよりは、友達のダンサーを応援したくて作りましたね。
その紹介記事はこちら
Youtube動画はこちら
そこで、大切な人とか、大好きな人を紹介する文章を、とことんこだわって書いてたら、なんだか楽しくなっちゃって。友人のダンサーからも「なにか文章を書く練習しているの?投稿文の書き方が上手だから参考にさせてもらいたいな」って言われたんです。文章で褒められることって今までなかったんですが、けっこう文章好きだったんだって思い出して。そこからライターを志したんです。
ーーいつから文章を書くことが好きだったんですか?
高校生のとき、夏目漱石の『こころ』を読んでビビビッ!ときて鳥肌がたつほど感動したのがきっかけでした。登場人物の心情が伺える文章にマーカーを引いて、余白に考察を鉛筆で書いていったんです。もうページが真っ黒になって読めなくなるぐらいの。なんかちょっと狂気な感じでしたね(笑)
ーーその深掘りが文章を書くことに生かされてるんのでしょうか?
深掘りしながら考えたり、登場人物の気持ちに共感することは、すごく生かされてるなと感じます。それがライターの原点だったかもしれないですね。
ーーライターを志してから、初めての案件は何でしたか?
SEOをメインにした記事作成でした。クラウドソーシングの「クラウドワークス」で案件の募集があったので、お試しでやってみたんです。ただ案件を進めていくうちに、Facebookで投稿していたような誰かを応援する文章からかけ離れていって…。「1000文字追加でボーナスがでる」などのクラウドソーシングにおける原稿料の仕組みについてモヤモヤしてましたね。2000文字で収まる内容を、ボーナスをもらうために1000文字足すなんて、不毛だなと思っていました。だから頑張りどころがわからず、モチベーションも下がってしまったんです。これは誰かに相談しないとまずい…と感じました。
ちょうどその頃、SNSを見ていたら、たまたまライター中村洋太さんのライティングや仕事術に関する記事を見つけて、ハマってしまったんです。それこそ食いつくように読んでいました。その1週間後、「考えてるだけじゃダメだ。直接話を聞いてみよう!」と思い立ち、ドキドキしながら中村さんにDMを送ったんです。そしたら10分後に、「今から時間とれます」って返信をいただいて!レスポンスが早くてびっくりしました。そこから、どんどんライターの道が好転していったんです。
インタビューライターになると決意
ーー実際に中村さんにどんなことを相談したんですか?
最初はSEOの記事案件の向き合い方についてご相談していましたが、もう、どうしてもコピペ記事のようになってしまって。
「中村さん、わたしSEO記事は無理です……!」と、半泣きで相談しました。
そしたら、「ライターの仕事ってSEO記事を書くだけじゃないですよ。インタビュー中心で仕事をしたっていいんです」と、アドバイスいただいたんです。
「なんだ、そっか」って目が覚めて、翌日からインタビューのお仕事を探し始めました。
ーー行動が早いですね! インタビューのお仕事はどうやって見つけたんですか?
スキルマーケットサービス「ココナラ」から地域情報サイトのインタビューの案件を見つけて、すぐに連絡してみたんです。そしたらトントン拍子に話が進み、そこからインタビューのお仕事一本で進めていくようになりました。
ーー初めてのインタビューはどうでしたか?
もうすごく緊張しました!保育園の先生にインタビューしたのですが、とてもいい方で、年齢も近かったので楽しくお話しできたんです。おかげでいいインタビューでスタートを切れました。
ーーどれぐらいの頻度でインタビューされてるんですか?
だいたい月に12本ぐらいのペースでインタビューをしています。もちろん月によって変動はありますけど、今はそれぐらいかな。
ーーそのペースだと、1年間で100本を超えますね!
そうですね。取材ライターの世界を知らなかったので、仕事のリズムもわからなかったので、いただけるインタビューの仕事をがむしゃらに取り組んでいました。
ーー何本もインタビューをこなされてますが、これまでメディアに記事単価を交渉したことはありましたか?
あるメディアさんで2回ほど交渉して、2回とも単価アップしていただいたことがありました。たしか、それぞれ3記事と10記事を書き終わった頃だったと思います。そのときは自分から「私の記事、どうでしょうか?原稿料、上げていただけませんか」と聞きました(笑)
ーーすごいですね。池田さんのお人柄でしょうか…。noteのエッセイで、編集者さんから、池田さんだと取材相手がリラックスして話てくれるからありがたいと言ってもらえたと読んだんです。何か意識されていることはありますか?
なるべく取材中は素のままでいるようにしています。取材相手のお話をうかがって素直に思ったことを質問したり、あなたのことに興味を持っていますよって気持ちを伝えるようにしています。それこそ全身の毛穴を開いて集中してお話を聞いていますね(笑)
ーーダンス雑誌でインタビューもされてましたよね?
社交ダンスの月刊誌『ダンスビュウ』で、ある女優さん2人の対談をインタビューさせていただきました。女優さんとお話しできる機会って滅多にないので、お仕事とか、生き方とか、色々お話を聞くことができて楽しかったです。
映画『レディ・トゥ・レディ』のダブル主演の女優にインタビュー月刊誌『ダンスビュウ』より)
ーー記事やエッセイで読者から反響はありますか?
noteのコメント欄やTwitterで感想をいただきます。とくに 『今日しまむらで、妹がデザインした服を買う』は反響が大きくて、共感したというコメントが多かったです。なかには、「私も妹さんの服買いたいわ。こっそり教えて」って、言ってくださる方もいました。
ーーnoteやSNSで、お仕事に繋がるようなことはありましたか?
私のnoteエッセイを読んだメディアさんから、「よかったら書いてほしい」とお声がけいただいたいたことがあります。ライティング講座「ぶんしょう舎」の添削チームのメンバーに選ばれたこともそのひとつです。
ーー添削は編集者のポジションでもあると思うのですが、何か心境は変わりましたか?
編集者の目線をもつことって大事だなと思いました。もともと中村さんのアドバイスの仕方や添削導方法に憧れていて、こんな風になれたらいいなと思っていました。それが現実になって添削をさせていただくようになり、今ではライターのお仕事にも生かされているなと感じます。
ーー将来はこうなりたい!というのはありますか?
こういう人になろういうことはあまり考えてなくて。ただ、ひとつあるのは、大切に思う方々を「後生まで語り継いでいきたい」という気持ちです。自分の父親、母親、そして自分の子ども、その孫のこともずっと誰かに覚えていてほしい。それを形にして文章で残したい。そんな思いがあるんです。インタビュー記事に取り組むのも、応援したい方々のことを言葉で残したいからです。日々文章力を鍛えながら、誰かを応援していきたいと思っています。
ーー池田あゆ里さん、ありがとうございました!
取材・執筆:つか(@tsuka_0806)
編集:中村洋太(@yota1029)