「転職するなら年収〇〇万」、「資格取得で年収□□万円アップ」や、婚活市場では「相手の年収は最低●●万円」など【年収】が話題にあがることががありますよね。
【年収】とは?と聞かれたら、『1年間に稼ぐ金額』などと答えるでしょう。稼ぐ金額といっても、どんな金額を言っているのでしょう?支給額?手取り額?あなたの年収はいくら?と聞かれたらはっきり答えられない方もおられると思います。
また、同じような単語に「所得」や「額面」、「給与」なんて言葉もあります。まぎらわしいですよね。それぞれ定義や自営業の方の場合の年収の考え方、転職や就職の際に注意したい情報などをまとめてみました。
年収の定義
実は、【年収】という言葉は法的に定義された言葉ではありません。法的用語ではないため、調べていくと媒体ごとに少しずつ表現が違うということも。CHEWY(チューイ)では、一般的に広く使われている意味で紹介していきます。
年収=1年で会社から支払われる額、総収入額とも
(税金(所得税)や社会保険料、雇用保険料が引かれる前の稼いだ額)
源泉徴収票をチェック
年収が何かはわかったけど、どこを見ればわかるの?となりますよね。
源泉徴収票の「支払金額」に記載されている金額がズバリあなたの年収です。以下の画像の赤枠の部分です。
参照元:国税庁
源泉徴収票とは・・・年末調整をした後の結果を教えてくれる紙です。給与所得者の場合は会社が所得税の手続きをしてくれます(年末調整)。12月の給与明細をもらう時に合わせてもらうのが一般的。
賞与(ボーナス)は含まれる?
年収に賞与(ボーナス)は「含まれます」。
年収の定義は、会社から支払われたすべての額面ですからね。就職や転職する際の面接などで、年収を教えてもらうこともあるかと思いますが、ボーナスが出ている会社なのかそうではないのかの判断はできません。またボーナスの有無で月給の額も変わってきます。
年収を聞いたときに参考にできるように、事前にボーナスの有無・支給の基準などを担当者に聞いたり、企業のサイトなどから確認しておきたいですね。
交通費や地域手当、住宅手当などは含まれる?
年収に各種手当は「含まれます」。
理由は上の賞与と同じです。そのため、年収が高い会社に転職したと思っていたら交通費の金額が上がっただけで、手元に残る金額は減ってしまったということもあるんです。
年収の金額を参考にするためには、諸手当の額や基準なども事前に確認しておく必要があります。
自営業と給与所得者の違い
給与所得者の場合の「年収」は、年末調整の支給額を見ればわかると説明しました。また、年収がわかることで手取り額などもおおよその額を知ることができます(計算方法は以下の見出し「年収から手取りを計算できる」)。どれだけ稼いだか?という金額がわかりやすいのが給与所得者の特徴です。
自営業(個人事業主)の場合
自営業の場合は年収を見るだけでは、「実際にどれくらいの金額稼いだか」を予想するのが困難です。自営業者の場合、「経費」がいくらかかったかで稼ぎがわかります。例で見ていきましょう。
収入(売り上げ金額) − 経費(仕入れ、地代家賃、水道光熱費、給与など) = 所得
※自営業の場合、一般的に所得=年収という概念になっています。所得がどれくらい稼いだ額かという部分になります。
そのため必要経費が、『収入より大きい場合は年収もマイナスに』、『経費がほぼ掛からないということになれば収入もプラスに』なります。
給与所得者(サラリーマン)が副業で節税!?
限定的な裏技となりますが、給与所得者が副業で個人事業主となっている場合、節税ができる場合があるので紹介しておきます。
副業を始めた場合、最初の数年は「赤字」になるという場合は少なくありません。そういった場合に使えるオトクな節税方法です。『副業の赤字分を、給与所得から差し引くことができるという制度』を使います!
副業での事業所得が経費を差し引いて赤字になった場合、その額を給与所得から差し引くことができるので、年末調整で確定した給与の税金を確定申告して還付してもらえます。還付してもらうということは納付した税金が返ってくるということです。
参考:起業をめぐる冒険
「年収」の類義語もチェック
年収についての類義語について調べてみました。簡単に枠内に説明しています。詳しく知りたい場合は下の小見出しをチェックしてみてください。就職、転職などでもよく使われる用語もあるので、正しい認識を持つことが重要です。
月収:年収を12(か月)で割ったもの(=総支給額、額面)
月給:基本給+固定金額の手当(役職手・家族・地域手当など)
税金などは引かれる前の額
給与:基本給+手当(時間外・深夜・休日手当など)(通勤手当は含まれない)
給料:基本給(時給など)(基本は手当含まれないが、固定金額の手当を含んで表現する場合もある=月給)
賃金:基本給+手当(通勤手当を含む諸手当)
手取り:実際に給与口座に振り込まれる額面
給与明細には「差引支給額」や「銀行振込額」など記載される
所得:年収−給与所得控除額(給与所得者)源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄に記載される
売り上げ-必要経費(個人事業主)
月収とは
年収を12(カ月)で割ったもの(=総支給額、額面)を月収といいます。字面の通りですね。
年収は源泉徴収票の支給額に記載されているので確認しやすくなっています。
給与・給料との違い
「給与」とは会社側からみた言葉で、
「賃金」は給与所得者側からみた言葉です。
「給料」は基本給(基本賃金)を指します。
給与:基本給+手当(時間外・深夜・休日手当など。通勤手当は含まれない)
働きに対して支払うお金というニュアンス。
賃金:基本給+手当(通勤手当を含む諸手当)
会社からもらえる金額というニュアンス。
給料:基本給(基本は残業手当などの手当含まれないが、固定金額の手当を含んで表現する場合もある=月給)
昇給がない限り、基本的には変わらない額
※これらの言葉は、使う会社や場面などで少しずつ意味合いが異なる場合もあります。気になるときは確認してもいいでしょう。
手取りとは
実際に給与口座に振り込まれる額面のことを言います。税金や社会保険料などを差し引いて手元に残るお金です。給与明細書には「差引支給額」や「銀行振込額」などの欄に記載されています。
『実際に生活に使える金額』なので、就職や転職する際には手取りがどれくらいになるかも把握しておくことが好ましいでしょう。以下の見出し「年収から手取りを計算できる」に計算方法などを紹介しています。
所得とは
所得の考え方は給与所得者と自営業(個人事業主)で異なります。
【給与所得者の場合】
所得=年収−給与所得控除額
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄に記載される
給与所得控除額について 税制改正があり平成32年度から所得控除の出し方が一部変更になります。以下の表を参考にしてみてください。
現行
年収(給与) | 給与所得控除額 |
~180万円 | 収入金額×40% ※65万に満たない場合 65万円 |
180万円~360万円 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円~660万円 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円~1千万円 | 収入金額×10%+120万 |
1千万円~ | 220万円 |
平成32年~
年収(給与) | 給与所得控除額 |
~162.5万円 | 55万円 |
165.5万円~180万円 | 収入金額×40%-10万円 |
180万円~360万円 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円~660万円 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円~850万円 | 収入金額×10%+110万円 |
850万~ | 195万円 |
【自営業の場合】
所得=売り上げ-必要経費
就職・転職で注意したいこと
転職活動中に面接などで「希望年収」を聞かれた方は、なんと6割もいるというアンケート結果があるほど。お金に関する質問にしっかりと答えられるように意識を持っておくことは重要です。
間違った認識やあいまいな返答をしてしまうことで、マッチングがうまくいかず「転職失敗」なんてことにもなりかねません。そうならないために、以下の転職活動でよく使われる単語やチェックポイントについてよく理解しておきましょう。
- 会社側の給与の提示方法をチェック
- 給与は年収や月給で示されることが多い
- 現在の金額や希望の金額を把握しておく
聞かれる用語や希望の金額を理解できていないと交渉もままなりません。重要な事項なので必ずチェックしておいてください。
年収から手取りを計算できる
1年間の手取り額の目安は、「年収の8割」でおおよその額を出すことができます。結構近い額が出るので目安で知りたいという方にはおすすめです。
ただ、所得税は年収の額により税率が上がる累進課税なので、この計算方法が有効なのは年収600万円の方くらいまで。年収600万円以上の場合は7.5割で計算するのがおすすめです。金額的に厳しめに計算したい時も7.5割~7.3割で計算してみましょう。
「月の手取り額」の場合は、年間1~2回のボーナスが何か月分出るのかなども加味して考えましょう。
(例)ボーナスが2か月分、年2回の場合は、12か月+4か月分(ボーナス分2×2)=16か月分で割ればOK
月給から手取り額を計算するサイトなどもあるのでチェックしてもいいでしょう。※実際には配偶者の有無・扶養家族の人数などでも金額は変わってきます。