ミスディレクションは「注意をそらして誘導すること」
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ミスディレクションには『ミス』という言葉がついていますが、失敗の意味ではなく、『注意をそらして誘導すること』を指して使われます。それではなぜ『ミス』というのか?どんな言葉が語源になっているのか?いろいろと疑問に思いますよね。
そこで、ここでは言葉の意味はもちろんのこと、ミスディレクションとはどんな状況を指すのかなどについて正しく学んでいきましょう。
ミスディレクションの意味をチェック
『ミス』が頭についているので「ディレクションを間違うこと?」と想像する人は多いでしょう。では、ディレクションはどんな意味なのでしょう?『ミス』は本当に間違いを表しているのでしょうか。英語の意味とカタカナ語としての意味を比較しながら見てみましょう。
英語のミスディレクション
ミスディレクションは英語では『misdirection』と書き、次のような意味をもっています。
■宛先間違い
■誤った方向に向ける
■誤った指図 など
また、この単語は、『誤って』の意味をもつ『mis』と『方向、指図、指示』などの意味をもつ『direction』とわけることができ、この2つの単語が語源となったともいわれています。
そして、熟語としてはこんな使い方があります。
■misdirection of a letter(手紙の宛先間違い)
■misdirection of e-mail(電子メールの宛先間違い) など
カタカナ語のミスディレクション
カタカナ語のミスディレクションも英語の意味と大きく違いはありませんが、『人の注意をそらして誘導すること』の意味合いで使われます。しかし、すべての分野でまったく同じ使い方がされているわけではなく、少しずつ違った意味合いをもっています。
ビジネス・教育では「誤った指導」
ビジネスや教育の分野では、『誤った指導』を指してミスディレクションが使われることが多いです。そのほか、ビジネスシーンにおいてはその場の話をほかの方向にそらしたい場合にもミスディレクションが使われることがあります。
マジックの世界では「注意をそらすテクニック」
マジック・手品の世界では、観客にタネがバレないよう注意をそらすことも重要なテクニックです。この『注意をそらすテクニック』のことを指してミスディレクションが使われます。
「タネもしかけもありません」と言って小道具や手を見せますが、存在するタネが見えないように誘導しながら見せていることこそがミスディレクションなんです。
文学・本では「主なストーリーから読み手の目をそらすこと」
ストーリーの結末は、本の最後にわかってこそ面白いもの。最初のほうでわかってしまってはワクワクしませんよね。そのため、読者を本筋とは違った方向に目をそらすようにする手法をミスディレクションといいます。これは推理小説においては特に重要なことといえるでしょう。
[ビジネス版]ミスディレクションの使い方・例文
この記事を読んでいる人は、一般ビジネスに携わっていることが多いでしょう。そこで、ビジネスではミスディレクションがどのように使われるのか、実際にあなたが話している場面を想像しながら読んでみてください。
上司
ミスディレクションとミスリードの違い
「彼女をリードする」など、先導することをリードといいますよね?そして、『ミス』が頭につくと、間違った方面に誘導するを意味する『ミスリード』になります。ミスディレクションとは同じ意味合いですが、特に英語に精通している人はミスディレクションを使うことが多いようです。
日常生活における身近なミスディレクション例
カタカナ語のミスディレクションですが、使われる場面はビジネスシーンやマジックだけではありません。以外と日常生活の中にも溶け込んでいるんです。
息子「あ、お母さん、今日学校でね、こんなことがあったんだよ」
[おまけ]こんなところにもミスディレクションが使われる
『ミスディレクション』を学んでいる今、「そういえば、あの分野で使うミスディレクションって…」と何かが頭に浮かんだ人もいるのではないでしょうか。ここでは意外なところにあるミスディレクションについて調べてみました。
競走馬の「ミスディレクション」
栗東でトレーニングをしている競走馬に『ミスディレクション』という名前の馬が所属しています。2019年2月時点で5歳の現役馬ですが、まだ大きなレースには登場していないようです。
遊戯王のカード「ミスディレクションの翼」
コナミから発売された遊戯王のカードゲームがあります。このカードの中に『ミスディレクションの翼』があります。相手のモンスターや魔法をターン終了まで無効かにできる力を持っているのが特徴です。
無効化したことで、相手にほかのカードに目をむけさせるというところで、このような名前がつけられたのでしょうか。
スポーツで視線を外す「ミスディレクション」
高校のバスケットボールを題材にした『黒子のバスケ』という漫画があります。この作品の中で『ミスディレクションオーバーフロー』と名付けられたプレーがでてきます。
これは、主人公の黒子が、味方のプレイの瞬間に、相手の視線を集め、相手の視線を味方からそらせます。そして、その間に味方が相手の視線から外れ、次のプレイに移るといった技です。
サッカーやバスケなど、ドリブル→パスの動きがあるスポーツでは、実際にパスを出す方向とは違うところに目線をむけるという戦術はよく使われます。これも一種のミスディレクションといえます。
ミスディレクションという用語を正しく理解しておこう
使うのが難しいと感じがちなカタカナ語ですが、ミスディレクションは身近なところにも存在します。今後は、「相手の視線や意識をそらしたな」と思ったら「ミスディレクションをした!」ととらえ、会話の中でもぜひ使ってみてください!