その節はの意味=過去の出来事に対して話をする際に使える言葉
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「その節は」とは、 過去の出来事に対して話す際の言い回し です。
例えばお世話になった人への会話の切り口として「その節は」から始まり、過去の出来事に対してお礼や謝罪を行なうことができます。
このような言い回しは日本語独特の文化であり、「このたびは~」や「その折りは~」のような、さまざまな言葉が存在します。
・このたびは(この度は)
・その折は
・その際は
「その節は」の使い方・注意点
「その節は」は日常会話でも使われていますが、他人行儀な言い回しになるため、どちらかというと”ビジネス用語”として使われている言葉です。いざビジネスシーンで使う際の、使い方や注意点をチェックしていきましょう。
「その節は」は目上の人に対して使用可能
「その節」とは過去の言葉を指す言い回しです。わかりやすくいうと、「あのときは」を丁寧に言い換えた表現が「その節は」になります。つまり、「その節は」は目上の人にも使用可能な言い回しです。
「その節は」は日常会話でも使用するケースがありますが、距離の近い身内同士の場合だと仰々しくなってしまいます。丁寧な言葉のなかでも他人行儀に近いニュアンスであるため、関係性によっては多用は控えたほうがよいケースもあります。
「その節は」は未来について話す際には使えない
「その節は」の「節」とは”節目”や”時期”をあらわす言葉です。時期や節目は未来を指すこともでき、「その節は」が必ずしも過去を指した言葉とは言えません。
しかしながら、現代では「その節は」の「節」は”過去”を指すことが多く、世間一般的には過去について触れている言い回しとなります。
そもそも「その節は」とは、使用する相手と関わった出来事を指しています。カジュアルな言い方にすると「あのときは大変だったね」「あのときはお世話になった」というように、お互いのつながりを語る言い回しともいえます。
未来のつながりを表現する場合には「その節は」よりも、ほかに適した言葉があるため、未来について話す際には「その節は」はほとんどの場合で使用されません。
「その節は」を使った例文
ビジネスシーンで使用頻度の高い「その節は」。よく聞くフレーズなので、いざ使うときに安易に使ってしまうケースもないとはいい切れません。ここでは正しい「その節は」の使い方を例文でご紹介します。
「その節は」を使ったお礼の例文
過去にお世話になった人、助けてくれた人へのお礼をするときに「その節は」がよく使われています。お礼を切り出す際に「その節は~」を使うのが無難ですが、「その節は」が使えるシチュエーションをピックアップしました。
その節は大変お世話になりました
定番といえる使用頻度が最も高い「その節は」を使ったお礼です。過去に対するお礼には「ありがとうございました」が基本中の基本ですが、ビジネスシーンではもっと具体的に「大変お世話になりました」と表現するのが適切です。
「その節は大変お世話になりました」の一文だけでも完結できますが、力添えをしてくれた相手には礼を尽くしてこその「お礼」です。”何に対してお礼をしているのか”を具体的に示しましょう。
「その節はありがとうございました」
先述の「大変お世話になりました」よりも、お礼を簡単に表現した言い回しになります。
失礼というわけではありませんが、言葉をシンプルにした分だけ、相手との距離感を縮めたカジュアル寄りの表現に分類されます。
「その節は」を使った謝罪の例文
ビジネスシーンではお礼だけでなく、何かしらの不手際で謝罪をするケースも少なくありません。過去の失態・失礼に対しても「その節は」を使って謝罪をすることが可能です。
その節はご迷惑をおかけしました
「その節は」はお礼のときに使えるとご紹介しましたが、謝罪に転じた場合にも使用可能です。
ビジネスシーンでの謝罪表現はさまざまあり、過去の出来事に対しての謝罪には「その節は」を用いることが可能です。
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「その節は」の類語
日本語の言い回しは世界的に見ても独特であるため、日本人でも使いこなすのが難しい表現も多々見受けられます。数が多い「その節は」の類語もチェックしていき、理解を深めましょう。
この前は
世間一般でよく使われている過去をあらわす表現です。ビジネスシーンでも使われていますが、カジュアル寄りの表現なのでビジネスメールでの使用は不向きです。
談笑や世間話レベルの言葉なので、目上の人に対しては馴れ馴れしいイメージを与えてしまう恐れがあります。距離感の近い相手に限定して使用するのが無難です。
このたびは
漢字では「この度」と書き、現在進行形に近い「今回」のことをあらわす言い回し表現です。
今現在も進行中の状況、またはそれより少し前の出来事に対して「このたびは」を使用することができます。「その節は」が”明確な過去”をあらわす表現に対し、「このたびは」は現在進行形からそれに近い過去を指した言葉になります。
時期的には完全に過去の出来事を指す場合は「その節は」を使い、直近の場合には「このたびは」を使いましょう。
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「この度」の意味とは?使い方・類語との使い分け・英語表現も解説!
「その節は」に似ている言葉の使い分け
「その節は」のように時期をあらわす言い回し表現は多数ありますが、その”時期”が未来なのか過去なのか。または両方使えるのか言い回し表現で混乱してしまうことも少なくありません。もう少し「その節は」に似ている言葉を掘り下げていきましょう。
その折は
時期をあらわす言い回しで「そのせつ」「そのおり」とも読める言葉です。「折をみて~」という表現があるように、「時期」や「タイミング」を表現するときに使用します。
例文から気付くことは、「その折は」は過去と未来両方の出来事に使用できる言い回し表現だということ。前述したように「折」とは節目、時期、タイミング、機会をあらわします。
時系列に制限がなく、タイミング全般を示すことができるいわば万能な表現です。よく使われるのは「折」単独での表現です。
過去と未来のどちらで使っても大きな問題はなく、読み方と使い方が音読みの「折(セツ)」は過去に対して。未来に対しては訓読みの「折(おり)」を使うのが慣例的です。
読みと過去を指す使い方が一致しているので「その節は」と混同されがちですが、ビジネスメールで時期を指す際には「折」と「節」を間違えないように注意しましょう。
その際は
「際」を使う言葉は多数ありますが、時間軸をあらわす表現として使用した場合に「時期」「タイミング」「機会」を示す表現です。
「さい」とも「キワ」ともどちらにも読めますが、一般的には「さい」で使用されます。「その際」がさす時期は「過去」ではなく「未来」。「そのときには」や「その場合には」を「その際には」と表現した言い回しです。
「その節は」の英語表現
「その節は」はビジネスの場においても使われる言葉です。場合によっては英語で表現しなければならない可能性も考えられます。いざという時のために、会話やメールでの使い方を確認しておくと安心です。
that section
と表現できます。
「その節は」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒その節は(大変)ご迷惑をおかけしました。重ねて謝罪申し上げます。
・I am very sorry for that section. I deeply apologize.
⇒その節は申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。
「その節はありがとうございました」の英語表現・例文
「その節はありがとうございました」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒その節はありがとうございました。今度はこちらからお返しをさせていただきます。
「その節はお世話になりました」の英語表現・例文
「その節はお世話になりました」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒その節は大変お世話になりました。またの機会がありましたら、ぜひともよろしくお願いいたします。
「その節は」をビジネスシーンで正しく使おう!
ビジネスシーンで使われている言い回し表現は、ひとつの言葉だけでなくシチュエーションごとに使い分けていく必要があります。使用頻度の高い「その節は」を正しく使いこなし、円滑なコミュニケーションスキルを磨きましょう!