お門違いは「いやそれ、俺に文句言うなよ!」
お門違い(おかどちがい)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。人気小説原作のアニメ映画「君の膵臓を食べたい」のセリフにもありましたね。「お門違いとは思いますが…泣いてもいいですか」に涙した方も多いでしょう。さて、このお門違いですが、簡単に言えば「いやそれ、俺に文句言うなよ!」。今回はお門違いの意味や語源、類語、使い方などを詳しく解説していきます。
お門違いの意味
お門違いは「いやそれ、俺に文句言うなよ!」であると説明しましたが、もう少し詳しく解説していきましょう。お門違いは門違いとも言いますが、「お」を付けるのが一般的。「お」は御のことで御門違いと漢字にしてもかまいません。
お門違いの詳しい意味は「感情や言葉を向ける対象が間違っている」です。ここでいう感情や言葉というのはネガティブなものを指し、非難やクレームなどのこと。それらの言葉に対して反論する際や、自分が非難やクレームを口にする際に和らげるために使用されます。使用例は後述していきますね。
お門違いの語源
お門違いにはそもそも別の意味がありました。門(かど)は家のことを指し、訪問する家を間違えてしまうことを意味していた言葉。
門は門(もん)だけではなく、家全体やそこに住む家族のことを指します。門を「かど」というのは「笑う門には福来る(明るい家庭には幸運が訪れるの意味)」にも見られますね。
目当てとする家ではない別の家に行ってしまうという意味が転じて現在の意味になりました。
お門違いの類語
お門違いと似ているフレーズとして「見当違い」や「筋違い」があげられますよね。これらとの違いやその他の類似フレーズをご紹介していきます。
見当違い
見当違い(けんとうちがい)は「判断や推測を間違うこと」を意味します。お門違い、と違いネガティブな感情が伴うとは限りません。単なる勘違いのような場面でも使うことが可能。また、道や方向を間違っているという意味でも使うことができます。
筋違い
筋違い(すじちがい)は「道理に外れていること」を意味します。道理や条理を意味する筋は「筋が通らない」といったようにも使用されますね。
畑違い
畑違い(はたけちがい)は「専門領域・分野が違うこと」を意味します。上記2つがお門違いと似たような意味を持つのに対して、畑違いは全く意味が異なります。「IT系の仕事は畑が違うから詳しくない」といったように使用します。農業用語ではないので注意。
お門違いを英語で言いたい場合
お門違いを英語で言いたい場合はどのように表現したらいいのでしょうか。いくつかご紹介していきます。
bark up the wrong tree
お門違いと似た意味の慣用句があります。直訳すると「間違った木に吠える」いう意味。ネイティブ以外の人に使用する場合は伝わらないこともあるので注意が必要です。
get the wrong sow by the ear
直訳すると「間違った豚の耳をつかむ」という意味。こちらもネイティブ以外には伝わりにくいかもしれません。
misplace
置き間違いという意味の単語ですが、転じて見当違いという意味も含まれます。上記2つよりはこちらを使う方が、ネイティブ以外には伝わりやすいかもしれません。
お門違いの使い方例文
お門違いの意味や類語、英語表現などを見てきました。ここではお門違いは実際にどのように使うのか例文を使ってご紹介していきます。
その怒りはお門違いだ
対象に向けられている怒りは、本来であれば別の対象や人に向けられるべきである、と主張するシーンで使われます。自分自身だけではなく他の人や対象を擁護する際にも使用できます。
お門違いかもしれませんが…
最初にこう言ってから意見やクレームを述べることで、角のない表現にすることができます。「こちらに申し上げるのはお門違いかもしれませんが…」とすればやんわりと主張を伝えることができます。ビジネスシーンでも使える表現ではないでしょうか。
お門違いを使いこなそう
理不尽なクレームや怒りを受けることは多かれ少なかれ誰でもあると思います。そんな時に「いやそれ、俺に文句言うなよ!」と言ったのでは社会人としては半人前。お門違いを使ってスマートに反論しましょう。とはいえ、お門違いを使うようなシーンにはあまり遭遇しないようにしたいものですね。