レイオフとは一時的な解雇のこと
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サッカーに詳しい人は、「あぁ、戦術の一つね」と解釈してしまうかもしれませんが、ビジネスでいうレイオフとは『一時解雇』のことで、サッカーとは関係ありません。
ここでの新人くんはレイオフが一時的な解雇であると聞いて「リストラが実施される」と想像したようですが、レイオフとリストラでは意味が異なるんです。
日本よりもアメリカやカナダで行われることが多いレイオフですが、日本にある外資系企業に勤めている人はレイオフの対象になってしまうことがあるかもしれません。これを機にしっかりと意味を理解しておきましょう。
レイオフの意味をチェック
レイオフという言葉は聞いたことがあっても、実際に関わることがなければ「どういう意味なんだろ?」と思うだけで終わってしまいがち。そこで、まずは言葉の意味をしっかり把握しておきましょう。
レイオフの英語は「layoff」
レイオフを英語で書くと『layoff』もしくは『lay off』と間にスペースを入れることもあり、以下のような意味があります。
■一時解雇する
■帰休させる
■区分する など
また、英語表現の例としては次のようなものがあげられます。
■lay off smoking(タバコをやめる)
■lay off alcohlo(お酒をやめる)
■sudden-death lay off(突然の解雇) など
レイオフの日本語はどういう意味?
ビジネスシーンでも英語の意味とほぼ同じで、再雇用を条件とした一時的な解雇のことを指します。
アメリカやカナダでは日本で採用される前からレイオフが実施されていましたが、日本企業では特に製造業に多く見られます。
製造業では一時的に生産量が減り、生産ラインの従業員を減らしたい場合があります。しかし、再度生産量が増えたときのために、企業としては実務経験をもつ人材は確保しておきたい。こんな場合にレイオフは利用されます。
レイオフの使い方・例文
レイオフの意味はだいたい理解できましたよね?しかし、間違った使い方をしてしまうとちょっと恥ずかしい。ここではあなたが『レイオフ』を自信をもって口にできるよう、使い方の参考例を紹介しておきます。
解雇に関する用語!日本のリストラ・一時帰休
日本企業における人事に関する用語がいくつかあります。ここではよく使われる、解雇に関連する用語をいくつかピックアップして解説します。
一時帰休
企業が業績悪化に陥り業務を縮小せざるを得なくなった際に、労働者の雇用を維持した状態で休業させることを『一時帰休』といいます。
再雇用を条件とするレイオフと似ているように感じますが、レイオフは一時的でも解雇であり、企業との雇用関係はなくなります。
一方、一時帰休では雇用関係は維持されており、休業期間でも対象者に平均賃金の60%以上の手当を支払うことが義務付けられています。
リストラ
学生でも知っている『リストラ』という言葉の正式名称は、リストラクチャリング(restructuring)で、次のような意味があります。
■組織再編
■再構築
■改革
■構造改革 など
本来は、事業の再構築を意味する言葉でした。しかし、多くの場合は再構築するにあたり、事業縮小、人員削減をともなうため、『リストラ=解雇』と解釈されることが一般的となりました。そして、リストラされた場合はレイオフとは違い、再雇用は約束されていません。
厳密には『リストラ』と『解雇』も違う?!
英語での意味でもあるとおり、リストラは『解雇』そのものを指しているわけではなく、事業の再構築に関連すること。たとえば、業績悪化による工場の縮小、事業の縮小、支店閉鎖などもリストラにあたります。
そして『解雇』は雇い主が従業員に対する一方的な労働契約の解除を意味するため、厳密にいうとリストラの一部ということになるわけです。
アメリカにおけるレイオフの考え方は?
日本と比べ、アメリカのレイオフは会社のことのみを考えた行動で、かなりシビアなものです。では、いったいどのようにレイオフが実施されているのでしょうか。
アメリカではレイオフが珍しくない
過去にはIT業界でもレイオフが実施される事例が目につきましたが、近年は自動車業界などの製造業で多くみられます。
日本と違い、アメリカでは突然「あなたの仕事がなくなりました。すぐに私物をまとめてください」といったようなことを言われます。そして、従業員も唖然とすることは少なく、「あぁ、やってきたか」と受け止める人も多いです。
人事側も慣れたもので、対象者に通達し、私物まとめに立ち会い、PCなど会社の備品や個人IDカードの回収、出口までの見送りが淡々と行われます。
また、日本の会社で人員整理を行う際、多くの場合は定年間際の人など、勤続年数の長い人、年齢が上の人が対象となります。
しかし、アメリカのレイオフでは勤続年数の短い人から解雇されていき、再雇用の際には勤続年数の長い人から順番に会社に戻るようになっています。
レイオフ=集団解雇を意味することも
アメリカでは、業績悪化に陥った際、部署や工場をまるごと切ることも珍しくありません。その場合には集団解雇が行われるため、『レイオフ=集団解雇』と解釈される場合があります。
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大手企業も!海外のレイオフ事例3つ
海外のレイオフは、必ずしも業績悪化が理由になっているとは限らず、事業見直しの一貫として行われる場合もあります。そして、レイオフは大手企業が実施することも珍しくありません。それでは、どんな企業がどのような形でレイオフを実施したのか、事例をいくつかみてみましょう。
①:Microsoft
ソフトウェア開発・販売で有名な大手企業であるMicrosoftは、2017年7月、顧客やパートナーにこれまで以上のサービスを提供することを理由に組織再編を決定。それにともない数千人規模のレイオフを実施しました。対象となる従業員は、本部のある米国だけでなく、レイオフの対象者の約3/4は米国以外で働く人々でした。
この事業再編で営業部門はクラウドサービスであるAzureに集中し、再編後のアプローチ先はエンタープライズ・中小規模の顧客を対象としました。そして、これまでの営業先であった政府、石油関連、ガス関連、製薬関連などからは離れることとしました。
②:intel
アメリカに本社がある半導体メーカーであるintel(インテル)は、2007年に1万人以上のレイオフが実施されました。その理由は、プロセッサ市場のシェア減少による業績の悪化で事業戦略の見直しを実行するため。
このとき、主にレイオフの対象となったのは、マーケティング部門と情報技術部門でした。あわせて管理職を1,000人規模で削減、さらにMarvell Technology へコミュニケーションズ部門の売却、Eicon Networksへのメディア/シグナリング事業部の売却を行いました。
③:Ericsson
スウェーデンの通信機器の会社であるEricsson(エリクソン)は、2008年10-12月期の純利益が前年同期と比較して31%減少したことにより、2009年に従業員5,000人を対象としたレイオフを実施しました。このときの業績悪化は、ソニーとの共同出資会社『Sony Ericsson』からの貢献の落ち込みも要因の一つとしてあげられました。
レイオフの対象となった従業員は、本部であるスウェーデンはなく、主にストックホルムで働く、コンサルタント職・臨時社員が中心となりました。さらに、人員削減と同時に研究開発部門の統合という対策も行われました。
海外企業で働くならレイオフに備えよう!
働き方が比較的自由な傾向にある海外企業ではありますが、人員削減については日本よりもシビア。いつあなたがレイオフの宣告を受けるかわかりません。少しでも業績が悪いとの情報が耳に入った際は、「やっぱりきたか」と冷静に対処できるようにしておくことも大切です。
ただ、レイオフは自分から「辞めたい」と申し出るわけではなく、基本的には勤続年数の短い人から切られます。勤続年数が長い人が解雇されると「使えない人なのでは?」という印象をもたれる可能性もありますが、レイオフではそのような印象をあたえることがありません。
もしあなたがレイオフの対象になってしまった場合は、「新しいことが始められるチャンス!」ととらえて、悲観的にならずに次に進んでいってください。