インテグレーションとは「まとめる」こと
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現代社会では何かをまとめるときに『インテグレーション』というが言葉がよく使われています。ここでは言葉の意味や関連語のほか、どんな種類のインテグレーションがあるのかなどをわかりやすく解説していきます。
インテグレーションの意味をチェック
どこかで耳にしたことはあっても「インテグレーションってどんな意味?」と思っている人が多いのではないでしょうか。まずは言葉の意味について詳しくみていきましょう。
インテグレーションの英語は「Integration」
インテグレーションは英語では以下の意味で使われます。
■統合
■完成
■(学校などでの)人種的差別の廃止
■積分
■調整
日本語のインテグレーションが意味すること
インテグレーションは、日本においてはただ単に『まとめる』というだけではなく、もっと細かい意味合いをもって使われています。
①:教育で教科や教材を統合すること
教育の分野でのインテグレーションとは、いくつかの教科や教材を一つの方向性をもって一つにまとめることをいいます。
例えば、1992年に設置された、小学1年生、2年生の『生活科』。これはまだ周りで起こっている現象がどのようなものであるかの判別がつかない年齢であることから、『社会』と『理科』を廃止して中間的な科目として作られたものです。
内容としては『動植物の飼育・栽培』『家庭と生活』『地域と生活』など、理科と社会の要素が組み込まれているので、一種のインテグレーションといえるでしょう。
②:障害のある子どもの統合教育
かつての日本では障害者と健常者を分ける教育制度が根付いていましたが、現在はあり方が大きく変わっています。障害の有無にかかわらず、その地域の学校で教育を受けられるようにすることを『インテグレーション』といいます。
現在ではさらに呼び方が変化し、『インクルージョン教育』『インクルーシブ教育』ということが主流となっているようです。
③:人種や宗教による差別の撤廃
昔は日本でも人種差別がありましたが、今ではそのようなものはありません。また、海外においても人種や宗教による差別はなくなりつつあります。このような動きもインテグレーションになります。
④:積分すること
数学で『微分積分』ってありますよね?『微分』とは、微か(かすか)なものに分けて分析すること、『積分』とはその逆で、分けたものを積み上げることをいいます。
ビジネス用語の「インテグレーション」はどう使うの?
ビジネスシーンでのインテグレーションとしては『システムインテグレーション』が一番耳にしたことがある言葉でしょう。しかし、ほかにもいろいろな『統合』について『インテグレーション』が使われているんです。
バラバラになっているものを「まとめる」
システムインテグレーションについての解説は後述しますが、IT業界以外でも、インテグレーションはあります。
たとえば、新商品の企画・開発・生産・発売後のサポート・リニューアルの提案などを一貫して行うこともインテグレーションになります。
そのほか、2つ以上の複数の企業が業務を提携を行ったり、合併をしたりして業務・事業を統合する動きもビジネス上でのインテグレーションです。
インテグレーションの使い方・例文
それではここで、会話の中ではどのように使うのか、例文を使ってご紹介します。
あわせて覚えたい!インテグレーション◯◯
『インテグレーション』は単体で使われることも多いですが、『インテグレーション◯◯』と使われることもあります。ここではそれらの中からいくつかピックアップしてご紹介します。
インテグレーションシステム
『システムインテグレーション』とも呼ばれています。
たとえば、何かのシステムを導入する際、『どんなものが必要か?』『どんなことがしたいか』など、顧客の要望を聞き、「それではこんな感じのものはどうですか?」と提案。そこからシステムの開発をし、実際の導入したあと、運用に関するサポートまでを一貫して行うことをいいます。
インテグレーションツール
『ツール』には道具・工具のほかに、手段・方法という意味があり、インテグレションツールは主にIT業界で使われています。
システムの導入から継続的なサポートまでを行うことになるシステムインテグレーション。開発時のテストや導入後のアップデートは繰り返し行うことになります。また、作業は一人ではなく複数で取り組むことも多く、情報の共有も必要です。
このように一つのシステムでさまざまなことを管理できるようにしたものをさして、インテグレーションツールといいます。
インテグレーションテスト
インテグレーションテストは、日本語で『統合テスト』と呼ばれており、IT用語の一つです。
システムを開発する際は、『Aの部分』『Bの部分』『Cの部分』といったように、単体で作業が進められます。そして、単体のものができあがった際、それぞれを統合して、きちんとシステムが動作するかをテストする工程が『インテグレーションテスト』になります。
インテグレーションテクノロジー
『テクノロジー』とは、科学技術や工業技術を実用的な目的のために応用して使う分野のことをいいます。
そして、こういった工業技術を活かした製品を要件の定義から完成品のテスト・納品までをまとめて担う『インテグレーションテクノロジー』という会社があります。
自動車分野、航空防衛分野の製品開発のほか、油圧計プラントモデル、配管関連などの開発事業も行っています。
参考
インテグレーションテクノロジーTOPページ
インテグレーション業務
インテグレーションは、複数の事柄をまとめることをさし、その作業者を『インテグレーター』と呼びます。そして、インテグレーターがする業務自体のことを『インテグレーション業務』といいます。
ワークライフ・インテグレーション
『ワーク=仕事』『ライフ=個人の生活』を統合するという考えのことを『ワークライフ・インテグレーション』といいます。
近年、『ワークライフバランス』という言葉をよく耳にするようになりました。こちらは、仕事と家庭を両立するといった考え方のみで、仕事の比重が高くなると家庭を犠牲にし、家のことで忙しくなるときは仕事を犠牲にする。つまり、全体を100とした場合、常に100を超えないようその中で調整をしていくといった考え方になります。
それに対し、ワークライフ・インテグレーションは、『仕事』『家庭』ときっちり線引きをしません。仕事が楽しいと感じているときは私生活にも充実を感じるもの。企画職や開発職の人であれば、もしかすると自宅でのリラックスタイムにいいアイデアが浮かぶかもしれません。
このような統合的な考え方のことを『ワークライフ・インテグレーション』とよびます。
[番外編]資生堂のINTEGRATE(インテグレート)の意味は?
『integration』は名詞で『統合』『完成』などの意味がありますが、『integrate』は動詞で『統合する』『統一する』などの意味があります。
そして、化粧品メーカーである資生堂のブランド『INTEGRATE(インテグレート)』には、化粧水、下地、ファンデーション、アイメイク、リップ、眉メイク、ネイルがラインナップされています。
肌・瞳・眉・まつ毛・唇・指それぞれの『美』を追及し、それらを一つに『統合』して全体的な美しさを作り上げるといった思いを込めたブランド名といわれています。
インテグレーションで効率や質をアップ!
インテグレーションには差別をなくすといった意味合いで使われることもありますが、多くの場合には『いくつかにわかれているものをひとつにまとめる』ことを意図して利用されています。
そして、そのほとんどにおいて、複数にわかれていた頃の手際の悪さの解消が実証されています。もしかしたら、あなたのまわりにもインテグレーション可能なものがたくさんあるかもしれません。これを機に見直して、効率UPを図るのもいいかもしれませんね。